★ネズミ急増の庁舎清掃を改めさせました。
平成20年、障害者が多く働く継続契約だった本庁舎清掃が入札に付され、以前の半額で落札されました。しかしその後の清掃はぞんざいで、便器と蛇口が同じ雑巾で拭われ、職員からもクレームが続出。ネズミ急増で883個のネズミ取りまで仕掛けられた事実を上川が質疑。「安かろう悪かろうの典型」と批判しました。その後、業者も変わり、再発防止策に向け、作業の仕様書も書き換えられました。
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◆上川あや
コスト削減の努力が一歩間違えるとおかしな事態を引き起こしてしまう実例としまして、区役所本庁舎の清掃等業務委託について取り上げたいと思います。
区役所本庁舎の清掃業務についてなんですが、平成二十年度までは東急ファシリティサービスが毎年随意契約を更新する形で請け負ってきたと。それが平成二十一年度から一転、入札に付されまして、区内の別な民間業者――ここでは仮にA社としておきますけれども――に落札されました。入札でA社の提示価格はずば抜けて安く、その金額は年額にして以前の半額という破格の安さだったそうです。
まずこのあたりの状況について簡単にご説明をいただきたいと思います。随意契約が入札に変更になった経緯、またその結果として新たな契約金額と契約の内容、そしてそれまでとの差額についてもご説明ください。
◎宮内 総務課長
平成二十年に長期継続契約に関する条例が制定されまして、それ以降、一定の条件を満たす契約案件につきましては、長期継続契約による入札が可能となりました。これによりまして、ご指摘の本庁舎の清掃業務委託につきましても、平成二十一年四月一日に締結する契約から、長期継続契約として入札を行いまして、その結果、平成二十三年五月三十一日までの二年二カ月間を契約期間として現在に至っております。
なお、現行の契約とご指摘のその前の事業者の平成二十年度の契約とでは、契約内容に大きな変更はございません。契約金額でございますが、平成二十年度につきましては、年間八千八百十二万一千九百八十八円、現行契約で申しますと、事業者でいいますと、単年度で四千百三十七万五千二百五十円ということで、ご指摘のように、およそ半分の契約金額となっております。
◆上川あや
履行状況に変化がなく、コストが半額になったならすばらしいことだと思います。ところが、その履行状況が全く褒められた状況ではないようです。二十一年度当初、業者が入れかわった当時は、ちょうど大量のごみが年度当初で出る時期に当たって、そのごみ処理の収拾がつかないのはある程度仕方がないのかなと所管では思っていた。ところが、その後もごみの処理はさほど改善されていないと伺っています。
また、清掃に入るのがほとんど中国の人にかわりました。そのため、衛生面で意識の差もあるのか、便器をふいたぞうきんで蛇口までぬぐってしまうという話を職員の方から伺ってぞっとしました。所管に確認しますと、複数の職員から私が伺ったこの話もどうやら事実のようでして、便器をぬぐうぞうきんとほかの部分をぬぐうぞうきんを色分けして作業するように区から改めて指導し、改善に努めているとの話でした。
また、清掃の様子も見るからにぞんざいで、見かねた職員が注意をしても、日本語が全くわからないため、話にならないそうです。日本語のわかる年配の担当の方が朝出てきて初めて注意ができる状態だったという話です。また、それでも事態は改善されていないということなんです。
区はこの間、A社の社長や重役を複数回区役所に呼び、改善を求めており、昨年末、さらにこの年明けにも改善を求める文書を手渡したと伺っています。そのためなのか、年明けからは急に大量に人員が増強されたとも伺いました。この辺、確認しますけれども、事実と言って差し支えないでしょうか。
◎宮内 総務課長
現行の事業者が業務を開始した当初は、ご指摘のように年度が切りかわる時期と重なったこともありまして、廃棄物の回収が滞るなどの混乱はございました。その後も、職員からの連絡などで清掃が行き届いていないことなどを把握するたびに、現場の責任者に対して改善を指示し、今年度も清掃方法や運用面での不備や改善点が生じれば是正するよう、その都度指示しております。それ以外に、事業者の幹部等に対して改善要望を行いましたけれども、昨年の十月とことしの一月に改善を求めております。その結果、昨年の十月並びに本年一月以降につきましては、運用面において改善する旨の回答があり、その都度人員についても増強が図られ、徐々に改善されていると認識しております。
◆上川あや
問題はそれだけではありません。清掃業者がこのA社に置きかわって以降、この本庁舎にネズミが急増していると伺っています。早速所管からネズミの捕獲数のデータを入手しましたので、ここで紹介します。
まずは第一庁舎の捕獲状況です。第一庁舎は食堂があるために、以前からネズミがいるにはいたそうです。しかし、A社に切りかわる以前、平成二十年度の捕獲数は五匹にとどまっていた。ところが、A社に切りかわった二十一年度は七匹、今年度は、一月までの段階で二十一匹とまさにネズミ算式にふえています。また、この第二庁舎は、A社に切りかわる前、三年連続してこの第二庁舎は捕獲数がゼロでした。ところが、今年度の捕獲数はというと、この一月までの途中で十九匹だそうです。清掃とネズミ急増の因果関係を区ではどのように考えているのかと思うので、これもお答えいただきたい。
また、ネズミの急増を受けて、区はこのところ大規模な捕獲作戦に乗り出したと伺いました。この議会のフロアにもこれまでなかったネズミとりトラップが仕掛けられており、本庁舎全体の設置数を伺うと八百八十三個だそうです。昨年度の設置数は五十、一昨年度は二十、ことしが八百八十三個トラップをやっているということで、これにどれだけお金をかけているのかお答えいただけますか。
◎宮内 総務課長
昨年秋以降から第一庁舎と第二庁舎で職員から寄せられますネズミの痕跡の情報が多くなっております。駆除専用の粘着シートの数量をふやしたり、侵入経路を調査してふさぐなどの対応をしております。今年度は特に集中的に粘着シートの設置を行いましたことから、おおむねですが、粘着シートの購入に約十五万円程度かかっております。
清掃業務との関連でございますが、建物へのネズミの侵入は、生ごみ処理や食品の保管状況などを適切に行うことが一つの対策と言われておりますけれども、庁内の生ごみの収集は午後六時以降に行いまして、処理も適切に行っていることから、清掃業務の不備がネズミ侵入の直接的な原因になっているとは考えづらいと判断しております。
第二庁舎へは、昨年秋以前はほとんど痕跡を確認することがありませんでしたけれども、建物内に新たにネズミが侵入するのは、ネズミの習性ですとか、あるいは建物を取り巻く環境の変化などにもよると考えられておりますので、原因の特定はなかなか難しいというふうに判断しているのが現状でございます。
◆上川あや
原因の特定は難しくても、因果関係がないとは絶対言い切れないと思うんです。この安かろう、悪かろうというのはやめてください。用をなさないような業務を頼んでいることでは意味がありませんので、しっかりと改善をお願いしまして、私の質疑を終わります。