◆上川あや

初めに、男性相談について伺います。

私がこの課題を取り上げるのは二年ぶり三回目となります。世田谷区の男女共同参画が実施する相談事業には、悩み事相談、キャリアカウンセリング相談、働き方サポート相談、就業バックアップ相談がありますが、その全てに「女性のための」と冠がついています。安心して女性が相談できるようにという配慮からつけた名称だそうですが、男性には敷居が高く、実質相談できる窓口がない状態となっています。
一方で、日本の自殺者の七割以上が男性です。その自殺原因のトップは、経済・生活問題だそうです。ところが男性向けには、悩み事相談も、働き方サポート相談も、キャリアカウンセリング相談も存在はしない。これが都内最大の自治体、世田谷区の現状だと思います。

男女共同参画の相談事業のあり方として、その基本からどこかおかしいのではないかと感じ続けてきました。
前回質問した時点で、二十三区中十二区の男女共同参画事業で男性からの相談は受け付けられておりました。男性専用の相談窓口を設けた区が一区、男女を問わず相談事業を運営している区が十一区、合わせて十二区ありました。ことし二月の追跡調査を行ったところ、さらに一区、性別を問わない総合相談と北区が加わりまして、全十三区が平素から男性からの相談を受け付けています。
前回の議会質問では、世田谷区の今は現状女性向けの相談窓口ですが、男性からの相談も排除せずに受け付けてはどうか。また、一定期間、男性相談を別に開設するといった工夫も考えられるのではないかということを問いました、今年度区が打ち出した対策は、年一回たった三時間半だけの受付時間で電話相談を行うというものでした。このような取ってつけの相談事業では相当強力な広報戦略でもない限り実績など上がってこないのではないかと考えておりましたが、果たして結果は私の想像どおりとなりました。
まずは、同取り組みの概要とその結果についての御報告をお願いいたします。

◎岩渕 人権・男女共同参画担当課長

男性相談につきましては、雇用問題とか自殺の増加など、男性を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、生活・経済問題等に関する悩みを気軽に御相談いただくことを目的として、平成二十六年の十一月に実施いたしました。平成二十六年度の実施状況でございますが、お問い合わせは一件あったのですが、残念ながら相談につながる実績はございませんでした。
御指摘のように、広報の仕方等々、区民への周知、浸透が足りなかったこと、また男性にとって悩み事というような看板が相談しづらかったのではないか、そのような分析もしてございます。

◆上川あや

非常に残念な結果となったんですが、この結果をもって世田谷区に男性相談のニーズがないと考えるのは誤りだろうと考えています。

世田谷区と比べて人口三分の一強しかありません新宿区の男女共同参画事業では、平素から性別を問わない総合相談を運営し、二十五年度、男性からの相談は二百四十件、前年度比二十件の増だそうです。板橋区も性別を問わない総合相談と銘打って、二十五年度、男性からの相談は百三十七件、全体の一〇・八%を占めたそうです。その数も、前年度六十三件に比べて倍以上に急増したそうです。
世田谷区より二十五万人人口の少ない船橋市も、二〇〇八年から男性専用の相談窓口を開設し、毎週月曜日の夜、二時間だけの相談だそうですが、定期的な開催が定着して、二十五年度、七十四件の相談を受けました。こちらも前年度比一割の増加だそうです。さらに世田谷区と同規模の浜松市も、毎週木曜日と第二・第四日曜日の二時間だけですが、男性相談を定期開催し、二十五年度の実績は九十件、前年度の七十一件と比べても大幅に件数が伸びたそうです。
こう考えますと、世田谷区でも、やり方次第で男性からの相談はしっかり受けとめられるはずで、ニーズは確かにあるんだろうと私は考えるんですが、区の受けとめ方としてはいかがでしょうか。

◎岩渕 人権・男女共同参画担当課長

今お話しのように、特に二十三区の中では、新宿区とか文京区、こういうようなところでは実績が上がってございますので、何らかここら辺からノウハウを吸収する必要があるかなと考えております。
また、私どもが今年度十月に実施いたしました男女共同参画に関する区民意識調査・実態調査におきましても、男性でこの一年に悩みを誰かに相談したいと思ったことの有無では、相談は必要ないというのは五二%ぐらいあるんですが、相談したいと思った方は四三%強、特に相談したいと思った方の中で、二十代の方々が七割以上を占めているというような特徴がございまして、男性相談の必要性はあると認識してございます。

◆上川あや

それに応えることを施策として打ち出さなければおかしいんですね。来年度予算を考えますと、区はことし失敗したはずの一日だけの相談事業をやる計画なんだそうです。教訓を踏まえたら、同じことをしているだけではだめで、予算の無駄だろうと私は考えます。
そもそも世田谷区の女性相談窓口でも男性からの相談も受けつけられないということが私には解せませんし、鉢合わせすることを避けたいのであれば、電話相談だけでも受けるべきだろうと私は思うんです。また、既存の場所やスタッフで対応が難しければ、船橋市や浜松市、御紹介したとおり、男性相談を別の場所で安心できるように開催するべきだろうと思います。男性を排除することはやめてください。お答えいただきたいと思います。

◎岩渕 人権・男女共同参画担当課長

現在、女性のための悩み事相談におきましても、男性から相談があったということで排除するわけではございませんで、丁寧に相談をお伺いしまして、御相談の趣旨に応じて、必要に応じては、東京ウィメンズプラザなどの男性が相談できる機関を御案内してございます。
平成二十七年度に実施する男性相談におきましても、今までの周知方法だとか実施方法を工夫して引き続き実施していくとともに、女性のための悩み事相談におきましても、男性から相談等があった場合に丁寧にお話を伺いたいと考えております。
男女共同参画の所管といたしましては、先ほどの調査結果でも必要性の結果を見てとれるところもございますので、男性からの相談も、どのように受けとめていくのか、あり方について検討してまいりたいと考えております。

◆上川あや

今回、これは三回目の質問になるんですけれども、四回目、五回目と繰り返させないように、教訓を踏まえてしっかりやってください。今年度失敗したことを、また同じことを予算化しているということ自体が、どうもやる気がないし、反省がないとのかなという気がして仕方がありません。現実を見据えて、しっかり無駄のない予算配分をお願いいたします。