●あや流!一期一会日記  〜 二度と来ないこの瞬間を大切に。 いっぽずつ歩んでいこう 〜

8月31日 キャラバン前夜

夜の大阪。たこ焼き会席をいただく。本場のたこ焼きってやっぱり東京と違う。種類も豊富で美味しい。まさかと思っていたけれど、デザートのアイスクリームにまで蛸が…。ああ、この良い意味でのコテコテ感…大阪にいるんだって気にさせられる ^o^;
明日は地元の当事者が行政に声を上げる「公的書類からの性別記載削除キャラバン」に参加する。分刻みのスケジュール、がんばらねば。


8月24日

結局、朝6時すぎまでレジュメを作っていて寝不足。シャワーを浴びて3時間仮眠をとって出かける。配布する資料をコピーしようと近所のコンビニに立ち寄る。刷り上ったコピーが結構な量になっていて、レジで袋をお願いすると、店長が愛想よく袋をひろげてくださる。「女性には親切なんだよ!」。

「がんばんなよ!」明るく見送ってくださった。

下北沢へ。
さてさて…どんな人が来てるのかなぁ?
会場には性同一性障害の当事者以外の一般の方々もかなり参加していらっしゃる様子。比較的控えめな周知しかしていないにもかかわらず、かなりの混みようである。

精神科医の針間克己さんによる医学的な解説につづき、東京都立大学助教授の宍戸常寿さんの基調講演。国会における一般的な立法過程、そしてそれらを踏まえた今回の立法についての解説があった。平易なことばを選んでの非常にわかりやすいお話に、参加者の方々も方々で頷きながらお聞きになっている。

私の自治体に関する話をはさんでのシンポジウム。東京大学の谷口功一さん、TNJの野宮亜紀ちゃんも入って今回の立法のなりたちが浮彫りになる知的好奇心を刺激する内容になったと思う。

私の話した内容については、時間超過。
気合いれて調べた分まで、話す内容を盛り込みすぎたと反省。今回のレジュメ作成を通して、さまざまな資料を当たったことで、私自身にはかなり勉強になった。そしてあらためて思うこと。それは、政治離れが言い古された昨今であっても、求める人にとって実は政治は、案外身近なのだということだ。一人ひとりに保障された権利を行使することで、実際に動いてゆく現実もある。各地の地方自治体の動きを追いながら、たった一人が声をあげたことで、市役所や議会がそれに応えようと動いている事例がいくつもあった。

政治の世界には権謀術数があり思惑がゆきかう。それは政治の一面として事実だろう。政治で何かを変えたいという熱意ではなく、政治家という立場そのものに固執する者もいるのだろう。しかし、私がほんの短い経験のなかで垣間見た政治の現場には、人の心の痛みに耳を傾け、ともに悩み、そして現状を変えていこうという熱意をもつ人がいたことも事実だ。

一人の有権者が市長に働きかける。
たったひとりで議会に陳情書を提出する。

自分たちの身の回りのできごとをただ諦めるのでなく、アクションを起こすことで自体が動いていくことも現実にあるのだということをもっと多くの人に知ってもらいたい。

「声をあげなければ何も始まらない」
「諦めからは何も生まれない」
あらためてそう思った。


8月23日

今日は一日中、あす世田谷・ラプラスでひらかれるシンポジウムの準備をする。
必要な下調べとレジュメの作成。わたしに与えられたテーマは、性同一性障害をもつ当事者の環境改善について「地方自治体にできること」
シンポジウムの主題はこのたび国会で成立した「性同一性障害者の性別取り扱い特例法」の意義とプロセス。今後のよりよい改善にむけ、そもそも国会において、どのような過程を経て立法にいたるのかをこのケースをもとに振り返り参考にしようという趣旨である。

全国町村議会議長会編 陽書房発行の「議員必携」を紐解く。議員必携とはよく言ったもので、地方議会の議員として必要な基礎情報について幅広く網羅している。私の担当する時間は15分だが、正確な知識を把握して話をしようと考えると、本当に幅広く、奥深い。地方自治体のしくみ、議事機関である議会と執行権をもつ市町村長・区長との関係、住民の権利と義務…意見書、請願と陳情…etc.

「人に教えることは最高の勉強」
そんないいかたがあるけれど、あらためてさまざまな資料に目を通して、本当に勉強になった。


8月15日 終戦記念日

季節外れの肌寒さのなか、終戦記念日を迎える。お盆の週末を実家で過ごそうと、足立区の両親のもとへ向かう。退院後の父にあうのは、初めてのこと。術後の肋間神経痛があるようだが元気な様子をみて安心する。

