◆上川あや
今期の議会活動で積み残した課題を幾つか取り上げます。
まず、世田谷区の公益通報制度についてです。
従前の区の制度は、職員が区の組織的な不正を告発、通報しようにも、区そのものが調査を担うというどうしようもない制度でした。国のガイドラインが求める外部の弁護士等を置いた第三者窓口を区は置きませんでした。また、受け付ける範囲も法に定められた最低限度だけ、職員同様、通報の権利を持つ区の出入り業者にも通報の窓口は秘密で、通報概要の公表義務もありませんでした。
その後、これらの課題を私から一つ一つ質疑し続けた結果、二十四年の九月、通報を受け付ける範囲が法に定められた最低限以外にも広がりました。二十五年四月には区の出入り業者にも通報窓口が開示されました。同時に、弁護士を置いた形ばかりの第三者通報窓口もできました。さらに昨年十二月、私の要求を入れて、第三者の弁護士等が調査までを担える、より客観的な制度へと改められました。
ところが、まだ核心的な課題が残っております。第三者の弁護士が調査までを担って、区にその不正を報告したところで、それが事実かどうか認定するのは区が決めるんですね。また、適切な是正措置をとるかどうかを決めるのも区です。結局、都合の悪いことは区が握り潰せる制度のままだと理解をしています。
この点、目黒区の公益通報制度では、区長が適切な是正措置をとらない場合、調査を担った外部弁護士がその事実を公表できる。また、千代田区の公益通報制度でも、区長が適切な是正措置をとらない場合、外部弁護士がその事実を公表、告発、また、監督官庁へ通報できるとしています。
組織の不正を許さない制度改正を行うのであれば、このような制度改正こそ必要だと思いますけれども、区長の見解はいかがでしょうか。
◎保坂 区長
上川委員からたびたび御指摘をいただきまして、この公益通報制度について、今御紹介があったように、昨年十二月に見直しを行ったところです。世田谷の法曹会との協議や、情報公開・個人情報保護審議会での議論を踏まえました。この改正で、第三者の外部弁護士が相談受け付けだけではなくて調査まで実施できるということで、この運用状況を公表することや、弁護士の報告を受け、是正措置が講じられた通報については概要を公表することにしました。このことによって制度の運用の透明性が高まり、より信頼性の高い制度になったと考えていますが、今御指摘された点について、この新しい、十二月に見直したばかりなので、この運用状況、また、挙げられた他の区の状況なども見て、さらに検討を進めていきたいと思います。
◆上川あや
検討ということですので、ぜひ前進させていただかないと困ります。
もう一つ、通報概要の公表対象が是正措置を講じたものと限定されていることも問題だと思います。不正の告発を区が握り潰したケースでは公表する義務がなくなるんですね。実に巧妙なルールだと思います。この点も改めるように指示をしていただきたく思いますけれども、いかがでしょうか。
◎保坂 区長
ただいま答弁申し上げましたとおり、是正措置ということについて公表することになっております。不正の事実があると認定されなかった通報については、職員の権利擁護の観点から概要を公表する予定には現在しておりません。今回始めた運用状況の公表に関して、これを通報が適正に処理されているかどうか、通報内容の件数、あるいはその処理の内容などをしっかり見ながら、職員にまず周知徹底を図っていかなければならないと思いますし、御質問の趣旨、そこに絞っているのはなぜだということはよく理解できましたので、公表できるとしているこの他区の制度設計について、しっかり状況を見ながら改善を目指してまいりたいと思います。
◆上川あや
ぜひよろしくお願いいたします。