★戸籍情報等の流出を知らせる制度ができました。
平成24年に発覚した戸籍謄本等の大量不正取得事件では、区からも141件の情報が流出しましたが、区は被害者に情報流出を告知せず、ストーカー行為や不当な差別に利用されても被害者は気づけませんでした。
上川の要求で、昨年3月、被害者告知制度がスタートしました。
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◆上川あや
続いて、戸籍謄本等の不正取得に対する区の対処について伺います。
司法書士、行政書士など八士業は、行政書士会などが頒布する戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書を使うことで、本人の同意なく戸籍謄本等が請求できることを悪用した個人情報不正取得事件が全国で繰り返し起きています。
おととし十一月には、司法書士らによる一万件に及ぶ不正取得が発覚。司法書士が職務上請求書を二万枚も偽造し、探偵社に名義を貸すことで、全国で一万件にも及ぶ戸籍謄本等の不正取得が行われ、情報は一件一万数千円から数万円で売買の上、その大半が不正な身元調査に使われたと判明しています。
本件を取り扱った名古屋地裁の裁判長は、個人情報を有償で提起し利益を上げる仕組みをつくり上げた。本人の知らないところで個人情報を売買して大量に流通させ、日常生活を脅かされる被害も生じたと明確に指摘、その後控訴が棄却され、刑も確定しています。本件について真相究明を進めている関係者に情報提供のお願いをしましたところ、世田谷区だけでも、本件だけで八十八件の戸籍、住民票が抜き取られたとわかりました。その後判明した関連ルートの犯罪と合わせると、当区からの不正取得は百四十一通に上り、都内最大の被害規模です。
ところが、当区は個人情報が不正に抜き取られた事実を本人に一切伝えておりません。都内十一区がこの件を受け、すぐに当人に知らせたにもかかわらずです。このため、不正に取得された情報が悪用され、ストーカーや脅迫、不採用、婚約破棄などに利用されても、被害者はその原因が区の情報流失にあるとは気づけない、危険回避の対策さえとれない。こうした状況はすぐにでも改めるべきです。他区同様、本人への告知を求めますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
さらに、不正の有無にかかわらず、住民票の写しや戸籍謄本などを代理人や第三者に交付した場合に本人にその事実を告知する制度、本人通知制度を導入した自治体も、先月初めの時点で三百七十、全国の四分の一を超えております。区も、みずからの情報をみずからが管理する自己情報コントロール権確立の見地から、その制度化を検討するべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。以上、見解を求めます。
◎齋藤 生活文化部長
戸籍謄本等の不正取得に対する対応で、不正に取得された場合の本人への告知及び不正の有無にかかわらず本人に通知する制度、この二点についてお答えいたします。
戸籍謄本等の交付請求につきましては、不正な請求を防止し個人情報の保護を図るため、平成十九年の法改正によりまして、本人確認、第三者請求及び弁護士等の職務上請求に関して厳格な要件や手続を定めております。
ところが、依然として不正取得の疑いのある事件が起きており、戸籍謄本等が不正に取得されたことが明らかになった場合に、その事実を本人に通知する制度を設けている自治体がございます。また、不正の有無にかかわらず、本人以外の者に戸籍謄本等の写しを交付したときに、事前に登録した本人にその事実を通知する制度を実施しているところもございます。
不正に取得された場合の本人告知は、被害者保護の観点などから導入されているものと認識しておりますが、不正取得の事実をどのように把握し認定していくかなどさまざまな課題があり、まずは実務の上から導入している二十三区の中の幾つかの区の現状及び実績、これを確認することから始めさせていただきたいと存じます。
一方、事前に登録した者に通知する制度では、遺言書の作成、保全処分等、国民の正当な権利行使に支障を及ぼすおそれが日本弁護士連合会などから指摘されております。あわせまして、こうした通知制度は各自治体の判断に任せるのではなく、国として適切な措置を講ずるように求める要望も同連合会から提出されている状況もあり、慎重な検討を要するものと考えております。
いずれにいたしましても、これら通知制度にはさまざまな見解や課題がございますが、不正取得の点を踏まえますと大変ゆゆしき問題であり、看過することはできないと考えておりますので、区として適切な対応に向け、早急に判断してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆上川あや
ただいま齋藤部長から御答弁いただきましたが、判然といたしませんので、区長に再質問させていただきます。
区の御答弁は、不正請求が明らかになったケースでは、本人に被害を告知するとお約束するでもなく、また、どのような再発防止策などをとり得るかを検討するというふうにはっきり申し伝えてくるものでもなく、今さら二十三区の状況、幾つかの状況と言いましたが、十二区やっています。それを確認するというもので、非常に消極的です。
プライム事件だけで抜き取られた情報が百四十一件です。そこには、被害を受けた市民も区民もいるんです。区長が掲げる情報公開の徹底にもこれは反していますので、この課題についてどのように区長はお考えになっているのか見解を伺いたいと思います。
◎保坂 区長
御指摘の不正取得の件についてでございますけれども、一九九〇年代半ばに、まだ日本社会に個人情報保護法の法制がなかったころ、当時、自社さ政権の中で個人情報保護法制に関するプロジェクトチームのメンバーとして当初から議論していたのが、今議員もおっしゃった自己情報コントロール権でございます。自分の情報がどのように扱われているのかを知る権利、あるいはみずからの情報にアクセスする権利も含めてきちっと法制化するという点について議論が途上のままになっているということを感じます。
今回、とりわけ多くの戸籍あるいは住民票等々を売買して有罪判決を受けて、判決も確定をしているということですので、まさに世田谷区民の、御指摘によると百四十数件について、これはまさに御本人に告知をするべきだと思いますし、これを本人告知をするよう指示をしてまいりたいと思います。これは二十三区中十二区が行っていて、十一区が事務取扱要領等を整えたり、要綱をつくっている区もあるというふうに聞いております。
また、本件ですが、法務省民事局から東京法務局を通して、戸籍謄本の不正取得を行った行政書士等の個人名が付されて、この者がまた請求をした際に、これは出さないでほしいと、交付するなと、そして、逆にその事実があったことを提報しろというような通知が来ております。
しかし、法務省民事局ともやりとりしましたけれども、その時期等を絞り込んで、その情報を的確、スピーディーに区としても御本人に告知できるような協力を今求めているところであります。
◆上川あや
御答弁ありがとうございました。期待しております。
再質問を改めてしたいんですが、時間がございませんのでこれで終わります。