◆上川あや

本日は、烏山地域のある区立中学校が卒業アルバムをいわば借金のカタに取る形で、先週木曜日まで教材費を未納としている親の子の卒業アルバムは準備しないとしていた件について伺います。

事は今月五日にさかのぼります。ある中学生の親御さんから悲痛な文面のメールが私のもとに届きました。
親が失業して困窮状態にあるために、お子さんが卒業アルバムをもらえそうにないというお話で、私は目を疑いました。お父さんがこの不況下で転職を余儀なくされ、昨年から懸命に求職中です。お母さんが三つのパート、アルバイトをかけ持ちながら何とかしのいで、二人のお子さんを育てています。就学援助は確かに受けていますが、援助ですべての教材費が賄えるわけではありません。どうしても毎月七千五百円余りの超過が発生してしまう、これが払えなかったんですね。
五カ月後、滞納額は三万七千円余りに膨らみ、お子さんの卒業が迫った二月下旬、中学校から、お子さん分のアルバム購入の取り消しを早急に行わなくてはならないとする文書が親御さんに届きました。理由は教材費の未納であることです。
親御さんは慌てて学校に連絡をとりまして、アルバム代だけでも先行して何とか支払うので、自分の子にアルバムを用意してもらいたいと懇願しましたが、これは却下です。現金を用立てたときに、子どもの分を引き取れるよう取り置きをと懇願しましたが、これも却下です。お父さんは余りの悔しさに、文書を捨ててしまわれました。
その後も親御さんと連絡を取り合いまして、学校名を区教委にお伝えするお許しを得たのが先週の木曜日です。そして早速、教育指導課長にお越しいただきまして、中学校名を伝えて、事実関係の調査をお願いいたしました。すると、先週の金曜日、翌日ですね、急転直下、学校は全員分の卒業アルバムを卒業生の方全員に配ります。教育指導課長からは、当該のお子さんの分だけアルバムを手配しなかったという事実はありません。現にアルバムは全員に配られました。教材費を納めなければアルバムは渡せないといった説明もしていないという調査報告でした。
ところが、その後も事実関係の調査を続けますと、出てきましたのがこちらの文書です。二月二十一日付で、学校の校長名で親御さんに文書が出ています。表題は教材費未納のお知らせと納入についてのお願いというもので、そこにははっきりと書かれています。下記教材費金額が未納となっています。今後購入予定のアルバム等の購入の取り消しを早急に行わなくてはなりません。つまり、親御さんがおっしゃっていたことが正しかったわけです。未納の親の子の卒業アルバムは学校の手でキャンセル、アルバム代のみの納入も受け付けないということです。

そこでお伺いいたします。
債権管理は私も大変重要なことだと考えます。相手が悪質ならば、当然厳しい対処も必要だと考えます。しかし、この生徒さんのご家庭はどうなんでしょうか。払えるお金があるのに払わないといった悪質なケースでしょうか。
生活保護を申請できる所得水準でも、その申請をしないで踏ん張っている、そういった方々は生活保護世帯の二倍に上るというのが厚労省のデータです。この世帯も、そうやって何とか頑張ってきた世帯の一つだと私は理解しているんですが、いかがでしょうか。

◎岩元 学務課長

教育委員会におきましては、経済的理由によって就学が困難と認められる小中学校の児童生徒の保護者の方に対しまして、就学援助の制度に基づいて給食費ですとか修学旅行費、学用品費等を支給させていただいているところでございます。
今お話がありましたこのたびのご家庭のケースに関しましては、経済的理由により就学援助を利用されているというふうに考えておりまして、いわゆる悪質なケースには当てはまらないというふうに考えております。
就学援助の制度におきましては、学校納付金がもし未納になっているような場合におきましては、就学援助金を学校長を通じて納付していただくようなこともできますので、個々のご家庭の状況を丁寧にお聞きし対応していくよう、今後とも、さらに学校に対しまして指導してまいりたいと考えております。

◆上川あや

こんなふうに生徒の心を踏みにじる取り立て方が許されるんでしょうか。相手は十五歳ですよ。この生徒さんは親御さんをおもんぱかって、友達に見せてもらうからいいよというふうにおっしゃったそうです。お子さんも親御さんもどんなに悲しかったことかと私は拝察をします。いかがお考えになるでしょうか。

◎平川 教育指導課長

区立の小中学校には、さまざまな家庭から子どもたちが通ってきております。元気に通ってくる子どももいれば、それぞれの家庭の状況の中で心を痛めながらも頑張っている子どももいるというふうに思います。
学校の教職員は、こうした一人一人の子どもの心に寄り添いながら、子どもをはぐくんでいかなければならないというふうに考えております。もちろん教材費などについてはお納めをいただかなければなりませんが、今回の納入にかかわる学校の対応の進め方については十分な配慮に欠けていたというふうに考えております。

◆上川あや

配慮がないだけではないんですね。結果として、区教委からいただきましたご説明にはうそがありました。
これは会計担当の教諭のうそなのか、学校長のうそなのか、それとも教育委員会が話をねじ曲げたのか、どれなんでしょうか。

◎平川 教育指導課長

本件について、委員からお問い合わせがございまして、直ちに学校への事実確認を行いました。その際、教材費の金額が未納になっている。また、今後購入予定のアルバム等の購入の取り消しを早急に行わなければならないという趣旨のことについて、当初、学校は文書ではなく口頭で伝えていたのではないかということで、教育指導課より学校に確認を進めたために、正確な状況についてご報告をすることはできませんでした。
ご指摘につきましては、担当していた非常勤教員が作成し、当該校の校長などが確認することなく出されていた状況がございまして、配慮に欠けていたことから、校長が保護者の方に深くおわびをしております。
なお、当該の生徒につきましては、ほかの生徒と同じ形で卒業アルバムが渡されており、現在では保護者の方にもご理解をいただいているというふうに聞いております。
私からも学校を指導いたしましたが、今回のことにつきましては本当におわび申し上げます。

◆上川あや

非常勤かどうかは関係ないと思います。校長名で出すことが許されるシステムなんですから、校長にも責任があるはずです。再発防止の徹底を強く求めますけれども、教育長、いかがでしょうか。

◎若井田 教育長

かけがえのない一人一人の児童生徒とその保護者家族が傷つくことなく元気に卒業できるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

◆上川あや

その言葉をなるべく信じたいと思いますが、その後を見てまいりますので、よろしくお願いいたします。