◆上川あや

本日私からは、図書館の業務の改善についてお伺いしたいと思います。

初めに、眺めますとほほうと驚くようなグラフをお示ししたいと思います。
このグラフはことしの四月十八日になりますが、大阪・箕面市の記者発表で使われたグラフです。報道の資料のタイトルですが、箕面市の図書館がサービス充実の全面リニューアル、府内初、貸し出し、返却を完全に自動化、年間の図書購入費二倍にというものです。このタイトルだけを聞きますと、さもお金がかかりそうだというふうに考えるかもしれませんが、実態は全く逆だというグラフです。

大阪・箕面市の記者発表で使われたグラフ※クリックすると拡大します

まずこの上のグラフなんですが、これがこの四月全面リニューアルする以前の状況です。
全六館あって、総経費は三億九千万円ということで、その内訳を見ますと、図書の購入費が三千百万円、配本業務などのサービス提供料が八千九百万円、これに対して人件費が大きくありまして二億七千万円という状況です。これがリニューアルされまして、一館ふえて六館が七館になります。七館になって、その内訳を見ますと、図書の購入費はこれまでの倍増ということで六千二百万円、サービス提供料も八百万円増ということで、iPadの貸し出しを新たに始めたり、無線LANを図書館に整備する、あるいは開館日数を二十日以上ふやすということで大幅にサービスを拡充します。一方で、人件費のほうはどうかといいますと、これまで六館で二億七千万円かかっていたのが、八館にふえて一億九千万円ということで、八千万円減ということなんですね。トータルとしては三億四千九百万円ということで、四千百万円の減、サービス増、図書館の数も増、しかし、経費は四千百万円の減ということです。
なぜこんなことができるようになったのかといいますと、以前、自民の大場委員からも提案がありました、ICタグシステムの導入なんです。その事例を検証しますと、図書の貸し出し、返却が自動化されるだけではなくて、人件費が削減されることだけではなくて、非常にメリットが多いと感じました。
まず、司書の仕事の八割を占めるカウンター業務そのものがなくなります。これによって、選書や来館者へのサービスなど対人サービスを大幅に充実することができる。また、本の貸し出しも機械にまとめて乗っけていただくだけですので、まずカウンター業務の待ち行列そのものが図書館からなくなるそうです。また、貸し出し図書のプライバシーが守られるということもありまして、利用者と貸出件数が大幅にアップする、そういった図書館が多いそうでして、この事例の先行事例として視察に訪れた三鷹市立図書館、全館導入しましたが、利用登録者は一・七倍、貸出数も一・四倍以上に伸びていると伺いました。
さらに、休館を要する蔵書点検の期間が三分の一に減るということで、先ほど申し上げたように、大幅に開館日数をアップできます。これまでに比べて労力が少なくなりますので、職員の数が少なくなるということで、先ほどの人件費の減、大幅減につながっています。浮いた経費でサービスそのものを大幅に拡充することができる。それでもなおかつ安くなるということです。
世田谷区の図書館ビジョン、前期のものを見ますと、二〇〇二年からこれは検討になっているんですね。二年連続で検討で、ことし改定された図書館ビジョン、今年度、来年度と相変わらず検討なんですね。一体何年間検討するんでしょうか。ほかの区の状況もあわせてお聞かせいただければと思います。

◎千葉 中央図書館長

ご指摘のICタグシステムにつきましては、さまざまに利便性があるものと認識しておりまして、業務の効率化に大きく寄与するものと認識しております。
そこで、今ご指摘がございましたけれども、世田谷区立図書館ビジョンにおきまして、ICタグの導入と関連機器を整備するものとして位置づけておりまして、申しわけございませんが、現在も検討中の状況でございます。
都内の導入状況につきましてです。七つの区において全館に、四つの区において一部の館に、そのほかの区は世田谷区と同様に検討中というふうに伺っております。

◆上川あや

本当に、はっきり申し上げて時間をかけ過ぎなんですね。きのう大場委員とも少し話をしたんですが、検討の結果をしっかり生かしていただかなければ困ります。
あとこの効果、ICタグを入れまして見逃せないのが、大幅な紛失本の削減にもつながるということで、一般的に紛失本の数は全国平均三%と言われているそうです。先ほどご紹介した三鷹市立図書館の紛失率は、従来一・二%だったんですが、これを導入してBDS、いわゆる盗難防止装置を一緒に入れたことで、これが〇・〇七%にまで減ったということです。
一方、世田谷区の紛失率を聞きますと、〇・六%、年間一万点、金額にすると約二千三百万円ということで、これが大幅に減ることだけでもこの導入する投資の経費、かなり出るんじゃないかというふうに思うんです。ただ、このBDSの導入を考えているということを聞いているんですけれども、ICタグを入れることを検討中にしているのであれば、二重投資にならないように、無駄のないように投資をしていただかなければ区民としては納得できませんが、その点はいかがでしょうか。

◎千葉 中央図書館長

BDSの設置につきましてですが、現状は、不明本についてご質問がございましたように、これがあるなしで見ますと、まずあるところについては、不明率が〇・一六%、設置していないところは〇・七五%ということで、約五倍の違いがございます。こういったことから、BDSをICチップとあわせて導入することは、私どもも望ましいものというふうに思っております。しかし、先ほど言いましたように、ICチップについては現在検討中ということもございまして、一方で図書館の改築等も進んでおります。こういった機会をとらえまして、直面する課題と認識しております無断持ち出しの防止、さらには利用者のモラルアップ、これらを図るために先行して設置してまいりたいというふうに考えているところでございます。

◆上川あや

ほかにも世田谷区の図書館の後進性を改めて問うものを持ってきたんですが、これは何だかわかりますか。もう一昔前、二昔前、私はこれを見て思わず懐かしいと見たんですが、同時に失笑しました。これは世田谷区のまちかど図書室で使われている貸出券なんですね。バーコード以前の、数十年前に廃止されたかと思いきや、これが世田谷区で使われている。全国から学生さんが集まって、地方から来て、東京の図書館に行ったらこれがあるんです。この後進性は何とかならないんですか。これも検討のままなんですよ。いかがでしょう。

◎千葉 中央図書館長

まちかど図書室につきましては、サービスの拡大等について、今般、喜多見まちかど図書室がリニューアルオープンする予定でございます。そこでは、サービスの拡大、つまり今ご指摘されましたカードの使用とか、開館時間とか、そういったものを拡大することになっておりますので、その利用状況等を見ながら、これからのまちかど図書室のサービスアップ実現につなげていきたいというふうに考えております。

◆上川あや

検討の結果をしっかり生かしてください。