◆上川あや

続いて、この春復元された旧清水邸書院の活用について伺います。

提案の第一は、文化財の価値を積極的に伝えることについてです。
この春、二子玉川公園内に旧清水邸書院が移築、復元されたことは、提案した議員として大変喜ばしく思っています。とはいえ、週に一回、日曜日のみの公開で、大人も子どももただ出入り自由という公開のあり方では、文化財の価値も伝わらず、見物してもおもしろ味に欠け、また、文化財を大切に扱い、守っていこうという土壌さえ育たず、余りにももったいないと感じます。その文化や歴史、伝統のわざ等を伝える解説ボランティアを養成し、魅力を発信するとともに、適正な管理に努めていくべきと考えますが、いかがか。見解を求めます。

第二に、文化財としての価値を生かしたプロモーションについてです。
横浜市では、〇五年以降、市の集客プロモーション活動の一環として、魅力ある市有建築物を結婚式場、披露宴会場等に貸し出す横濱ウエディングを開催しています。この中には、市所有の文化財建築物も複数含まれており、横浜山手の観光地にある六軒の西洋館もその対象となっています。市指定文化財のイギリス館、山手百十一番館、市認定歴史的建築物のエリスマン邸、ブラフ十八番館、ベーリックホール、国指定重要文化財の外交官の家までもが月に数回日を決めて貸し出され、一館一日当たり十万から十五万の使用料を得つつ、多くの利用者から喜ばれています。
また同様に、国名勝の三渓園内の文化的建築物、鶴翔閣も貸し出し対象となっており、午前、午後の二こまで平日十八万円、土日は二十七万円の使用料を徴収、さらに、庭園内の撮影にも一カ所当たり九千百円の占有料を設定し、通常、四時間二万円の部屋とセットで、昨年度は実に五百件を超えるほどの人気サービスとなっています。
旧清水邸書院と日本庭園帰真園でも、その文化財としての価値、特色を生かし、茶会の席、園遊会会場、結納、顔合わせの席などとして、相応の値段で積極的に貸し出し、税外収入を得つつ、多くの方にお喜びいただいてはどうかと考えます。区長の見解を伺います。

◎保坂 区長

上川議員にお答えいたします。
議員御指摘の帰真園、そして復元をされました旧清水邸書院について、より多くの区民の皆さんにその魅力、よさを知っていただくことは大変重要なことだと思います。日本庭園の中にできた歴史的建造物、これについて復元の難しさであるとか、さまざま大正時代の照明器具などを再現したことなども含めて克明に伝えていくような体制をつくっていきたいというふうに考えます。
また、撮影許可あるいはさまざまな利用などに関して税外収入の確保ができるのではないかという御指摘もいただきました。今後、前向きに検討していくべき課題だというふうに考えております。
一方、登録文化財として初めてこの日本庭園の中にできたという位置づけの中で、管理保全のための利用頻度をどのぐらいにすべきか、また、利用していただくルールなどについて、今後利用者の御意見あるいはさまざまな専門家の御意見なども含めて、なるべく早い段階でこの体制ができるように検証していきたいと思っております。
また、今後とも帰真園に限らず各施設の利用状況、今の活用状況を見ながら、文化財あるいは区で保有しているスペースを区民に開くということについて、可能性を早期に検討していきたいというふうに思います。

◎伊佐 教育政策部長

私からは、旧清水邸書院の有効活用及び棚網家板倉の移築、復元についてお答えをいたします。
まず、旧清水邸書院の有効活用ということでございますけれども、議員お話しのように、文化財の価値をより深く理解していただくために、開放時間を確保するばかりでなく、丁寧な解説をしていくことも大切なことと考えております。
そこで、教育委員会といたしまして、試みに旧清水邸書院や日本庭園の帰真園をわかりやすく説明できるように、文化財ボランティアを育成しているところでございます。こうした取り組みを手始めにいたしまして、今後とも区民が文化財のよさをより理解していただけるよう工夫に努めてまいります。