◆上川あや

提案の第二は、寄附をもとにした公園用地の取得の促進です。

区制百周年となる平成四十四年にみどり率三三%とする目標を掲げている世田谷区ですが、大蔵第二運動場や仮称二子玉川公園などの取得、都内初となる緑化地域制度の導入など、民有地の緑化推進策を積極的に進めつつも、昨年の調査では、みどり率が二四・六%と、十八年度と比べて〇・九六ポイント低下しています。財政難の折、地価の高い世田谷区でいかに公園、緑地をふやしていくべきか、その具体的なアイデアが求められるわけですが、その打開策の一つとして、公園用地の寄附を積極的に求め、寄附された方々を顕彰する寄附公園制度をつくることを提案いたします。
東京都の前身、かつての東京市による公園整備では、公園所管の独立採算制ですべての事業が進められ、公園用地の確保から整備、職員給与の支払いまでもが公園地の貸与収入で賄われたといいます。こうした状況のもと、特に力を入れて取り組まれたのが寄附公園の推進。市民、事業者、皇室などから積極的に公園用地をもらい受ける努力でした。
当時この取り組みを主導した東京市公園課長の井下清氏のニックネームは、ずばりもらい頭だったといいます。当時もらい受けた公園用地は、井の頭公園、清澄庭園、有栖川宮記念公園、碑文谷公園、向島百花園、乃木公園などとして結実し、こうした中には、区内の蘆花恒春園や田園調布の宝来公園なども含まれています。公園用地は税で購入するものという硬直化した考えはこの際捨てて、積極的に区民の善意をまちづくりに生かすべきであります。
世田谷区の公園調書を眺めますと、寄附によって手に入れた公園用地が既に散見されることに気づきます。しかし、その多くは所有者が積極的に寄附したものではなく、かつて一定規模以上の集合住宅等の建築があった場合に、区の指導のもと一部の土地を提供いただいた提供公園の名残だといいます。
一方、横浜市は、公園用地を寄附した場合に、寄附者の名前を公園緑地名の一部として残せる寄附受納制度を運用し、昨年度で二件、今年度も三件の土地を手に入れるなど工夫しています。公園用地を寄附すればあなたの名は末永く地図に残りますよという順序を変えたネーミングライツが一つの魅力となっています。区でも寄附へのインセンティブを高める工夫の一つとして取り入れてはどうかと考えますが、見解を伺います。

◎工藤 みどりとみず政策担当部長

寄附行為についてお答えいたします。

横浜市の公園緑地の寄附受納制度は、寄附を受ける土地の受納基準を設けていること、寄附する土地の事前登録の制度があること及び公園緑地の名称に寄附者の名前を冠することができるなどの特徴があり、要綱で定めております。
世田谷区では、所有者から寄附の申し出があった場合、世田谷区指定寄附受け入れ取り扱い指針に基づき、公園緑地としての土地の寄附を受領しており、これまでも数年に一件の割合で土地の寄附をいただき、船橋三丁目能勢公園、松之木都市林、上馬塩田緑地、成城五丁目猪股庭園などを開園してきております。また、寄贈者のご希望があれば、ただいまの例として述べましたように、名前を公園の一部に冠することも実施しております。こうした寄附による公園は、みどり率向上のためにも、区の魅力アップのためにも今後さらに大切なことになると認識しております。
お話にあった横浜市の寄附受納制度の例は、事前に受納基準が明確に示されているなど、寄附を考えている市民にとってわかりやすくなっております。今後さらに多くの篤志家が出現するためには、区の寄附受納制度につきまして、横浜市の制度や他自治体の例も参考にして、関係する所管と連携しながら、改善に向け前向きに研究してまいりたいと考えております。
以上です。