終戦記念日らしく、いくつかの特集番組を両親と食卓を囲んでみる。楽しみにしていた甥子との再会はお預け。お嫁さんの実家に弟夫婦は出かけているという。

「終戦の日って覚えている? 玉音放送って聴いたの?」
夜半すぎ、母の戦争体験をせがんで聞く。
「小さかったから覚えてないわねぇ…」

小学校にあがる前のこと、徴用されて工場勤務を終えて帰ってくる父親のゲートルを巻き取ることが母の日課だったとか。父親のために巻きタバコを作っていたときの様子を身振り手振りで話し聞かせてくれる。「街中に低いサイレンの音が響き、「空襲警報〜!」という通りの声を聞くたび、防空頭巾をかぶり、縁の下に潜るのが嫌だったのよ。カビ臭くて…」東京の家では、明かりが外に漏れぬよう電灯に覆いをかけて暮らした。両親が仕事をおえようやく食事をとっていると、毎晩7時には決まって停電する。食事は懐中電灯のなかで続行した 。
疎開先ではジャガイモばかり食べた。たまにご飯を炊いていると思って期待すると決まって麦雑炊でガッカリさせられた。終戦を迎え東北の疎開先から帰ると、入学するはずだった小学校は焼けて、焼け残った遠くの小学校に通った。生徒があふれ午前と午後の2部制の授業を受けていた。
…母が通った小学校は少子化のためにまもなく廃校になる見込みだという。

過去は未来に繋がっている。

私は以前から周囲の人の昔話を聞くのが好きだった。自分にとって身近な人の歩んできた道であっても意外に知らないことは多く、あらためて聞く話には、つねに新たな発見がある。爆笑、関心、感動…。私の今の価値観には、そんな彼らの体験談から感じたさまざまな思いが反映されているように思う。


8月14日

午後、雨の下北沢へ。
ジャーナリストの生江有二さんから依頼を受け、下北沢でふたりの俳優さんに会う。性の転換を望む当事者を演じるにあたり、役作りの参考にぜひあって話を聞きたいと頼まれたのだ。彼らの役どころは、いわゆる「ニューハーフ」として接客業に就くママと、男性であることに悩み、女性への移行をのぞむもうひとりの当事者だとか。

脚本をつくり、演じるにあたって「なぜ性をかえたいと願うのか」その感情を理解することの困難に突き当たったらしい。ライターさんと俳優さん、私の4人。おおよそ2時間、喫茶店の片隅で話しこむ。

性の多様性について。
私がかかえてきた葛藤。
当事者をとりまく現実の社会で感じること。
実際に接客業に就いた友人から聞かされた言葉の数々…。

今も私の心を離れない友人たちのつぶやきの数々を思い出し伝えようと試みる。友人の表情、その場の空気を思い起こし、私がえらぶ言葉にも自然、思いがこもる。

接客業につくことが一様に悪いわけでは決してない。それを天職と感じ、活き活きと仕事に励む人たちがいることも私は知っている。しかし職業選択のひとつとして存在することと、そういった仕事しかできないという世間の思い込みとは別の話だ。

「どこのお店で働いているの?」

性同一性障害を告白した途端、何度も向けられた質問だ。社会にはまだまだ偏見が残されている。そして私たち当事者は、日々そんなその社会のなかを生きている。わたしが友人たちが語ったツブヤキの一つひとつは、ほんの短いフレーズに過ぎない。しかしその言葉には「自分を生きる」ことを問いただす深い意味を含んでいる。

私の話に耳を傾け、微笑み、驚き、唸り、そしてナミダ目になる。
「僕、上川さんのファンになっちゃいました」
「ひゃ〜。俳優さんにファンになってもらうなんて光栄デス」

芝居のストーリーを聞きそびれたものの、真摯な取り組みの姿勢、それぞれの感受性の豊かさが印象的な方々だった。私も都合をつけてできれば見に行こうと思っている。

ワンダーフォーゲルvol.1 『あなたが笑うと世界が笑う』
http://homepage3.nifty.com/wandervogel/sakusaku/2_1.htm
どんなお芝居を見せてくれるのか楽しみである。

午後3時。下北沢の駅へ走って戻る。
ひきつづいてメールでお問い合わせいただいた区民の方々とお会いする約束だ。

世田谷では、6月の定例区議会で新区長が区立幼稚園の廃園検討を表明した。定例会冒頭の区長あいさつは事実上の所信表明演説であっただけに注目していたのだが、区の取り組みのなかで、時代に合わなくなったもの、その役割を終えたものを見直すという文脈で、区立幼稚園の廃園を検討すると明言している。私の所属する文教委員会においても、私立幼稚園の不足を補完するという設置当初の目的は終えたという説明があったのだが、私としては廃止後の見通し示されないなか、一律廃止には大いに疑問のあるところだ。保護者の方々を中心に疑問の声は大きく、その存続を求める声が強くなっている。保護者さんならではの視点で私立幼稚園と区立幼稚園の違いをお話しくださる内容は本当に勉強になる。概してこれまでの区立幼稚園の取り組みへの評価は高く、廃止による今後への不安が大きさがよく理解できた。そしてその訴えはとても理にかなったものだと感じる。

