◆上川あや

まず初めに、区内の生涯学習施設に関して伺います。

皆さんは、区内三宿の自衛隊駐屯地の中にある博物館をご存じでしょうか。表彰式の彰、山内彰委員の彰という字に古い館と書きまして彰古館と言います。博物館法に準拠して専従の学芸員も置いている自衛隊附属の公開施設です。軍事医療史に特化して資料を収集、展示している国内でも稀有な公開施設で、こちらが博物館のリーフレット、そして、こちらが博物館を紹介した本になるんですけれども、私も昨年、医療の専門職についている友人二人に声をかけて見学に出かけまして、非常に刺激を受けました。
例えば明治初年の顕微鏡実物三台ですとか、国内最古のエックス線装置、また、現在の小学生のランドセルの原型になった百四十年前の陸軍の医療用の背のう、百年前の正露丸実物、世界で初めて日本でつくられたリハビリテーション用の能動義手です。日本の医療史を代表するような第一級の史料の連続で非常に楽しかったです。
ところが、これだけすばらしい学習施設が区内にあるんですけれども、その存在は区民にほとんど知られておりませんし、利用している方もほとんどいらっしゃらないということは非常に問題だと思いました。もったいないと思いました。
ほかにも区内には興味深い施設がたくさんございまして、例えばこの区庁舎のすぐお隣の国士舘大学にも、イラク古代文化研究所附属施設の展示室があります。これがリーフレットなんですけれども、現在、「東日本大震災 文化遺産の被災調査と救援活動展」という特別展が開かれています。そのほかにも、環七沿いの代田三丁目、斎田記念館という明治以降の地域のお茶づくりを題材にした展示館がありますけれども、ここでも現在、復興支援を目的にからむしという明治・大正期の幻の布の展示会が開かれていまして、これは海外からも着目されている展示なんだそうです。
ほかにも日大文理学部の資料館ですとか、日本女子体育大学の二階堂トクヨ資料展示室、また、駒澤大学や東京農大の博物館など特色ある博物館が数多く存在し、企画展も非常におもしろいものがあるんですけれども、その多くが区民には知られていないということで、こうした施設やイベントを区民に積極的に発信していただくことはお金のかからない生涯学習の振興策にもつながりますし、また、区が目指す観光振興、ブランドアップにもつながると思うんですけれども、ご見解はいかがでしょうか。

◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長

委員お話しのように、区内には大学や民間、区以外の博物館や資料館が数多く存在しておりまして、それぞれ特色ある展示が行われております。区立の施設と同様に、これらの施設も世田谷という町の魅力を構成する貴重な資源であると認識しております。
これまでも教育委員会では、区内の大学の資料館が展示会を開催する際に後援を行い広報等の協力を行ったり、区の保有する文化財の貸し出しを行ったりするなど、こういった取り組みを支援してまいりましたけれども、ご指摘のありましたように、多くの区民の皆様に知られている施設というのは一部にとどまっておりまして、より効果的なPRが必要だと考えております。
こうした認識に立ちまして、区と区教育委員会の所管する文化的、また歴史的な資源を一緒に紹介するせたがや文化再発見マップ、まだ仮称ではございますが、こういったものの作成を現在区長部局と合同で進めております。その中で、公共の施設に加えまして、お話のございましたような大学、民間、区以外の施設に関する情報も掲載いたしまして、区民の皆さん、また子どもたちにも広く周知をして、気軽に立ち寄っていただいて、文化や郷土の歴史に触れていただく、こういったきっかけづくりとしていきたいと考えております。
今後とも、区長部局の関係所管等と連携いたしまして、区民の皆さんに親しんでいただける身近な施設のより効果的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

◆上川あや

積極的に願います。