◆上川あや

私からは、来年度設置が予定されております人権・男女共同参画担当課について伺ってまいります。

ようやく世田谷区でも人権施策が、たとえ名前だけでも課のレベルになったのかという感慨を私は受けとめまして、組織改正のお話を伺いました。
二十三区を見渡しますと、人権という名のついた課は既に九区にあったわけですけれども、世田谷区では、課はおろか、係一つ置かれてこなかった。それどころか、区の組織規則にさえ人権のじの字もない時代が長かった。各部各課の担当事務を定める組織規則に記載がないということは、区が担うべき事務として自覚を全くしていないということを意味します。
余りの無責任体制に、人権の責任者の一人ぐらい任じていて当然だということを前熊本区長に質疑で伺いまして、再検討を求めた結果、組織規則に初めて人権が記載されたのが二〇〇七年のこと、つい最近のことです。このことからも、今回の組織改正がいかに大きな変化かということがわかります。とはいえ、名前だけの変化ということでは困りますので、きょうはその中身について伺いたいと思います。
まず、二〇〇七年十月の本会議で、既存の枠組みから外れる課題、性的マイノリティーのことを伺った際に、区の担当所管はどこなのかということも含めて伺いました。ところが、質問通告から一週間、本会議前日の夜遅くになるまで、担当所管は定まりませんでした。伺いますと、政策経営部、総務部、そして生活文化部がお互い押しつけ合っているという状況で、私は非常に閉口したんですね、落胆しました。
結局、これは、私から生活文化部長にお電話を入れまして、そちらで引き受けていただきたいということをお願いして、引き受けていただいて落着はしたんですが、既存の枠組みから外れると途端に機能不全を起こす、そういった世田谷区の現実が図らずも露呈されたと感じたんです。
今回、人権専門所管の誕生で、こうしたたらい回し、押しつけ合いはなくなると期待するんですけれども、いかがでしょうか。

◎大石 男女共同参画担当課長

まずは状況等を確認させていただき、私どもでしっかりと庁内で対応した上で、既存の人権関連である場合には、そちらにスムーズに引き継がせていただきたいと思います。また、委員お話しのように新しい人権課題の場合には、全体調整を担当する部署として、まずしっかり対応、調整するというような役割分担を担っているものと認識しております。

◆上川あや

速やかな対応を期待していますので、お願いいたします。

◆上川あや

続いて、本日は、世田谷区の人権の取り組み状況を考察するために二枚のパネルを準備しました。
一つ目のこのパネルは、今年度の特別区の男女共同参画の予算額です。

23区の男女共同参画予算 ※クリックすると拡大します

 

23区の男女共同参画予算

 
上から順に予算額が多い区を並べておりまして、世田谷区はどこにあるのかというと、二十三区のうち十二位で、予算額五千百九十六万円余ということなんですけれども、二十三区平均の金額で言うとその九割、当然人口比で考えますと、これはもうこの順位の真ん中からずっと落ちてしまうということで、トップを走っている江東区の予算の三七%しかありませんでした。これは参考です。

続きまして、では、男女共同参画を除いた世田谷区の人権の取り組み状況はどうかということで、ここに二十三年度、今年度の特別区の人権施策予算を、やはり金額が多い順に上から下までずらっと並べました。

23区の人権施策予算 ※クリックすると拡大します

 

23区の人権施策予算

 
世田谷区の予算額は今年度二十二万三千円ということですが、一千万円を超える予算額を持っている区はもう幾つかございます。二十三区平均の人権施策の予算額と世田谷区を比べると、平均額の三十五分の一以下と私の計算では出てきました。本当にすかすかにないんですね。
この状況をどのようにお考えになるのか、ご感想からまずお伺いしたいと思います。

◎大石 男女共同参画担当課長

随分と差があるものだなと感じました。

◆上川あや

差があるどころじゃなくて、本当にすかすかに何もないと言うべきだなというふうに思っていて、私は本当に気が重くなったんです。
人権担当課の設置が決まったのはつい最近のことだと伺っていまして、昨年夏から始まった予算要求には間に合わなかったと伺っています。結局、名前と事務の数合わせだけが行われたんじゃないかという印象を持たざるを得ません。
来年度の予算額は、課ができることで、これにどれだけプラスになるんでしょうか、お答えください。

◎大石 男女共同参画担当課長

お尋ねの予算額ですが、平成二十四年度予算につきましては、講演会等経費、啓発等を含めまして二十三万三千円を計上しております。

◆上川あや

一万円のプラスということですね。本当に名前だけの名ばかり管理職になるんじゃないかと私は危惧しているんですが、お金はなくてもできる事業はあるんでしょうけれども、ぜひ名前に負けないだけの事業、予算の充実を図っていっていただきたいと思います。
先日の植田委員の質疑に対し、区からは、新たな課と研修調査室とで共同して職員への人権研修を強めていくというようなご答弁があったんですが、これまでの総花的な人権研修だけではなく、ぜひ課題別の研修もふやしていただきたいと考えています。鋭敏な人権感覚を養うと、区はこれまでも答弁はするんですけれども、そういった意味では、一つの問題を掘り下げて、そこから社会や人間、公共のあり方を考察することは非常に重要だと思います。この点、いかがでしょうか。

◎大石 男女共同参画担当課長

法務省が人権週間で強調しているのは十六項目ございます。子どもであったり、高齢者の人権であったり等があります。また、性的指向を理由とする差別をなくそう、性同一性障害を理由とする差別をなくそう。それ以外にも、私どもはパワーハラスメント等々に対応しております。
いずれにいたしましても、来年度より研修調査室と連携して、共催による新たな人権に関して、委員のご指摘も踏まえて検討してまいりたいと思っております。

◆上川あや

積極的にお願いいたします。

◆上川あや

最後に、ぜひ世田谷区として、課ができるんですから、ビジョンを持っていただきたいと私は考えています。庁内の人権関係事務の全体調整というふうに伺っていますが、これでは、言葉は悪いですけれども、単なる使いっ走りと音頭取りだと思うんですね。
ほかの区では、人権施策の推進指針などを定めてビジョン、理念を語っています。お金はかかりませんので、世田谷区としてこれに取り組んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

◎大石 男女共同参画担当課長

全庁を取りまとめる事務を行っていくわけなんですが、人権施策に関する総合調整機能の強化を図っていくためには、まず、改めて先進市区の取り組み事例などを調査していきたいと思っております。また、工夫しながら取り組みの強化等を図ってまいりたいと思っております。そうした取り組みを進める中で、委員お話しの指針の策定の趣旨も踏まえ、人権尊重のまちづくりに資する効果的な手法についても検討を行ってまいりたいと思っております。

◆上川あや

速やかな展開を期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。