どういったかたちでお役にたてるか、今後とも情報交換をさせていただきつつ取り組んでいくことをお伝えする。貴重な現場の声をお聞かせいただいたことに感謝である。


8月10日

持続可能な緑の政治を若い世代から作り上げようとする、グリーン・ユース・キャンペーンの勉強会に参加する。これまでその勉強会は関西地域で開かれることが多かったのだ
が、今回は東京での開催。参加してフタを開ければ、私を除く参加者の多くが関西人であることに驚く。関西外語大学の清水耕介さんの講演につづいて参加者の自己紹介とディスカッション。同じ若手議員の参加者には、大阪府議の尾辻かな子さんなど、旧知の人もあって若手同年代の勉強会は、和気あいあいムード。環境NPOや学生インターンの方々 も加わって刺激的な数時間を過ごす。
夜、親友と二人、久しぶりの食事。井の頭公園に新しく出来たというオープンテラスのタイレストランへ向かう。台風一過晴れ。井の頭池をわたる橋からは、ビルに遮られることのない広い空が広がる。涼やかな風、チョット欠けた月が凛々しく美しい。

「議員として有名になっちゃって、ちょっと遠くなっちゃうのかと思った…」

レストランの席につき、親友の彼女がごちる。とはいえいったん会話が始まると、この間の空隙を吹き飛ばす勢いで互いの間はこれまで同様の親密さで満たされる。リラックス・爆笑・しんみり…気のおけない友達って大切だなって改めて思う。

選挙を経たいま、私のオモテにある肩書き、時間を共有するひと、そして過ごし方にもかなりの変化が生まれた。自分にとってこれまでの友人と過ごす機会は減っても、私そのものが持つキャラクター、彼らへの親愛の情は全く変わっていないつもりだ。それどころか選挙戦を通じてより深くなったとさえ思うのだが…それだけに彼女の一言は、ちょっと考えさせられる一言だった。
傍から見て、私の立ち位置って変化しているんだなぁ…。謙虚でいなければ…あらためてそう思った。


8月2日 変身

午後から夕方にかけて、性同一性障害の当事者と思われる方が相次いでお見えになる。いずれも男性としての自分に違和感があり、今後の歩み方に迷い、私のもとをお訪ねになったとのことだ。
お一人の方からは、私のかつての体験と何から何までウリフタツな体験をお聞きして、ちょっと驚かされる。

「もうこの状態に留まることは限界だと思います」

選択の可能性にはかなりの幅があることを具体的に説明し、できるだけ良質な情報を集め、慎重な判断が求められることをお話しする。
カウンセリング機関や自助支援グループなど今後の自分さがしのヒントとなるものについても資料を渡す。

「何かあったらまた、遠慮なく連絡くださいね」炎天下、ペコリと頭を下げて帰ってゆく後姿を目で追った。

性を移行するトランスジェンダーのコミュニティでは、数年ぶりに再会して、その変容に驚かされることも少なくない。自分の居場所を見つけてコミュニティから離れる人たちもいる。彼女たちはこれからいったいどんな選択をするのだろう…
かつての私も、どう歩を進めたらいいのかに悩み、逡巡を繰り返した。「サナギが蝶になった」。
数年をへて私が女性として暮らしはじめた当時、久しぶりに再会した友人に言われた一言を思い出す。かつては私もそうやって人を驚かせた一人だった。


7月31日 瑞々しい感性

朝、京都新聞の記者さんが追加取材に事務所をお訪ねになる。夜行で明け方東京に到着。眠らず事務所をお訪ねになったとか…
事務所での取材を終え、記者さんと朝の小田急線をご一緒する。

性同一性障害の法整備をめぐり、これまで大変懇意にしてくださった複数の議員さんと、記者さんが親交の深い議員さんとが不思議と重なり合い、話は盛り上がる。
「この問題(性同一性障害)を今後も追うって議員さんにも宣言したんですよ」

熱意ある言葉が頼もしい。新宿までの車中。短くも楽しい時間を過ごす。

午後。埼玉医科大学の生徒さんを対象とした特別カリキュラムに話し手として参加させていただく。埼玉医科大学を訪ねるのは一年ぶりのこと。パートナーの手術に付き添って以来である。

神経精神科の深津教授、そして旧知の診療心理士の方と昼食をご一緒する。埼玉医大で性別適合手術を始めて手がけた原科教授もお見えになって、選挙のことや、立法のことなど、積もる話に話に花が咲く。

2時から2時間弱の学生さんへのレクチャー。生徒さんには、誰が来るのか知らされていなかったらしい。この特別カリキュラムを受講した理由に、私の選挙戦をめぐるマスコミ報道がきっかけになったという生徒さんもいて、意外な人物の登場にちょっと驚いた様子だった。

性同一性障害とは何か、治療の歴史、わが国のガイドライン、実際の診断と治療、当事者の多様性、社会生活の難しさ、家族や友人との関係、新しい法的の問題…

生徒さんの誰もが本当に真剣な眼差し。少人数のレクチャーで親密な空気のなか、個人的な体験、友人たちや家族に関する話もひっくるめ、泣き笑いの展開になった。だれもがかなりのインパクトを感じたらしい…。

レクチャーが終っての教授室に戻る。

「生徒さんたちが本当に真剣で、そのひたむきな感性に何だかこちらが感動しちゃいました!」

「本当にみんな真面目なんですよね。生徒さんたちの感性は本当に瑞々しいんですよ。…人はいつからああいう瑞々しい感性を失ってしまうのでしょうか…」

 教授の言葉に思わず苦笑する。

「また会いに行きますね!」

帰り際、病院の廊下で出くわした生徒さんたちの笑顔がまぶしい。人の感受性は、時の流れとともに変化することも確かだと思う。それでも今日、生徒さんたちが瑞々しい感性で培った経験は、色あせることなく彼らの今後につながっていくのではないかと私は信じている。


