はじめに、区民一般の同性パートナーに対する遺族補償について伺います。

区は公務で死亡した職員の同性パートナーには遺族補償する制度を整えてきた一方で、区の諸活動に起因して区民等が死亡した場合の同性パートナーには、私が特に改善を求めた水防活動等への協力者を除き、遺族補償できる制度的根拠を持ちません。この重大な欠落を補う必要があると考え、以下、伺います。

本区は2015年、全国に先駆けパートナーシップ宣誓制度を創設し、2018年には同性カップルへの差別的取り扱いを禁じる区条例を施行しています。
また、2020年には同性パートナーも事実上の婚姻関係とする社会通念が本区では形成されていると表明し、さらに2023年には、学校医・学校歯科医・学校薬剤師など区の非常勤公務員が公務で死亡した場合の同性パートナーにも遺族補償する制度を整えてきています。
ところが、区の諸活動に起因して区民等が死亡した場合の同性パートナーには遺族補償できる制度的根拠はありません。
このような無為無策、不合理が放置されていてよいとは到底思えないのです。

そこで第一に伺うのは、同性パートナーへの遺族補償をめぐる区の認識です。
そもそも区が提案、成立させた多様性尊重条例は同性カップルへの差別を禁じています。また、区の職員の同性パートナーに遺族補償を行うのであれば、区の瑕疵、過失により死亡した区民等の同性パートナーにも、均等な遺族補償を行うのが当然の道理であるはずです。 
この均等処遇の原理・原則について、区はどう認識しているのかを、まず問います。

第2に今述べた原理、原則に照らせば、現状の区民等の同性カップルに遺族補償等、行える根拠規定をほぼ持たない現状は、甚だ不適切であり、速やかに改める方策を採るべきです。区としてどのような具体的対応、制度的方策が考えられるのか、対応方針を伺います。

第3に、本区も加入する「特別区自治体総合賠償保険」への対応です。
23区が加入する同保険について、区が同性パートナーに遺族補償的な支払いを行った場合に「補填されるか」 確認いただいたところ「法の解釈を超えての賠償は対象外」との回答を受けたと聞いています。
しかし、国家賠償法上、損害賠償を受ける範囲を制限する規定はそもそもなく、法的制約は、民法または民法以外の法律に別段の定めがあれば、その定めによるとされるのみ。同性パートナーを排除できる明文規定など無いはずです。
また、過去の判例でも、事実婚の関係が法律婚と同視できる程度に安定・継続している場合には損害賠償が命じられたケースが一定数存在し、最高裁も犯罪被害者遺族への給付を巡り、同性カップルも事実上の婚姻関係に含まれうると判示しています。

加えて2023年には、各区の判断で、職員死亡時の退職金支給について同性パートナーも配偶者と同等に扱えるようになり、全区で条例改正が実現しています。
であるならば、特別区自治体総合賠償保険も同性カップルを均等に扱い得るものに変えるべきと考え、区にご努力を求めるものですが、ご見解はいかがでしょうか?