具体的な成果

★避雷針だけでは対処できない「誘導雷」対策が進みました。

 

「避雷針があれば大丈夫」という雷対策の「常識」は誤りです。落雷で半径2キロのPCまでも壊れる「誘導雷」対策を上川が要望。本庁舎の無線機器、分庁舎ノバビルの一部設備や区立学校に新たに「避雷器」の設置が進みました。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

◆上川あや

雷被害の対策、雷害対策について伺います。

実はこのテーマでの私の質問は4年ぶりになります。
きっかけは、この七月、次大夫堀民家園の木立に雷が落ちまして、近くの足元灯の配線を伝って入った過大電流により、約百メートル離れた詰め所内の設備が軒並み使えなくなったことでした。園内放送設備、電話機などの通信機器、火災時に古民家に水の幕を張るドレンチャー、火災報知機、監視カメラなどの防災設備が軒並み破損し使えなくなりました。そして、その復旧には千四百四十六万円余りを要するということです。
雷害は避雷針があれば避けられるという常識は電気・通信ネットワークの発達と弱電機器の普及によって今や成り立たないものになっています。落雷は周囲に強い電磁界というものをつくり、一瞬で周囲の電気・通信回線に異常な高電圧を流す。これを専門的には誘導雷と言います。この誘導雷が、理論的には半径二キロの設備、建物内のPC、その内部データまでを壊し得るということなんだそうです。
前回の質問では、お隣三鷹市の市役所周辺に雷が落ちたことで、市庁舎の防災無線、震度計、火災報知機の受電盤等、多くの設備が使えなくなったことを例に、区に対策の強化を求めました。その結果、本庁舎の防災無線等については一定程度改善が図られたとのことなんですが、今回、改めて防災設備の再点検をお願いしてみますと、その設備には弱点が残るということがわかりました。
どういうことなのか、これまでの取り組みと残る問題点を御説明いただければと思います。

◎有馬 災害対策課長

委員の御質問を受けまして、区としましては本庁舎を対象に関係者業者とのヒアリングを行うなど、関係所管で雷対策について検討し、平成二十一年度には電話交換機増設工事の際、雷対策を実施したと聞いております。また、平成二十二年度の地域系防災無線デジタル化工事の際と、平成二十五年度の第一庁舎から第三庁舎への危機管理室移転の際に、防災関連機器の雷対策を実施しております。
あわせて、無線機器等の通信設備につきましては、雷対策を行うともに、地震等による通信規制を想定し、MCA無線機やPHS電話、衛星携帯電話などの多重配備をし、設備に被害があった場合に備えております。一方、防災無線塔の一部や本庁の防災関連機器につながっているJアラートのアンテナ、通信や電気ケーブルの一部につきましては、雷には対応していない状況でございます。

◆上川あや

防災無線塔の一部がだめ、また災対本部につながるJアラートのアンテナ通信ケーブルの一部も電気の通り道になり得るということですね。この対策はどうするんでしょうか。

◎有馬 災害対策課長

現在の雷対策や通信機器の多重配備で対応できていない部分については、費用対効果や他自治体の例も参考にしながら検討してまいりたいと思います。

◆上川あや

その一部でも防災設備で雷害対策がとられているのはこの本庁舎だけということですが、残る四支所についてはどうなんでしょうか。

◎有馬 災害対策課長

総合支所の防災関連機器につきましては、無線のアンテナ及び通信や電気ケーブルに対する雷対策は行っていないと聞いております。

◆上川あや

その対策はどうするんでしょうか。

◎有馬 災害対策課長

まずは本庁舎の雷対策を優先して行いますが、総合支所につきましても連携を図りながら対処してまいります。

◆上川あや

よろしくお願いします。

◆上川あや

今回、市役所という言葉と雷という言葉を入れて新聞記事のデータベースを横断検索でタイトルを検索しました。すると、出るわ出るわ二十八件もの被害報道が出てきました。その一部を読み上げたいと思います。
高岡市役所のエレベーター、三年で九回落雷停止。驚くことに年三回のペースで壊れています。次に、落雷の影響で代表電話不通に、こういう代表電話不通はすごく多かったです。日田市役所。その七日後、同じ日田市役所のニュースです。落雷、日田市役所に、防災放送が一部不能に。そのほかにも、緊急放送装置、落雷でダウン、敦賀市役所。落雷、各地で被害、下関市役所LAN故障。名張市役所など電算端末ダウン、高圧線に落雷、停電。続けて、春日井市役所、落雷でシステム障害、一一九番の受信装置など六時間後に復旧、いかに市役所に落雷に弱い機器が多いかということがわかります。
また、この検索キーワードを庁舎に変えますと、さらに十二件もの被害記事が引っかかりました。
例えば、庁舎に避雷針設置へ、豊浦町、落雷でサイレン誤作動。さらに、読売の記事にこういうものもありました。新県庁舎落雷でエレベーター停止、妊婦ら十五人、一時缶詰め、これは群馬県の新庁舎で実際に起きたトラブルということです。記事紹介はここまでにします。
昨年九月八日には、三重県鈴鹿市役所にも落雷被害がありました。一度の落雷で起きたふぐあいの範囲は非常に広いものになりました。代表的なところを挙げますと、防災監視盤の本体、消防設備監視盤の本体、非常放送設備、防災無線設備の一部、延焼防止の窒素ガス、井戸揚水ポンプ、電話交換機、エレベーター監視盤、そのほか十三の設備が壊れたんです。この被害を契機に、鈴鹿市では総合的な雷害対策をとりまして、工事の設計費用に四百六十二万円、改修工事そのものに二千四百五十七万円を投じて改善を図ったそうです。

今回、鈴鹿市が雷害対策を新たに講じた十二の設備について、区に雷害対策があるのかどうかを確認しましたところ、区に共通する設備は八設備、うち対策がとられていたのは防災監視盤と変電設置設備の二つだけ。逆に言うと、非常用放送設備、電話設備、無停電電源装置、中央監視盤、エレベーター、監視カメラでは対策はとられておりませんでした。区も庁内をきちんと精査して必要な対策をとっていただく必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

◎市川 施設営繕第一課長

落雷による被害は大きく分けて、直撃雷と誘導雷に分かれます。直撃雷は対象そのものに直接落雷することを指し、誘導雷は建物の落雷の際に発生した電圧が誘導電流というものを起こし、その周辺に影響を及ぼすものでございます。人体や建物に大きな影響を及ぼす直撃雷に比べ、誘導雷は電圧電流は小さいのですが、建物内の設備機器に影響を及ぼします。誘導雷の被害を防ぐために庁内ネットワーク対策、防災ネットワークシステム対策、自動火災報知機などの建物の附帯設備の対策が必要となります。この中で、庁内ネットワーク対策は専用のグラスファイバー仕様の回線等の設備で対策済みであります。また防災(「時間がありませんので結論を」と呼ぶ者あり)はい。総合的な対策につきましては、委員お話しの自治体例を参考としまして、最新の機器の技術調査を行い、個別具体的な対策を含めまして、費用対効果も含めまして、関係所管と連携して対策してまいります。

◆上川あや

個別具体的な対策を重ねつつ、検討を重ねて連携してちゃんと取り組んでいただけるということですね。いいですね。

◎市川 施設営繕第一課長

結構でございます。

◆上川あや

終わります。