7月28日

朝10時、文教委員会に出席。
次太夫堀民家園での長屋門復元工事やシックスクール問題について、質疑が集中する。
建築部材や塗料、家具などからも放出される化学物質により体調不良を起こす化学物質過敏症が注目されるようになった。家庭で同様の症状がでる状態を「シックハウス症候群」と言うのに対し、教育現場では「シックスクール」という表現が用いられている。
ホルムアルデヒドやトルエンなどの空気中濃度の測定については、学校保険法に基づく環境衛生検査の一環として昨年の4月から実施されているとのこと。
先月中ばから実施された区立の小中学校の調査結果では、一部の学校について基準値を上回る結果が出た。その後、換気の励行によって幸いその後の検査では基準値を下回ったとのことだが、今日の委員会ではこの問題に質疑が集中する。

今回、基準値を上回ったのは、ホコリを嫌うコンピュータルームや防音機能を重視した音楽室などいずれも高い機密性を確保した教室。機能の高さが皮肉な結果を招いてしまったようだ。

私からは、化学物質過敏症のお子さんについての現状把握と、今回の調査で基準値とされた文部科学省の「学校環境衛生の基準」が、国際基準に沿ったものであるのかを質問する。かつて日本のダイオキシン規制値が国際基準に比べて非常に緩かった記憶が念頭にあって質問したが、いずれの質問に対しても、把握していないとのこと。
該当する生徒さんの現状については各養護教諭などとの連携をもって現状把握に努めるとの答弁を得る。

午後、清掃・リサイクル対策委員会を議員傍聴。つづいて世田谷清掃工場の立替計画についての勉強会に参加する。
土壌調査の実施の有無について質問。昭和44年から操業している施設ということもあり、建て替えにともなう有害物質の飛散が気になるところだが、施設内部の洗浄、塵を外部に出さない負圧(建屋内部の気圧が低く外部に漏れない)での空気管理、エアシャワーを吹き付けることで出入りする作業員の服の塵を落とすなど想像以上に慎重な管理がなされているようだ。
ちなみにデザインを公募した現在の煙突は地域のランドマークとして、建て替え後も活用されるとか。
建築経費の削減にもつながっているとのことで、良いアイデアかと思う。


夜、豪徳寺商店街で夕食の買い物。
商店主さんと世田谷区勤労者サービス公社のサービス内容についてディスカッション。率直な意見をいただいてかなり盛り上がる。
私は今年、この公社の評議員にもなっていてこうした意見をお聞かせいただくことは貴重な機会で本当にありがたい。巨大な瓜までサービスにいただいて恐縮至極である。

いただいた瓜も鶏挽肉と甘辛に炊いて食卓にのぼる。はりきって3品の料理を用意し、事務所にいたスタッフと一緒に夕食。近頃自炊から遠ざかり、味付けに自信が持てなかったものの好評でホッ。
これだけきちんと自炊したのは、出馬以来かもしれない…(^0^


7月26日

10時から原宿で行われた自閉症スペクトラムの勉強会に参加する。
自閉症は3つの行動特徴、(1)社会性の障害、(2)コミュニケーションの障害、(3)想像力の障害、から主に診断されるが、一口に自閉症といっても行動特性の内容とその程度、知的なレベルについても遅滞のある場合から非常にIQの高い場合まであって個別性がとても高いという。

「自閉症」と一言で括るより、多様な「連続体」として全体を捉えるほうが実態に即しているとして「自閉症スペクトラム」という言葉が使われるようになっているとのこと。ビデオ映像などを交え、多様なありようが浮き彫りになる話となった。

ご講演いただいた臨床心理士の先生とお食事を共にさせていただく。
自閉症の多様なあり方に対して精通し、その的確な診断を下せる専門家の数は決して充分ではなく具体的な対処方法についても、専門家の間に異なるアプローチがあるという。

性同一性障害を抱える人たちと多くの共通点があることを実感する。
知見ある専門家の少なさ、本人と周囲の混乱。理解を求めることの難しさ、社会参加への壁…

周囲が求める「当たり前」が、当人にとっては全くもって無理な押し付けになることも少なくない。できないことを責めるのではなく、お互いにとって望ましいコミュニケーションの方法を実践するなかで、その子なりの長所を活かし育てることが重要だという。


夜、世田谷区民会館へ。
青鳥養護学校表現活動部で行われているミュージカル製作の取り組みを丹念に追ったドキュメンタリー映画「虹をつかむステージ」を鑑賞。
養護学校に通う生徒さんたち、そしてそれを取り囲む大人たちの真っ直ぐな視線、ひたむきな努力と情熱に感動。
その後、卒業生たちで構成された演劇集団。Seicho ActorsClubにより実際のミュージカルが上演された。

