具体的な成果

★最重度身体障害者の介護支給審査が改められました。

 

1日17時間を超える重度訪問介護の支給審査について、区は条例に反し標準的な処理期間を定めていませんでした。上川の追及で、区は不定期の審査会を定期開催に変更。最長で1年3ヶ月もかかっていた審査が、概ね1ヶ月に短縮されました。

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◆上川あや

最重度身体障害者の在宅介護支援について伺います。

世田谷区では、昨年度からようやく区の要綱の基準量の最高の値、一日十七時間を超える介護支給に踏み出しました。しかし、これを審査する非定型審査会は、障害者当事者の委員を含む要件が存在せず、当人にさえ非開示の会議となっています。しかも、標準的な処理期間さえ示されておらず、支給決定が先延ばしにされている方がいらっしゃるということを伺いました。
世田谷区の行政手続条例第6条は、「行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない」と定めています。つまり、区の先ほどの事務はこれに反しています。これは条例違反ではないのでしょうか。
また、そもそもこのような行政お手盛りの会議で支給決定を行うこと自体不当だと考えますが、いかがでしょう。

◎知久 障害施策推進課長

最重度の障害者の方の居宅介護サービスに係る支給決定について、本人の障害の状況や生活実態、介護状況などを勘案し、支給量増が認められる場合に、ご指摘の非定型の支給決定を昨年度から実施しております。実施に当たっては、国の事務処理要領及び区の要綱に基づき、障害認定審査会に意見を求め、区が決定しています。
国の事務処理要領によりますと、市町村は個々の障害者の事情に応じ、支給決定基準と異なる支給決定、いわゆる非定型の支給決定を行う必要がある場合には、市町村は支給決定案とともに支給決定基準と乖離する支給決定案を作成した理由を付して区市町村審査会へ諮ることが適当である。また、審査会は第三者に対し原則非公開とされ、本人から公開の申し出があった場合、審査会資料は公開されることが望ましいとされております。区は、透明性を確保するため、本人からの申し出に応じ審査会資料を公開しています。
ご指摘のように、行政手続条例には、申請から処分までの通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるよう規定されておりますが、現在定めておりません。申請から決定までの時間を要する事例はございましたが、今後は非定型支給決定事例を積み上げ、経験値を高めていくことで申請から支給決定までの期間の短縮につなげてまいります。

◆上川あや

相変わらず不当だと思うんです。区が条例にみずから定めている標準処理期間を定めるつもりもないということなんでしょうか、お答えください。

◎知久 障害施策推進課長

課題として、個々の事例による違いが大きく、配慮に要する時間が必要なこと。また、非定型支給決定は昨年度からの取り組みであり、緒についたところでございます。ご指摘の点について、他自治体の状況の調査ですとか課題の整理を行ってまいりたいと考えております。

◆上川あや

ほかにも問題があります。
一日十七時間までで頭打ちにされてきた支給量が非定型という形でふやされてきましたけれども、深夜トイレが何回必要か、体位交換がいつ必要かなど、本来定型化できるはずもないケアについてまで深夜一時半から三十分、明け方四時半から三十分などと時間まで決めて合わせて一時間増という無理くりな算定の仕方をしているんですね。これは、現実に二十四時間の線で支えられている最重度身体障害者の命のケアについて、無理やり細切れの点で支えようとするものだと思います。
厚労省の通知、重度訪問介護等の適正な支給決定についてでも、その支給の必要性が明記されている見守り介助の考え方に反すると思います。また、本年四月の和歌山地裁判決、昨年十二月の大阪高裁判決で確立されたと日弁連が言っている見守り介助を認める法理にも反すると考えますけれども、いかがでしょうか。

◎知久 障害施策推進課長

国の資料によりますと、最重度身体障害者が利用する重度訪問介護サービスは、比較的長時間にわたり総合的かつ断続的に提供されるものであり、これが一日に複数回提供される場合であっても、一回当たりのサービスについては基本的には見守りを含む比較的長時間にわたる支援を想定しているとしています。非定型ケースにおける世田谷区におきます支給決定時間の算出の着眼点として、日中は活動されている時間帯であることから、日常生活に生じるさまざまな介護の実態に対応するため、見守りを含む介護時間を支給量に反映しています。
個人差はございますが、日中については長時間にわたる総合的な介護時間として十七から十八時間を支給量として算定しています。また、夜間は体位交換や排せつ介助など具体的な介護や、医療機器の作動確認などの時間数を断続的に三十分から一時間単位で支給量として試算しております。夜間の見守りについては、活動している日中時間帯の見守りとは別に区別し、例えば薬等の医療的処置をしてもなおかつ突発的に発熱やたんの増加などが起こる可能性が高い場合などに、障害者の傍らで常時見守ることなどを支給量に反映すべきか検討が必要と考えています。
区としましては、障害者の生活実態や介護状況など、個別事情に即した支給量の決定を行ってきたものと認識しております。

◆上川あや

国の通知では、日中と夜間で見守りの扱いを変えていいなどとは全く書いていないんですね。ところが、世田谷区は日中と夜間とを勝手に分けている。これはご都合主義な切り分けだと思いますし、全く不当です。区は、結局夜間の見守りそのものを否定するということなんでしょうか、お答えください。

◎知久 障害施策推進課長

活動時間帯である日中の見守りと就寝中の夜間の見守りの考え方はご答弁で述べさせていただきました。今後、当事者の方々も含めた勉強会を開催するなどし、非定型ケースにおける見守りに関しての事例などを積み重ね、例示できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

◆上川あや

昨年十二月十四日になりますけれども、大阪高裁のいわゆる石田訴訟控訴審判決では、一日十八時間を下回る支給決定は違法である旨を認定、明示した上で、石田さんに一日十八時間の公的介護を給付すると和歌山市の財政に一定の影響はあると考えられるものの、証拠上具体的にいかなる支障が生じるか明らかでないとしまして、和歌山市の主張を退け、財政に与える影響を考慮しなかった。つまり、財政状況を理由とした自治体の公的介護給付の切り捨ては安易に許されないということを判示しました。この点についてはどうお考えになりますか。

◎知久 障害施策推進課長

財政状況を理由とした自治体の介護給付費の切り捨ては好ましくないと認識しております。国は、全国の九割程度の区市町村の支給実績をカバーできるよう、サービスの種類に応じ障害程度区分ごとに国庫負担基準を定め、給付費の上限を定めております。区における居宅介護サービスの給付費は国庫負担額を超えております。
区としましては、最重度全身性障害の方へのサービス拡充に取り組む区市町村の負担軽減に向け、国の安定的な財政支援が必要であると考えております。

◆上川あや

国の補てんがないからといって、区民の命のケアをおろそかにすることは許されませんので、しっかりとした対処をお願いいたします。善処してください。