◆上川あや
私からは、2010年3月の予算審議でも取り上げました立体都市公園制度について取り上げたいと思います。
本日は、具体的な活用例を御紹介しまして、話を進めてまいりたいと思います。
まず、お示しします一枚目は、昨年の四月に全面オープンした横浜市立アメリカ山公園というもので、全国初の立体都市公園ということです。奥側に見える緑の部分と手前の広場部分、合わせて全体が立体都市公園の用地内ですけれども、緑の奥側は横浜山手の台地の上になっています。一方で手前の広場側、この下はブランドステートメントの元町商店街なんですが、商店街に面した四階建てビルの屋上部分にあるということで、これは合築複合化で公園と合わせているというところに特徴があります。これによって公共用地の重層的な活用と、また、緑の区域の創出、そして、これまで上りおりが大変だった台地の上と下とをここにあるエスカレーター、そしてエレベーターで結ぶということで交通の利便性も一緒に図ることができて、高齢者も上れる公園になっております。
手前の建物に何があるかというのが二枚目のパネルになります。
三枚目は、集会施設、そして、何と認可保育園が入っております。四階部分には結婚式場が入っていまして、チャペルですとか宴会場が用意されているということで、規制緩和によりまして認可保育園。近くに公園があれば設置が可能ということですけれども、今回の部分ですと、屋上にある芝生の広い公園が園庭がわり。また、結婚式場も屋上部分を結婚式、ガーデンウエディングの会場として市として活用するということで、一石何鳥にもなるというのがこの計画の完成によって実現されました。
この公園の完成で、緑の創出と山手への足の確保、また、横浜でも懸案とされてきた保育園の整備、さらに、町のブランドアップ戦略として市がとても力を入れている横浜ウエディング、人生の記念の地にしてくださいという、この全てを同時に手に入れるということになりました。複数のニーズを一度に満たすこうした傾斜地の活用例、都市デザインの観点から見ても関心が高いのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
◎髙木 都市デザイン課長
横浜市アメリカ山公園は立体都市公園制度を活用してございまして、委員お話しのとおり、傾斜地における公園施設と建物を合わせた一体整備につきましては垂直に移動できる手段の確保が比較的用意であることから、利用者のそれぞれの施設利用の魅力を増すことにつながっているものと推測しております。柔軟な発想で土地の有効利用活用によりまして施設を集積しまして、魅力ある施設づくりを目指すということは大変有意義であると考えてございます。今後お話しのような施設建設のケースがある場合には、誰にでも優しい魅力ある施設づくりのために、ユニバーサルデザインの考え方や世田谷らしい都市デザインの実現に向けまして、公園所管とともに研究検討してまいります。
◆上川あや
今回私が考えましたのは、これに似た環境整備というものは、世田谷区では可能ではないのだろうかと思っています。
例えば昨年、本会議で区からも答弁がありました築四十六年が経過した梅丘図書館の建てかえにあわせて、屋上を公園として一体化する。背後が羽根木公園の森ですので、これと一体化するということはどうでしょうか。図書館のエレベーターを使うことで梅林のある上部に上がることが容易になります。緑の中の図書館では快適性が増しますし、公園での読書も考えられると思います。
あわせて、公園に直接出入りできる保育園をつくることも可能ですし、また、便益施設としてカフェを中に誘致することで公園の魅力はさらに増すことでしょう。こうした合築複合化で緑地面積をアップさせることもできますので、いささか唐突な提案ではあるんですけれども、公園緑地課長としてはどのようにお感じになられるでしょうか。
◎笠原 公園緑地課長
委員お話しのように、斜面地などにある公園で地盤と施設とを一体的に整備するケースでは、例えば、この春、開園いたしました二子玉川公園のビジターセンターが公園の低いところ、また、高いところを建物のエレベーターによってつないで利便性を高めるような整備が可能となるケースもございます。
御提案についての感想ですけれども、当該施設は確かに公園の南側斜面の下に位置していることでもありますので、もし将来、現地で建てかえなどあれば、公園と建物を一体的に整備することで、アクセス性、また、利便性の向上や、屋上の緑化なども幾らか見込めるということもありますので、とても興味深いアイデアであると思っております。
◆上川あや
ありがとうございます。
最後に、所管横断的な考え方でもありますので、副区長にもお伺いをしたいと思います。
板垣副区長は、かつて都市デザイン室の中核にいらしたお一人だと私は伺っております。議員になってこの方、十年たちますが、かつての都市デザイン室の武勇伝は幾度となく聞いてまいりました。まだ景観という考え方が日本では定着していなかった時代に、世田谷美術館から見える世田谷清掃工場の煙突が赤白では無粋だということで、コンペにかけて雲や空を描いてみせたり、また、馬事公苑前のけやき広場を車の通れない緑いっぱいの広場にして、しかし、法的には道路と位置づけて整備を行ったり、全国的にも前例のないアイデアが次々と生まれて、また実践されてきたと伺いました。この都市デザイン室で実際事業に携わられた副区長の目に、こういった制度の援用というものはどのように映るんでしょうか。今後、公共施設の合築複合化を区は進めるとしていますし、保育園、特養等、適地を探さなければならないものも多いですし、バリアフリーの観点からも合築複合化に公園を含めることは有効だと思いますが、いかがでしょう。
◎板垣 副区長
昭和五十七年当時、都市デザイン室が発足しまして、私も平成三年度、四年度の二年間ほど在籍しましたが、その在籍前からいろんなプロジェクトに都市デザイン室と絡みながらやっていました。今、御指摘いただいた馬事公苑内のけやき広場はまさに私が工事の担当もしまして、いろいろ苦労したことでもございます。あの整備をしたことによって、馬事公苑そのものが、万年塀がきれいになったりとか、あるいは農大の「食と農」の博物館が後でできたりとかということで、馬事公苑の整備を契機として、周辺の環境あるいは景観もよくなるようなことを経験しまして、大変いい経験をしたと思っております。
今後につきましては、さらに魅力ある世田谷のまちづくりに取り組むように、都市デザインでの経験を若い職員にも伝えながら、お話のような制度の活用や施設づくりの創意工夫によりまして、都市デザインを具現化していきたいと考えております。