舞台製作の裏側を追ったドキュメンタリーを見た後だけに、30分のミュージカルにどれだけの努力が傾けられていたのだろうと考えると感慨深い。

ミュージカルのフィナーレ。舞台上に勢ぞろいしたみんなの顔が達成感でキラキラ輝いているように感じられる。

自分が自分であることに誇りを感じられますように。
会場全体が惜しみない拍手とエールを送っていることを感じ、私も胸がいっぱいになった。


7月25日 ・ 疑惑解消

朝一番に父が入院する国立がんセンターへ。

4年前に大腸がんを患い手術して以来、時折検査は行っていたのだが、先だって受けた検査で肺に白い影が…。
国立がんセンターに場所を移し、再検査をお願いしたのだが、大腸がんの肺転移である可能性が高いという診断。患部を実際に手術で摘出し組織を検査をする切開生検を行うことになった。

今朝9時から胸腔鏡(内部を観察するカメラと切除と切除器機を挿入する手法)による手術を受ける。

がん再発の疑いが濃くなったここ2週間、実家には重苦しい空気が漂う。
婦人科がんのサポートグループを主宰する親友に相談したり、インターネットで情報を集めたり、がんセンターの担当医と電話で話し面談するなど、豪徳寺と実家行き来しつつこの日を迎える。


「今年は本当にいろんなことがあるよね〜」

手術前日の夜。実家のリビングでお嫁さんとため息まじりに語らう。
「選挙でしょー、愛犬は死んじゃったでしょー、子供が生まれるし、お父さんは手術だし…」

《あ、あたしの選挙ね…ごめんね…(^o^;)

9時から始まった手術。終わるのはおよそ3時間後。
きょうだいが全て揃うのも久しぶりだ。
きょうだいのお嫁さん二人に生後2ヶ月の赤ちゃんも一緒になって、最上階にある院内の食堂、地下売店、患者家族の待合所へ。
落ち着きなく一族郎党は移動する。


午後1時前に手術終了が終了。
担当医に呼ばれ緊張のカンファレンスルームへ。

「結果を申し上げますと…」
《一同に緊張が走る》
「…がんではありませんでした。私たちにとっても意外な結果です」

「へ?……」

切除を受けてすぐに行われる病理検査をお願いしてあった。
見つかった3つのシコリは「肉芽腫」。細菌などが侵入した際に、身を守る生態反応として周囲に形成されるシコリだという。

「良かったぁ…」声を揃え、拍子抜けする一同。兄嫁は安堵のあまり涙ぐむ。

集中治療室で父に安堵の報告。

「安心して。がんじゃなかったよ!」
「良かった…息が出来ないくらい痛い…」

目を開けるのも辛いらしく痛ましい。

集中治療室での帰路、気が大きくなった家族はファミレスに立ち寄り食欲も復活。ビールも頼んで昼食を食べる。やれやれ…である。


実家に戻り、母が先だってがんで亡くなった愛犬の遺影に語り掛ける。
「ありがとねー。お父さんの悪いところ全部持っていってくれたんだね」

ホッとした反面、ドッと疲れた気分…。
明日は安心して世田谷に帰ろう。
実家のパソコンから溜まっていたメールの返事を書き、就寝。


7月17日 ・ 小学校訪問 発達障害

午後、発達障害をもつ小学生の親御さんとご一緒し、区内の小学校を訪問する。

親御さんとは議員になりたての頃、地元サポーターから紹介され、担当課に対して関連資料の配布、研修計画について確認のお手伝いをして以来のご縁である。

近年、その名が知られるようになったADHD(注意欠陥他動性障害)をはじめ、アスペルガー症候群(高機能自閉症)、LD(学習障害)など、脳の微細な機能障害が原因とみられ、発達上の偏りをもつ子どもたちの存在が着目されるようになってきた。 とはいえ、当事者の状態は多様で知的能力が高い発達障害では、コミュニケーション能力での不具合が「注意力が足りない」 「融通が利かない」「協調性にかける」など、本人の努力不足の問題として非難され、周囲の無理解ゆえに、本人はもちろんその家族も、辛い立場に立たされるとことが多いという。 一方で、できないことを「叱責」するのでなく「説明」し長所を褒めるなど、周囲の適切な理解と配慮があれば、学校生活に溶け込んでその子の能力を大きく伸ばせる場合もあり、周囲のきちんとした認識と、それに基づいた配慮が非常に重要な意味をもつ。

学校を訪ね、担任の先生と教頭先生、学年主任の先生らとともに、お子さんのこれまでの扱いと今後について、1時間半ほど話し合う。 これまでの経緯をめぐっては議論に熱が入る場面も。 真剣な話し合いのなかで、徐々に前向きな流れが生まれたように思う。 発達障害の存在を認め、適切な配慮の必要性もお認めいただく。 個別の対応で親御さんがお願いしている内容は、基本的にその子の特質に合わせた小さな心配りの積み重ねに過ぎない。 お子さんの特性に留意した心配りをお願いし、担任の先生と保護者との連絡をより密にしていただくこと、関係者による話し合いの機会を今後も設けて、引き続き対処していただくことにご同意いただいた。

