◆上川あや

続きまして、知的障害者の職員採用について伺います。

昨年度、区の障害者雇用率は二・七二%ありました。一見、地方公共団体に課せられた法定雇用率二・一%を超え、模範的であるかのように見えますが、障害種別の雇用状況を細かく見ていくと、決して褒められた状況ではないと感じます。障害者の雇用の促進等に関する法律の改正で知的障害者の雇用が義務づけられてからはや十三年。ところが、区が雇用する障害者は今もすべてが身体障害者です。知的障害者の職員採用は一人もありません。
国は平成十八年四月、当時の厚生労働大臣名で障害者雇用の一層の推進に関する要請書を出し、区を含む公的機関に対し、知的障害者の採用に向けた具体的な取り組みの強化を求めました。しかし、当区の職員採用にはわずかな前進もありません。

そこで伺います。
区は昨年度、知的障害者、精神障害者各一名を臨時職員として雇用するチャレンジ雇用をモデル実施しましたが、雇用期間は一カ月と極端に短く、その後の就労にもつながっていないと伺っています。区は今回のモデル実施をどのように評価しているのでしょうか。また、臨時職員となった二人にその後のフォローは続けているのでしょうか。さらに、今後、区がチャレンジ雇用を行うに当たっては、その人数も期間もふやしていくべきと考えますが、いかがでしょうか、それぞれ見解を求めます。

第二に、区も知的障害者を職員採用するべきと考えます。
チャレンジ雇用での業務経験を踏まえ、一般企業への就労実績を図ると、精神・知的障害者の就労を一方で後押ししながら、みずからは採用しないという区の手前勝手は通りません。前出の国の要請を受け、地方自治体による職員採用の動きは既に、静岡、愛知、和歌山、滋賀、奈良などの各県に、また、仙台、横浜、名古屋、大阪、岐阜、松山などの各市にも広がっています。滋賀県、名古屋市、松阪市、津市、大津市等では正規職員の採用例も出ています。滋賀県人事課は一連の動きを報じた京都新聞の取材に対し、身体障害者で法定雇用率を満たしていると考えていたが、障害の区別なく雇用を進めるという法の趣旨を取り違えていたと答えたそうです。
他の自治体のこうした動きを区はどのように評価するでしょうか。また、区でも今後、職員採用を検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。それぞれ区の見解を求めます。

◎藤野 保健福祉部長

知的障害者の職員採用に関して、チャレンジ雇用モデル実施についてご答弁申し上げます。
障害者の方の社会参加や自立した地域生活の実現のためには、障害があっても生き生きと働くことができる環境を整えることも重要なことと考えております。
区は、障害者雇用の推進を目指し、今年度、世田谷区チャレンジ雇用のモデル実施を行ったところでございます。実施に当たりましては、障害者就労支援センターに登録する方から公募し、知的障害者、精神障害者それぞれ一名を、九月から十月にかけ一カ月間、研修調査室と中央図書館で臨時職員として雇用いたしました。短期間ではございましたが、お二人からは、よい経験になった、働く自信がついたなどの感想をいただいたところでございます。現在、お二人は、障害者就労支援センターの支援を受け、就職活動を行っております。また、勤務先となりました職場では、時間をかけ丁寧に支援する、指示を明確に出すなどに配慮しながら、働きやすい環境づくりに努めたところでございます。なお、障害者就労支援センターからは、もう少し雇用期間を長くしてほしいとの要望が出されております。
これらの結果を踏まえ、今後も関係所管と協力し、世田谷区チャレンジ雇用の拡大に向け取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

◎堀 総務部長

 まず、知的障害者の職員採用についてですが、ご案内のように、特別区の職員採用につきましては特別区人事委員会が実施しており、ご質問の障害者の選考区分については、現在、身体障害者のみを対象としており、知的障害者を対象とした選考区分はございません。
他自治体の採用事例がお話にありましたが、区の障害者福祉計画では、障害者就労の促進を重点取り組みの一つとして位置づけております。今回の世田谷区チャレンジ雇用のモデル実施はその一環であり、区役所の業務を通じて新たな雇用形態の検討を行っていくものです。このような新たな雇用形態を探る中で、区職員としての採用も視野に入れて検討を行うことは必要なことと考えます。
いずれにいたしましても、今後のチャレンジ雇用の進展等も踏まえ、区にとって真に必要な人材とは何なのか、さまざまな視点から議論を深めてまいります。