同性カップルなど、家族の多様性を排除した「区民交通傷害保険」について伺います。
同保険は、当区をはじめ都内16区が保険契約者となり、それぞれの区民に提供されてきた団体保険ですが、各区で行われてきたその販売と運用は到底看過できない重大な問題を孕んでいます。
かねてより私は、同保険が死亡保険金を法定相続人にのみに支払うとし、事実婚や同性パートナーを無視することを問題視してきました。
都条例でも本区の条例でも同性カップルへの差別は禁止ですから、区のサービスとしては甚だ不公正。改善するべきだと求めてきたのです。
これに対し、区は、同性パートナーは法律上正式な婚姻関係と認められておらず、約款に定める請求権者に当てはまらないなどと、にべもなく答えてきたのです。
ところが先週、喧々諤々の議論の末、ようやくその約款の開示を受けると驚くべき事実が明らかになりました。これまでの区の説明には嘘があったのです。
約款の第31条 第1項にはこうあります。
「保険契約締結の際、保険契約者が死亡保険金受取人を定めなかった場合は、被保険者の法定相続人を死亡保険金受取人とします。」
つまり同保険は契約の当初より、死亡保険金の受取人指定ができ、法定相続人に保険金が払われるのは、その事前指定がなかった場合に過ぎない。
そういうことですよね?
同性パートナーを受取人に指定すれば、請求権者になれる可能性は当然ある。そういう約款ですよね?
続けて、第2項にもこうあります。
「保険契約締結の後、被保険者が死亡するまでは、保険契約者は、死亡保険金受取人を変更することができます」
つまり、加入者が死なない限り、保険の受取人は変更できる。
そういうことですよね?
こちらも、非常に平易な文章です。
当然、区もこれらの規定を理解して保険契約したのではないですか?
ところが、区で配布している、このパンフレットの記述をみると…
たった1行「死亡保険金をお支払いする場合は、被保険者の法定相続人にお支払いします」とあるだけです。
受取人指定ができる権利については一切、記述がない。
区はこの記述のおかしさに気づかなかったのですか?
あるいは気づきながらも看過してきたのではないですか?
いま、この記述では何が足りないとお考えですか?
しかし問題はパンフレットだけではないんです。
区のホームページから辿れる、ウェブ上の申込フォームや、金融機関に配架されている申込書類も全て受取人指定ができない仕様です。
受取人を書く欄そのものが無いのです。
区は、今述べた指摘もお認めになりますか?
私も区から、その受取人指定の出来ない申込み書類を頂きました。
区はこの書類を見ておかしいと思わなかったのですか? 約款とまるで違うことは明らかではないですか?
受取人指定のできない齟齬は、16区全てに共通するのでしょうか?
またその加入者は、16区全体で何人になりますか?
現在、加入している区民には、どのような対応をとりますか?
約款の内容、特に受取人指定の権利について改めて周知する必要もあるのではないですか?
本来の約款通り、早急にパンフレットやホームページ等の案内記述を改め、申込みフォームや、申込み書類も、受取人指定ができる様式へと改めるよう求めます。区の対応方針を伺います。
約款上認められている権利を加入者に知らせず、実質的に行使できない状態で保険を販売してきたことは、保険業法違反、消費者契約法違反の可能性すらあるように思うのですが、区は金融庁など監督機関へ報告したのでしょうか?
行ってなければ、速やかに報告すべきと考えますが、いかがですか。