学校側の前向きな姿勢に感謝するとともに、今後の進展についても見守っていきたいと思う。  今回の問題は、ただ一人のお子さんの問題ではない。これまで見えにくかった、こうした特質をもつお子さんの数は意外なほど多く、今後よりクローズアップされてゆく気配である。 特質と差異を認めた小さな配慮の積み重ねを実践できる教育現場は、取りも直さず誰にとってもやさしい教育の現場であり、公教育のこれからの展開としてしごく当然なことだろう。


7月16日 ・ 視察 広島 夏

朝、広島市役所へ。中高一貫教育の取り組みについて話をうかがう。広島市の「併設型」。同一の敷地内の中学校と高校を一体的に接続。一貫した教育方針の下での学校運営が可能となる。現在までのところ、中学校の教師が小学校での授業に協力する形が主で、双方向といった内容ではないらしい。学校の特色ある教育課程をどう編成していくのかが問われているのだと感じる。

バスで市内中心部の袋町小学校へと向かう。 原爆の被災校舎が近年、建て替えられ、「まちづくり市民交流プラザ」との複合施設として改築されている。総工費56億円。さすがに立派で本来、開放的なデザインであるけれど、不審者から子どもたちを守る必要から、学校入り口にはフェンスを構築し、インターフォンの設置も。地域に開かれた学校経営が模索される一方で、犯罪や災害から子どもたちをどう守っていくのか、いずこにも共通する課題であろう。

袋町小学校には平和資料館がある。被爆した旧校舎の漆喰壁の下から、被災者が家族に宛てたチョーク書きの伝言が見つかったことで有名になった旧西校舎を一部保存したものである。

温故知新。今年も8月が近づき、平和祈念式典の準備が進められていると聞く。


7月15日 ・ 視察 倉敷

新幹線と在来線を乗り継ぎ倉敷へ。 迎えのバスに乗り、さっそく倉敷市役所へ。

白壁と柳がたゆたう水路の風景が有名な美観地区を横目に通過。 大型リゾートホテル風の市役所へ。 市が構築したイントラネット(インターネットの通信技術を駆使した地域のネットワーク)について説明を受ける。 光ファイバー網を用いた超高速通信網を市内252箇所(市役所、支所、小・中・高校、幼稚園、保育園、保健所、図書館、公民館)で結ぶ巨大システムで、全国の自治体に先駆けての敷設であるらしい。教育委員会での学校事務の効率化だけでなく、テレビ会議システムを用いて学校間をむすぶ授業や、防災面での活用も視野にいれているということらしい。運用開始から日が浅く活用の可能性は幅広い。今後の展開が気になるところだ。 市議会議場などを見学後、市役所庁舎をあとに美観地区へ。有名な大原美術館を訪ねる。 昨年訪れた際、貸し出し中だったルノアールの『睡蓮』も公開中。限られた数十分の駆け足見学であったけれども、充実したコレクションにかなり満足。

新幹線で広島に向かう。 休憩後、食事へ。自由参加の2次会(もちろん自腹)もあって盛り上がる。 カラオケのあるお店。歌うのをためらう私を気遣って田中優子さんが助け舟を出してくださる。二人で『渚のシンドバッド』を歌い(しかも振り付き!)岩本すみ昌さんとも『銀座の恋の物語』を歌う。数年ぶりのカラオケ。ヘタなりに楽しい。


7月14日 ・ 視察 神戸

文教委員会のメンバー議会事務局の方々とともに視察旅行へ。 神戸、倉敷、そして広島へ、2泊3日の旅である。

はじめて新幹線のグリーン車に乗る。 昼食はいわゆる駅弁である。 前方座席の背もたれにあるテープルを何ら疑問を持つことなく下ろした私。 隣では、同僚議員の青空こうじさんがオモムロに肘掛を開き、テーブルを出していらっしゃることに驚く。 「さすがに旅なれてますねぇ…」 「社内でイヤホン買うと500円するんですよね」 青空さんはマイ・イヤホン持参で肘掛にある音声サービスをご利用になっている。 同僚が全国を行脚する有名芸能人であることを再認識する瞬間であった…(^o^;)

新神戸に到着後、ホテルに荷物を預け、その足で神戸市役所へ。 担当者より教科担任制の取り組みなどについて事情をお聞きする。 小学校高学年の教科担任制は、一人の教師が一学級の授業すべてを担当する従来の方法を見直し、中学校のように専門分野に応じて教員が授業を分担し合うもの。 教師の教科研究が深まり、生徒により質の高い学習機会の提供が期待されること、複数の教師の目で子どもたちを見守り、多くの生徒と触れ合う機会ができることなどを期待しての取り組みである。 生徒の評判はといえば「たくさんの先生と話せて楽しい」との評。導入後、時の経過とともに評判は上々とのこと。 その一方で肝心な学力の向上については、またハッキリとした変化は出ていないという。 生徒さんの日々の様子を確かめるという点においては、先生にとって広く薄く見ることになってしまうと思うけれど…。

