夏の参院選では、一部政党が「外国人への規制強化」を掲げて耳目を集め、外国人政策が一気に争点化しましたが、党首や候補者らがテレビ出演や街頭演説等で述べた主張には、デマとの批判もまぬがれない主張も少なくなく、またSNSで拡散されたデマは輪をかけて酷く、外国籍住民らを今なお貶め傷つけています。 
そこで以下、主だった言説の真偽を確かめつつ、区に出来る対応を求めてまいります。

まずこの夏、大変目立ったのが外国人が日本の社会保障を濫用しているかのような議論です。 例えば、ネットで広くシェアされた「生活保護世帯の33%が外国人」とする言説はどうでしょう? 全国と本区の外国人住民割合を紹介し、外国人への保護がそれら割合を超えて大きなウエイトを占めているのか? 同言説の当否と併せ、お答えください。

次に「外国人への生活保護は違法」「憲法違反」とする言説はどうでしょう。
2014年7月の最高裁判決は、「外国人は生活保護法が適用される『国民』には含まれない」とした一方で、「外国人は行政庁の通達等に基づく行政措置により、事実上の保護の対象となり得る」とも判示しています。
この後段部分を無視した「違法」「憲法違反」との主張は、むしろ最高裁判決を無視した悪質なデマだと考えますが、区の見解はいかがでしょう。

次に、ある党の党首が街頭演説で「出稼ぎに来ている外国人がお金なくなり、生活保護をあげてたら、どんどん貧しい人が来て、我々の社会保障制度が崩れてしまう」と訴えたと報じられましたが、こちらもデマではないでしょうか?
そもそも生活保護の適用対象は永住者や定住者、日本人の配偶者など特定の在留資格者に限られ、「出稼ぎ」、就労目的は対象外のはず。 区に確認を求めます。

続けて同党の国会議員が述べた 「日本人はなかなか受給できないのに、外国人はすぐもらえてしまう」とした優遇論はどうでしょう?
前出の在留資格を満たす外国籍住民が、日本人と全く同じ要件で妥当と判断されれば保護費を受け取れるのが現状で、審査は全く平等ではないのか? 区に確認を求めます。

一方で外国人への生活保護は法に保障された権利でなく、国の通達等に基づく行政措置であるために、外国人では「不服申し立て」ができないといいます。
この点、外国人にはむしろ不利との指摘もありますが、区もこの事実関係を認めるでしょうか。

続けて医療費です。
この夏、他党の党首からも「社会保険料は、原則、日本人の病気や怪我のために使われるべきだ」との持論が飛び出し、報じられました。 
同党党首はXでも「わずか90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる」と主張。「より厳格な適用となるよう、制度を見直すべきだ」としましたが、問題視されるべき制度の濫用などあるのでしょうか?

7月15日の東京新聞によると厚労省の23年度「外国人被保険者データ」で、国保の被保険者に占める外国人の割合は4%であったのに対し、総医療費に占める外国人割合は1.39%。高額療養費支給額に占める割合はさらに低く、1.21%と報じられ、外国人の加入が圧迫要因である様子など見えません。
このため識者からはむしろ「比較的若くて健康な外国人が、日本の高齢者医療を支えてくれている実態は明らか」、「外国人の国保加入禁止など日本人の自爆行為」等の反論も出ています。区も今挙げたデータを認めるでしょうか? また区内の状況についても把握があればお示しください。
続けて、不安が煽られてきたのが外国人犯罪です。
一部政党が外国人の増加で国内治安が悪化していると強調し、取り締まりの強化を訴えましたが、実態はどうでしょう。

7月19日の東京新聞は、「外国人犯罪は増えた? 減った? 統計データで確認したら、なにかと注目の川口では犯罪が大幅減」とのタイトルで、おおよそ次のように検証しています。
日本で暮らす外国人はここ20年で倍増した一方で、外国人犯罪は3割減。
少数民族クルド人が多く住む埼玉県についてもこの10年、外国人人口が倍近くに伸びた一方、外国人の刑法犯検挙人数は1割減。
クルド人が集住する川口市でもこの20年、外国人人口が3倍に伸びた一方、刑法犯認知件数は、2004年の1万6314件から昨年は4529件へと減少し「大幅減」だと報じています。では、本区を含む都内のトレンドは如何でしょうか?
またある党の候補者が「外国人の不起訴率はなぜか右肩あがり」と街頭演説したと報じられ、SNSには「外国人は不起訴になりやすい」との主張がありますが、刑法犯の起訴率はむしろ外国人の方が高いのではないですか? 区に確認を求めます。

続けて、税についてです。
参院選投票日の4日前、ある党の党首が民放のTV番組で「外国人からは相続税が取れない」と主張。「日本人は相続税でたくさん税金を払わないといけないが、海外の人たちは払わなくていい。平等ではない」などと述べたと報じられました。 そのような特権は元よりないはずですが、区の見解はいかがですか?

また相続においては区民税の支払いも継承され、こちらも外国人に特典はないと考えますがいかがでしょうか。