◆上川あや
続いて、区、区教委の性的マイノリティー支援策はその取り組みが手ぬるいのではという見地から質問いたします。
まず、性的マイノリティー全般を対象とした相談窓口の早期確立に向け、性的指向等についても研修会を実施するよう求めます。
区は、相談対応能力の向上のため、性同一性障害の理解と対応を主題とした研修会を三月二十二日に実施すると決めました。変化の第一歩として評価できますが、私がその開設を区議会で求め、区と区教委が答弁で約束をしたのは、性同一性障害のみならず、同性愛、両性愛などの悩みにも対応できる相談窓口の確立です。性同一性障害以外の性的マイノリティーについて、研修予定がない現状は不十分です。この点、いつどのように対応を図るのか。また、相談窓口はいつできるのか。区のみならず、区教委もその考え、方針を述べるよう求めます。第二に、区教委の人権教育推進委員会に性的マイノリティーに精通した委員がゼロであることについて伺います。
平成二十一年二月の私の議会質問に対し、区教委は、性的マイノリティーをめぐる人権について、保健の授業などを通し、科学的な知識を持ち、人間尊重、男女平等の精神に基づく望ましい行動がとれるよう児童生徒を指導してまいりますと答弁しましたが、実践は一向に進んでおりません。その後、たび重なる質問に区教委はようやく重い腰を上げ、昨年、人権教育推進委員会をつくりました。しかし、そのメンバーに性的マイノリティーに深い理解を持つ人物は含まれておりません。加えて、その不足を補う専門家を委員会に招いたこともなく、具体的議論に踏み込んだ形跡すらありません。これで対策が進むとは到底思えません。
この問題に精通した専門家を委員会に招くなど、より理解を深め、議論する必要があると考えますが、いかがか、区教委の見解を伺います。最後に、それ以外の答弁の履行状況です。
区教委は、これまでの答弁で区立学校の教育実践に性的マイノリティーの人権課題を含めていくことのほか、教職員向け研修に外部講師を招くなど、専門的知見を深めていくこと、区立学校で児童生徒の実態把握を行うことを約束しました。しかし、いずれも具体的な実践はなく、そのめども見えません。それぞれいつごろまでに、またどのように約束を果たすおつもりなのでしょうか。区教委の考えを伺います。
◎西田 世田谷保健所長
性的マイノリティー支援の相談窓口についてのご質問にお答えします。
区は、性的マイノリティー支援については、性同一性障害の方を初め、同性愛など、性的指向に起因する悩みを抱える方に対しても必要であると考えております。また、性的マイノリティーの問題は、人権擁護や自殺予防対策だけでなく、生きづらさを抱える思春期、青年期の子ども、若者への支援施策を考える上で重要な課題であると認識しております。
区はこれまで性的マイノリティーに関する区民理解を図るため、普及啓発に努めるとともに、思春期精神保健相談、教育相談、せたがや子どもテレフォンなど各分野での相談事業で個別の相談に応じてきております。また、自殺予防対策の一環として、性的マイノリティーに関する相談支援機関のご案内も始めたところです。
また、お話のとおり、この三月には、性同一性障害の理解と対応をテーマとする職員研修会を開催いたします。一回の研修で十分な相談ができるとは考えておらず、今後も性的指向を含めた性的マイノリティー支援に関する研修会などを継続しながら、職員のスキルアップを図ってまいりたいと考えております。
こうした取り組みを踏まえ、性的マイノリティーのに対する相談支援に適切に行うことができるよう、相談の質の向上に努め、なるべく早期に対応できる相談窓口の確立を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
◎古閑 教育政策部長
私のほうから三点についてお答えいたします。
最初に、区教委の人権教育推進委員会に性的マイノリティーに精通した委員はゼロと、対応できるのかとのお尋ねにお答えします。
教育委員会では、各学校に対して、性同一性障害の児童生徒が在籍している可能性があるという認識のもと、個別の対応や人権教育の充実に取り組んでいくよう指導しております。
今年度は、子どもたちの実態や学校についての理解の深い心理の専門家や、人権教育に精通している学識経験者、そして小中学校の校長会の代表等によって構成された人権教育推進委員会を設置しまして、さまざまな視点からご意見をいただきつつ、人権教育に関する研修や実態把握の進め方、授業で活用することのできる教材の作成などについて検討を進めているところでございます。また、検討の一環として、性同一性障害を含めた人権課題への対応の充実を進める他自治体へ指導主事を派遣するなどしております。
教育委員会としましては、引き続き、人権教育推進委員会での検討を進め、必要に応じて個別の課題に精通した専門家や学識経験者の助言をいただきながら、区立学校における人権教育の充実に取り組んでまいります。次に、区教委として具体的な実践の目途についてお尋ねがございました。
教育委員会では、管理職を対象とした人権教育研修において性同一性障害を取り上げております。また、今年度は、夏期休業中に人権教育推進委員会の委員である人権教育に精通した学識経験者を講師として、性同一性障害の理解などを含めた教員対象の人権教育研修を実施いたしました。さらに、指導主事が各学校を訪問した際に、性同一性障害などの個別の課題を取り上げ、一人一人の子どもへの個別の対応や人権教育の充実に取り組んでいくよう指導しており、こうした教職員への研修などは来年度以降もさらに推進してまいります。
また、人権教育推進委員会では、現在、性同一性障害を含めた人権課題にかかわる実態について、教職員を対象とした調査の検討を進めております。また、性同一性障害を取り上げた授業を試行的に実施しまして、今後はその検証を行いながら、指導資料などの作成をしていく予定としております。
教育委員会としましては、こうした取り組みの成果を区立小中学校での来年度からの取り組みの充実に生かしていきたいと考えております。次に、相談窓口の明示についてでございます。
教育委員会といたしましても、さまざまな性の悩み、相談に対応できるよう、世田谷保健所が主催する研修会に教育相談員を参加させる予定でございます。教育相談におきましては、来年度早々に相談受け付けが開始できるよう体制を整えまして、教育相談室のパンフレットやホームページ等での周知を図るよう準備を進めてまいります。さらに、例年区立小中学校の全児童生徒に配付している電話相談カードを活用した性の悩み、相談の周知も考えてまいりたいと考えております。以上でございます。
◆上川あや
保健所長にまず伺います。
保健所長から性的マイノリティーを対象とした相談窓口の開設につきまして、できるだけ早くというお話がございましたが、私は意気込みを伺っているのではなくて、実際の目途を伺っています。お答えください。あと、教育委員会に伺います。
管理職を対象に、また教職員を対象に、性同一性障害の理解も含めて研修会を実施しているということのご報告はいただきました。ただ、これはあくまでその日に研修会として実施した徳目の中に、羅列の一部に入っているだけということで私は承知をしておりまして、ほかの議員や私から議会で求め、区が約束をしたそれに特化した研修ではございません。この約束をどう果たすのかお答えいただければと思います。
◎西田 世田谷保健所長
再質問にお答えいたします。
性的マイノリティーの方々の相談窓口のご案内につきましては、ご相談をお受けする職員の研修を行い、二十四年度中ごろをめどに取り組んでまいります。以上です。
◎古閑 教育政策部長
再質問にお答えします。
今人権教育推進委員会では、研修のあり方についても、その内容や進め方等についてでございますけれども、今後さらに検討していく予定にしております。それですので、この性的マイノリティーにかかわる推進委員会での議論などを踏まえまして、専門的な知識、またいろんな相談への対応力が深まるように、来年度以降の研修の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。