「生徒さんを見る先生相互の連絡はどのようにとってらっしゃるのでしょうか?」

教員相互の話題は増えているとのご返答。申し送りの約束事やシステムは特段も受けていないとのことであった。 全体として定まった評価はなく、試行段階の印象。う〜む。 神戸市役所をあとに校庭を芝生化した小学校へ。 校庭の外周部かなりの面積が美しい青芝。実際見て歩いてみると、とっても気持ちよくて素敵! 立場を忘れ、誰もいなかったら、ゴロゴロしたいくらいである。 農薬の使用や、校庭として着ない育成期間について質問したが、完全無農薬で育成期間も芝が初めに定着するまでの3ヶ月。 段階的に広げているということで、さほどの問題もないらしい。 「渇水のときは、さすがに水撒けませんよね…?」 ちょっとイジワルな質問であったが、芝は意外に丈夫で水不足で枯れたように見えても全滅にはならず雨が降れば、また復活するらしい。しかも冬芝の混植で、冬でも枯れないそうである 。 ステキ…。 初期投資の費用はちょっと張ると思いつつ、かなり芝の校庭に惹かれてしまった私であった。

バスでホテルに戻る。夕食までの1時間あまりホテル近くの北野の街を散歩。 震災前に訪れて以来の異人館通り界隈。震災の爪あとを感じさせぬ復興ぶりに懐かしさを覚える。 夜、視察旅行の参加者で夕食。お酒も入って委員同士の会話もはずむ。が… 性同一性障害にまつわる問題について正確な知識はもちろん、理解しようという姿勢すらない議員がいることに愕然。人権教育は子どもにかぎらず、最も身近なところから始める必要がありそうである。


7月10日 ・ 特例法案成立

13:00に始まる衆議院本会議を傍聴。
議員傍聴席に今回の議員立法にご尽力いただいた南野智惠子議員、山下英利議員の姿も。

13:25 性同一性障害の特例法案が表決に付される。
議長の「ご異議ございませんでしょうか」の問いに会場から「異議無し」の声。

反対者がいないからこその「簡易採決」。
あっけなく法案が成立した。

国会議事堂の通路内で、ともに国会をまわった仲間と抱き合う。
「お疲れさま、ようやく成立したね…」
必死に訴えて歩いた日々を思い出し思わずナミダ目になった。

議員会館の会議室をお借りしての「院内集会」を予定。
これまで実際にお会いして、今回の法整備でお力を貸してくださった国会議員の方々、100人ちかくをお誘いしていた。


15:30 院内集会を開始。

マスコミの取材多数。テレビカメラが7台並ぶ。
新聞各社の記者とフォトグラファー。ラジオ局、通信社、ライター各氏の姿も。
お忙しい時間をぬって30人あまりの国会議員の方々もお見えになった。

ご家老のつぶやき。
「院内集会にこれだけ多くの議員さんが参加するのはめずらしいよ」


大阪府議の尾辻かな子さんの司会のもと、当事者からのコメント、国会議員の方々からのご挨拶のお言葉、マスコミとからの質疑とつづく。

はじめて法文に性同一性障害が明記された。
会場からの発言にもあったように、公式に同疾患が politically correct とされた意味においても法案成立の意義はおおきいと思う。

今後、戸籍の変更にに限らずさまざまな分野で受け入れが進み理解が深まってゆくキッカケになるよう願っている。
そのために、私自身もさらなる努力をつづけてゆこうと思う。

今回の法案成立については、国会議員の方々からもこれで問題を終わらせず、今後の要件緩和や社会環境の整備に引き続き努力したいとのお言葉をいただく。
度重なる陳情に忍耐強く耳を傾けたくださり、医療や就業における障壁など、取り組むべき課題が山積していることを皆さんよくご理解くださっていることをほんとうに心強く思った。


しなやかに逞しく更なる道を歩んでいけるといい。
「新たなるスタート」
今ほどその言葉がふさわしい時はない。そう思う。


7月8日 ・ 新人議員交流会

夜、新宿にて世田谷区議会で今回初当選した議員の交流会。
世田谷区議会は52人の議員総数のうち、15人が新人議員。
今日は、そのうち13人が参加して、会派をこえ、同期同士の親睦を深めようと集まった。

和気あいあいムード。選挙戦での互いの健闘ぶりで盛り上がる。
楽しく会食を終え次回の幹事もきめてぜひ今後も共にやっていこうと約束して解散。

28歳の若手、すがややすこちゃんともメールアドレスを交換。
「あやさんが楽しい人でよかった」
すがややすこちゃんの上川あや評である。


7月7日

雑誌『ガバナンス』より急遽,取材依頼が舞い込む。
急ぎ、促されて銀座のぎょうせい出版に。

対応くださった担当者さん、私の活動についてはすでによくお調べになっている様子。クリアファイルに関連資料をしっかり揃え、性的少数者の問題についてもお詳しく話が弾む。

FACEという欄で取り上げられるということで、性同一性障害(GID)に関連した議会での初質問や、国会での法整備の動きについてもお 話しするをする。
地方自治体職員と議員が主な購読者というこの雑誌、勉強になるから「読むといいよ」と言われていた媒体のひとつであった。

