◆上川あや
本会議に続きまして、災害時の水の確保策について伺います。
先の本会議で指摘しましたとおり、区の施設の受水槽内には、断水時にも四十五万人分の三日分の飲み水が残ります。その水を衛生的に取り出せるよう、応急給水栓の整備を私から求め、昨年末までに区立学校五十八校で整備を終えました。二十八年度中には全校で整備を終える計画ということです。しかし、せっかく整備を済ませたのであれば、しっかりとした給水拠点としての広報ということを求めましたのがさきの質問でした。
今回取り上げますのは、民間集合住宅の受水槽です。
昨年2月の議会質問で私が指摘しましたとおり、民間集合住宅の受水槽内にも、断水時、居住者の一カ月分から二カ月分もの飲み水が残ります。そこに応急給水栓さえつけますと、多くの区民が半径二キロに一カ所の応急給水拠点に行く必要がなくなります。居住の建物で十分な飲み水が得られるように変わります。ところが、現状では、同施設への応急給水栓の設置は東京都が認めておりません。集合住宅の受水槽は課金メーターの手前にあることから、そこに応急給水栓をつけてしまうと、無料で水が抜き取られてしまうということを警戒してのことだそうです。一方で、千葉県の水道局では、おととしの四月、この解禁に踏み切りました。応急給水栓には封印を施して、災害時にしか使用しないという誓約書を提出させるといった工夫によって、災害時の水供給を可能としました。同様の制度改正は神奈川県下でも行われています。世田谷区に対しては、東京都に対してこの制度改正を求めるべきだということを提案したんですが、この間、はかばかしい進展はありません。
年末、所管部にその後の進捗状況について文書で報告を求めましたところ、次のような回答が返ってまいりました。厚生労働科学研究、自家用水道の災害時の活用および管理水準の向上に関する研究に参画し、民間の受水槽の活用について研究に努めてまいりますということなんですけれども、この研究は、再来年度まで三年間続くということなんです。いつ災害が起こるかわからないのに随分悠長だなと感じざるを得ないんですけれども、そもそもこの研究に参加することの意義、意図も含めて御説明をまずいただきたいと思います。
◎有馬 災害対策課長
厚生労働省では、産学官の各分野が協力して施策に関する科学的根拠や新しい知見を生み出そうとする厚生労働科学研究事業を推進しております。お話の研究は、この厚生労働科学研究の一つとして採択されたもので、一般社団法人全国給水衛生検査協会の参与である麻布大学大学院の早川教授を主任研究者とし、東京都や給水タンクの関連団体等から委員が参加し、今年度から三カ年、取り組むこととしております。区はオブザーバーとして参加するほか、震災時の応急給水の現状に関するヒアリングに協力しております。
研究名にある自家用水道とは、マンション等の建物内に設置されている受水槽等の給水設備と飲用の井戸を指し、本研究の主な目的は、大震災時の暫定的な対応としての貯水槽水道及び飲用井戸の施設管理基準等を設定し、民間施設を個別に利用することを可能とするシステムを構築することです。簡単に申し上げれば、マンション等の受水槽や飲用井戸等の民間施設を震災時に利用するための課題や対策について研究しようとするもので、課題の一つとして受水槽への給水栓の設置と運用が含まれております。
区としましては、東京都水道局も参加する本研究において震災時における民間受水槽活用の有効性について意見し、専門的、技術的な面からの検証、検討をいただくこととしております。
◆上川あや
研究の趣旨がリクエストに合致しているものだということは理解するんですけれども、災害はいつ起こるかわからないのに、三カ年の研究を優先するというのはやっぱりおかしいと思うんです。可及的速やかに解禁していただくよう努力をしていただかなければならないと思うんですけれども、どのように取り組まれるのか、お答えをお願いします。
◎有馬 災害対策課長
都への働きかけでございますが、区ではまず、東京都地域防災計画の調整を担う総務局の総合防災部へ民間の受水槽の活用の可能性について説明すべく、本年二月に開催されました総合防災部と二十三区第三ブロックの防災担当課長会との意見交換の場において、区としての考え方を述べ、調整を要請したところです。その後、都の総合防災部より、本件については、東京都の水道局へ直接申し入れるよう指示がありましたので、水道局の担当課長へ神奈川県や千葉県の事例を説明し、都においても民間施設、受水槽における非常用給水栓設置に係る検討を働きかけたところです。今後も、先ほどの研究会が収集した基礎データや今後の研究成果を生かしつつ、民間集合住宅等の受水槽の早期活用を目指してまいります。
◆上川あや
最善の努力をお願いいたします。