◆上川あや
続いて美術館の入場料について伺いたいと思います。
昨年十一月の朝日新聞の記事で知ったことですが、フランスのルーブル美術館の入館無料の対象者には、十八歳未満、障害者などと並んで、失業者、生活保護受給者とあるそうです。生活保護受給者がなぜ無料になるのか。現地NGO幹部のコメントとして、美は余裕のある人たちのためにだけあるのではない。困難にある人ほど、文化を通して苦しい境遇以外のことに思いをはせる時間が必要だとありまして、私は強く共感いたしました。
翻って、日本の博物館法の二十三条にはこうあります。「公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない」とあります。日本でも美術館は基本的に無料なはずなんですね。条文はやむを得ない事情のある場合は徴収できると続くんですが、生活保護受給者や生活困窮者から入場料を取ることが本当にやむを得ないことなのか、非常に疑問なので、この点、きちんとした説明を求めます。
また、実際、北海道立の四つの美術館、札幌市立、旭川市立の動物園、茨城県立美術館等で生活保護受給者は無料となっています。世田谷でも生活保護受給者からお代をいただく必要はなく、むしろ来年度から始まる生活困窮者支援センターの相談者等に招待券をお配りするなど、励ますくらいの姿勢があっていいと思っているんですけれども、いかがでしょう。
◎清水 文化・国際課長
世田谷美術館、世田谷文学館の入館料は、各条例で料金を規定し、この規定に基づいて入館料を徴収しております。また同様に、学生、高齢者、障害者を割引の対象としております。
博物館法二十三条には「博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」と規定されており、美術館、文学館の維持運営については創意工夫を凝らし、入場者収益の向上に努めておるところでございます。
一方、区や文化財団では、区民の皆様が身近に文化・芸術に触れる機会を提供する取り組みといたしまして、公園への彫刻の設置や音楽の演奏などを初めとして積極的に事業の推進を図っております。
美術館では、開館記念日、三月三十日や、国際博物館の日、五月十八日はミュージアムコレクションを無料観覧にしております。こうした機会もぜひ御利用いただき、区民の皆様には文化・芸術を享受していただきたいと考えております。
生活保護者などの方への無料招待券の配付等については……。