具体的な成果

★視覚障害者向けの選挙公報が改善されました。

 

上川が質問する以前、視覚障害者に対する選挙公報は、点字版の発行が印刷版より2日遅く、音声版も小部数に限定。かつ一度きりの配布予定でした。上川の質問後、区は音声版の部数制限を解除。随時、求められれば配達すると決まり、点字版の発行日も早まりました。

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◆上川あや

初めに、世田谷区選挙管理委員会で行う選挙公報の情報バリアフリー化に関してお伺いいたします。

区選管では、平成十五年の区議選、区長選より選挙公報点字版の配布を行っています。
しかし、その個人に対する配布実績は前回の区議選で百十八部と、同時期区内に暮らしていた視覚障害者の八%をカバーしたにすぎません。平成十八年に国が行った調査で点字がわかるとした視覚障害者の割合は一二・七%でした。つまり、九割近い視覚障害者は点字がわからない。これらのデータから、目が不自由な方の多くにより望まれる選挙公報の訳出方法は音訳、つまり音声版の提供であるものと考えますが、区選管の音訳の取り組みはこれまでありませんでした。
区選管では、ようやくこの春の区議選、区長選から、従来の点字版に加え、音声版の作成に取り組むと伺っています。点訳と音訳をあわせて提供する姿勢そのものは高く評価いたします。しかし、その情報提供の質を細かく見ていきますと、まだ幾つもの課題が残されていると思えてなりません。

課題提起の第一は、選挙公報を点訳、音訳する内容の貧しさです。
区選管がこの春の地方選で点訳、音訳を予定している選挙公報の内容は、区議選で、氏名、年齢、党派、新人、現職、元職の別、当選回数と肩書きがすべてです。区長選でもこれに経歴、最終学歴、政党等の推薦が加わる程度です。つまり、肝心かなめの政見部分は全く訳されない。この状況を区選管はどのようにとらえるのでしょうか。
また、総務省は今月一日、全都道府県の選管にあて、この四月の統一地方選から選挙公報の全訳を点訳、音訳するよう通知を出しました。区選管も今後、選挙公報の全文訳に向け最善の努力を払っていただく必要があると考えますが、いかがでしょうか、見解をお聞かせください。

課題提起の第二に、点字版、音声版公報の提供時期を早めていただくよう求めます。
前回の区議選、区長選で通常の選挙公報が各家庭に配られたのは投票日の四日前、水曜日からでした。一方、点字版が各世帯に届いたのは投票日の二日前、金曜日だったと伺っています。つまり、選挙公報の訳出版は、内容がごっそり抜け落ちている上に、その提供も遅いのです。
お隣り、川崎市では、実に四十年前から選挙公報音訳版の提供を行い、市長選、市議選とも当区より候補者数が多いにもかかわらず、その内容は全文訳とのことです。加えて、音声版が各家庭に届くのは前週の火曜日、投票日の五日前だと伺いました。
当区の取り組みのおくれは火を見るよりも明らかです。情報提供の迅速化を望みますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

この質問の最後に、ニーズに即応した情報提供の努力を求めます。
区報今月一日号に、音声テープ版「選挙のお知らせ」送付の記事が掲載されました。しかし、その内容は、今月末までの予約制、しかも数に限りがある先着順。選挙の機運が盛り上がってきたころにはもう情報提供はしないと言わんばかりの広報です。
そこで、改めて選管に確認をさせていただいたところ、三月中旬にも再度区報に掲載し、区民の要望にも随時こたえていきたいとの方針が伝わりましたが、当然の対応だと私は考えます。今後とも選挙公報の点訳版、音声版の提供は、区民要望に応じて随時必要数行われるべきものと考えますが、いかがでしょうか、方針を伺います。

◎杉野 選挙管理委員会事務局長

選挙公報の情報バリアフリー化について三点の質問をいただきました。

まず、点字版、音声版ともに内容の充実が必要ではないかについてお答えをいたします。
選挙公報の点字版、音声版につきましては、現在のところ公選法には規定がなく、選挙に関する報道、評論の一環として位置づけ、点字雑誌等の定期刊行物の号外として作成しているものでございます。
前回、前々回の区議・区長選では選挙公報の点字版に取り組み、告示日後の限られた期間と七十人を超える候補者を一本化して作成するという条件のもとで、候補者のプロフィールに関する情報に限られることとなりましたが、目の不自由な方への候補者情報の提供に努めたところでございます。
しかしながら、候補者を知るための情報という点ではまだ十分でない面があると認識しており、今後、作成上の物理的な条件や、候補者ごとに文字数が異なること、イラスト等が点字や音声に置きかえられないことなど、候補者の公平にかかわる問題などを整理し、充実していかなければならない課題であると考えております。

次に、点字版、音声版ともに作成日数の短縮を目指してほしいについてお答えをいたします。
選挙公報の点字版、音声版の作成につきましては、告示日の午後五時に公報の掲載申請が締め切られた後、選挙管理委員会において掲載順序を決めるくじを行い、その後、作成依頼先において各候補者の原稿を点字、音声化することとなります。
政令市である川崎市につきましては、告示日から投票日までの期間が世田谷区より長いことに加え、作成・送付日数につきましても、世田谷区が前回の区議・区長選で五日を要したのに対し、同様の工程を四日で終えており、世田谷区より一日短くなっております。
今回の区議・区長選におきましては、遅くとも投票日の二日前には届けることを期限としつつ、作業の工程を見直すこと等により、前回より一日程度迅速化が図れるよう調整を進めているところでございます。

最後に、必要に応じて音声版選挙のお知らせが提供できるよう配慮をについてお答えいたします。
選挙公報の音声版につきましては、昨年の参院選におきまして、「区のおしらせ」の音声版等を通じ、初めて希望者の申し込み受け付けを行ったところでございます。
今回の統一地方選におきましても、引き続き音声版に対する需要を把握し、準備を進める必要があったことから、二月一日号の「区のおしらせ」音声版等を通じ、一定の条件で希望者の申し込み受け付けを行ったところでございます。しかしながら、必要な方に届けるという点からは、来月の三月十五日号でも重ねて周知を図り、ご要望に応じて必要な方への提供に努めていきたいと考えております。
今後につきましては、今回の実績等を踏まえることにより、音声版の必要な方への適時適切な提供に向け、必要な体制を見きわめていきたいと考えております。以上です。

◆上川あや

あと、選管のほうからご答弁いただきまして、できるかわからない約束はこの場ではできないということはよくわかるんですが、できる限りの改善努力をやはり傾けていただかないといけないということの姿勢だけは、熱意はしっかり持っていただきたいということを要望しまして終わります。