◆上川あや
次に、私が過去六度にわたり取り上げてきた高齢者等がひととき座れるまちづくりについてです。
骨や関節などの衰えで長い距離を歩けないロコモティブシンドローム、略称ロコモの高齢者が急増し、現在その数は予備軍を含め、国内に四千七百万人ともされています。
2016年9月の質疑で、ぜひこうした方々への座れる場の提供は所管横断的にと私より求めると、区長も、まさにこの課題は横つなぎ、横断的に取り組むべきと御賛同され、その指示もあり、二〇一八年三月に策定されたのが、今、私が手にしている座れる場づくりガイドラインです。この中では、区が管理する道路や花壇、区立施設の前面空間や外構、区立公園等で連携して座れる場を増やしていく工夫が列挙されていますが、果たしてガイドラインどおりに区立施設の前面空間や外構が利活用されているのかは疑問です。
この点、座れる場づくりを主導する都市デザイン課にデータ開示を求めると、同ガイドラインが策定された二〇一八年三月以降に進行した区有の施設二十四か所のうち、気軽に座れる場が整備されたのは僅かに四か所だけと、各施設を整備する所管課にとり、座れる場の整備など二の次、三の次であることは明らかです。
あわせて私から確認すると、同ガイドラインの策定後も、区のユニバーサルデザイン推進条例に基づく施設整備マニュアルに公共施設の外構部における座れる場づくりの記述はなく、区長部局の公共建築設計・標準仕様書や学校建築設計マニュアル、教育委員会の学校施設の標準設計仕様書にも、それぞれ外構部の記述はあるものの座れる場づくりへの記述はないという、ないないづくしです。そこで提案ですが、区のUD条例に基づく施設整備マニュアルで、ベンチ等の整備を義務化、標準化することまでは難しくても、望ましい整備などの記述は可能であるはずです。加筆を求めます。
また、営繕担当部の標準仕様書並びに学校改築マニュアル、区教委の標準設計仕様書にも外構部分についての記述はあるのですから、加筆があるべきです。UDと座れる場づくりを統括する立場から区の見解を問います。
◎笠原 都市整備政策部長
私からは、座れる場づくりガイドラインの実効性を高める工夫について御答弁申し上げます。
区では、多くの人が外出中に一休みできる場を増やすため、公共建築物の外構や道路、公園などの公共空間において、ベンチなどを設置する場合の具体的な手引きとなるよう、座れる場づくりガイドラインを平成三十年三月に作成し、庁内への周知を図りながら、ベンチ等の設置に取り組んでまいりました。
一方、気軽に座れる場づくりに当たりましては、設置場所の確保や利用者の安全性の確保、さらには周辺住宅地等への配慮など、様々課題もございます。敷地条件や周辺環境を踏まえながら、公共建築物の外構を活用した座れる場づくりの検討が着実に行えるよう、今年度改定を予定しております施設整備マニュアルへ整備事例を掲載するとともに、御指摘の施設営繕担当部や教育委員会において作成している標準仕様書等への加筆につきましても記載する内容の調整を図ってまいります。
引き続き、関係部署が連携し、誰もが安心して町を移動できるユニバーサルデザインのまちづくりに向けて取り組んでまいります。以上です。