お昼前、東京家裁へと出かける。
2月に戸籍の性別変更の申し立てをしていたが、今日はその審判が降りる日。
突然の封書で結果を知らされるのは嫌なので、直接出向いて受け取ることを、担当官には伝えてあった。
担当官の部屋に出向いて、審判書の中身をその場で確認。署名と押捺を済ませて手続きはすべて終了する。あっけないものだ。
主文 「申立人の戸籍の性別の取扱いを男から女に変更する」。
性の移行に踏み出してから10年。
ようやく戸籍を変えられるところに辿りついた。
見通せない将来、不安定な生活基盤を歩き、偏見にくやしい思いをしたことも少なくなかった。
理不尽に歯を食いしばって我慢したことも一度や二度ではなかった。
振り返っていろんなことがあったなぁと改めて思う。
春の雨が降りしきる中、旧知のメディア関係者の方々が今回の道中を見届けてくださった。
どの方もすでに数年のお付き合いが続いている。
折りに触れて私を取材して下さっているだけに、今回の性別変更を一緒になって喜んでくださる。
「ホントにおめでとう!」「やっとここまで来ましたね」
雨合羽のいでたちでズブ濡れも厭わずに取材に来てくれたS女史の目は、すでに私以上にウルウルしている。
春雨の滴も忘れて互いに抱き合った。
区議立候補を考える以前から交流が続いているK女史も、手を取って喜んでくれる。
会うたびに「一緒に飲もうね!」と言い続け、互いの忙しさも手伝って果たせずに来た数年だったけれど、今度こそ美味しいお酒を酌み交わしたいねと話し合った。
夕刻前、通信社が第一報を流し、夕方のテレビニュースも2社が映像を流したらしい。事務所から転送される電話は鳴りっぱなし。
お祝いの言葉と取材の申し込みが相次ぐ。対応に追われる。
不思議なほど、うれしい偶然も重なった。
仕事で東京家裁に来ていた高校・大学の同級生が、取材陣に囲まれている私を発見して声を掛けてきた。
「な?なんでここにいるの!? 今日、わたしの性別変わったの!」
「そうか、奇遇だなぁ。本当に良かったなぁ!」
私がOLをしている時分に街でバッタリ出くわして以来、交流が復活していた彼。
性同一性障害であることで様々な社会的不利があった。
彼には何度も相談に乗ってもらった。
私の出馬の決心を聞いたときは、私の心がボロボロになることを心配してくれた。それでも選挙戦で力を貸してくれた彼だった。
その後も嬉しい偶然は続く。
夜、全ての取材を終えて電車で世田谷に戻った。
区内で電車を降りた瞬間、目の前ではまさに旧知の職員さんが乗り込もうとしていた。
私が区議に当選した当初、私の議会初質問はマスコミの関心事だった。事がテレビ局が中継車をだすほどに発展するなか、庁舎としてのマスコミ対応を取り仕切ってくださったのがこの職員さんだった。
「今日、性別変更の許可がでたんですよ。裁判所の帰りなんです。」
そう申し上げると、さすがにビックリしたご様子。
そしてその直後、真っ直ぐに手を伸ばし握手を求めながら、温かなお声をくださった。
「本当に良かったですね!おめでとうございます。」
当時を振り返り思い出話。一つひとつの言葉に温かさこもる。
お気持ちが本当にありがたく頭が下がる思いがした。
多くの方に祝福をいただきこの日を迎えられた幸せを実感。
これまで支えてくださった方々、温かなメッセージをお寄せくださった皆さまにここで改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
本当にありがとうございました!!