◆上川あや
令和六年度各会計決算認定に賛成の立場から意見を申し上げます。一人会派の発言時間は三分以内ですので、決算審議でも複数の委員から質疑のありました空襲被害者支援に絞ってお話しいたします。
まず、戦後八十年を機に区が検討中の同支援策に関し、今回の審議においても根強い誤解が見られたことを憂慮しております。その最たる例は、区が検討中の金銭的支援を補償と捉える議論が後を絶たないことです。区が検討しているのは、あくまでもその名のとおり見舞金であり、補償金ではありません。区の被爆者見舞金や災害見舞金が区からの償い、補償金ではないのと同様に、両者はその性質を異にするものです。
この点、区も六月の本会議で、戦争被害者に対しての補償は国の責任で行うべきことは言うまでもないと明言した上で、区は補償とは別に支援を行うと、両者を明確に分けております。一般歩行用の義足一本の製作費は三十万円から百万円すると言われ、三万円では義足一つ購入できない。こうしたことを考えますと、空襲により障害を負われ、八十年間耐えてこられた御労苦にこの金額が全く見合わないことは明白です。
次に、区の支援策と救済立法が未来に禍根を残さないかについてです。
戦中の防空法が逃げるな、火を消せと市民を惨禍の前線に縛りつけ、その被害を拡大させた一方で、同時期にあった戦時災害保護法では、空襲被害者に手厚い援護がありました。しかし、戦後、国はこれを廃止し、軍人、軍属には六十兆円もの援護を行いながら、民間の空襲被害者は完全に除外をいたしました。民間人にただただ耐えよと謝罪もなく、一円も出さない戦争被害受忍論は、戦中の制度と矛盾する一貫性のない政策であるのです。
こうした受忍論を容認することは、将来、私たち市民が戦争に巻き込まれた際に生じる犠牲にも同じ理不尽を強いる悪しき先例となりかねない。他方で、国が空襲被害者へ補償する制度が成立すれば、民間人への戦争被害に国が責任を持つ先例となり、安易な戦争を避ける上での大きな抑止力になるでしょう。つまり、禍根となるのは、むしろ国の無策を容認、看過することです。
未来の世代が政府の起こした戦争で犠牲になっても謝罪も、補償も一切されない、そんな危険性をはらんだ現状を変えたい思いもあり、私はくだんの議会提案を行いました。この点、改めて議員各位の御理解と御賛同をお願い申し上げるものです。
以上で私の意見といたします。