うすく広く存在する少数者の問題は、世田谷に限らず、ひろく認識されてゆくことが必要だ。ぜひ地域行政に携わる方、地方議会議員の方の目に私の声が届くことを願っている。


7月6日

午後、京王線・高幡不動の駅を降りる。
昨年、パートナーと初詣で訪ねて以来二度めの下車。
参道にはお不動さん参道の七夕飾りが美しい。

今日は実践女子短大にて学生さんたちが手作りで準備した講演会に話し手として招かれていた。

会場を覗くと最前列に選挙戦でウグイス嬢をつとめたS嬢。
いくぶん緊張感が解けぬまま、2時間弱お話。
男女の「らしさ」の枠に縛られるのでなく、「自分らしさ」を認めあい発揮できることの素晴らしさを話した。

地元の方がお手製のバケットを持参で控え室をお訪ねくださる。
先だって事務所を訪ねてくれた学生さんたちが、司会をつとめして緊張の面持ちで進行を進めてくださった。
みなさんの歓迎の心づかいがうれしい気持ちのいい催しだった。

学生さんたちの感想文を送ってくださるとのこと。
どういった感想を聞かせてくれるのが楽しみである。


7月3日

朝9時より文教委員会。

今回の委員会では、報告が中心。
区立小学校の改築、小学校児童の負傷事故、区内大学との連携事業、平和資料室特別展の実施などについて担当部課長より報告。
私からは校内負傷事故についての学校側の管理責任についてその認識を質す。
午後、広報小委員会に出席。
6月の定例議会を受け、区議会広報紙の紙面づくりの内容確認を行なう。

今回の議会からはじまったインターネット議会中継について、その実績の報告があった。
会期中の最大アクセス数は初日の34。私の質問した6月12日の同時中継のアクセス数は32件。以降、徐々に件数は下がって最終日には10件。

80万人の人口がある世田谷区であって、このアクセス数は思ったより少ないと思えるが、簡単に議場に足を運び傍聴できる人ばかりでないことを考えれば、より多くの人が必要な地域情報にリアルタイムでアクセスできる機会は是非とも必要だろう。

▽区議会インターネット中継:
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/kugikai/chukei/h15teirei02/index.htm

市川房枝記念会より雑誌『女性展望』の取材を受ける。
同記念会は、全国の議会の女性議員比率などを毎年発表しているが、私の統計上の処理については今回は「男性」。
注記のなかで性同一性障害を抱える私の立場については言及なさっているとのこと。 現在進んでいる法整備の動きを受けての取材。
男女という2分法を問い直してもらううえで役に立てれば嬉しい。
「(性別の取扱いについては)今後、また考えます」とのことである。


夜、東京大学で行なわれたフランスの連帯市民契約PACS法に関する講演会に参加。
話し手は来日した仏人社会学者のイレーヌ・テリー氏がつとめた。

同性愛者への取組みとして一見先進的だと思われるフランスの同法。 今日実際に法案の成立過程や内容をお聞きしてかなり印象が変わった。
欧州でも同性愛の人権擁護をリードしているように見られがちだが、「その内容は、欧州諸国のなかでもっとも貧しい」とのこと。

性を問わず共同生活を送るカップルが適用対象とされ、税制、社会保障面での優遇措置が設けられているが、男女の結婚にくらべるとまだまだ格差があるとみるべきであるとのお話。それであっても日本の同性愛カップルよりはずっと多くの権利が与えられている。

1999年この法案の成立をめぐっては、その評価をめぐり同性愛者の間で大いに議論が分かれたようだ。養子をとる権利など、あくまでも男女の結婚と同じ権利を求めて、PACS法案に反対する人がいる一方で、法的な権利擁護の始まりを肯定的に評価し、その成立を歓迎する人たちもあった。

この法の成立には、同性愛カップルの高齢化にともない、パートナー間での相続や医療行為をめぐる権利獲得の必要性から政治運動が活発化したこと、家族形態の変化が進み、500万人にのぼる非婚同棲カップルが存在しているといった背景もあった。

時の左派政権は、対象となるカップルは「異性間に限らない」という立場をとり、あえて同性愛に焦点をあてず。同性愛について政治的判断の所産である。

理想論と抵抗勢力。当事者自身による政治的働きかけ。コミュニティ内の異論…。
性同一性障害に関連した今日の法整備をめぐるあれこれと多くの共通点を感じさせられることの多い勉強会となった。


東大大学院の法学政治学研究科の先生とご一緒する機会を得て、楽しく夕食をご一緒する。法学者としては権威ある先生でありつつ、セクシュアルマイノリティについて偏見なく、とても気さくなお人柄。とても素敵な貴重なる出会いに感謝である。

盛り上がって電車を逃し、タクシーに分乗して帰宅。


7月2日

参議院本会議を傍聴するため永田町へ。
誰でも議事堂の傍聴受付に出向けば先着順で傍聴券の交付を受けることができることはあまり知られていないかもしれない。
傍聴券には、議場のカラー写真。観光施設のチケット風である。
今回私はまえもって南野智惠子参議院議員に傍聴券の用意をお願いしてあった。
秘書さんに先導いただき、幾重もある警備体制を抜ける。

本会議場の傍聴席に仲間たちと入る。
見下ろす議場はテレビなどで想像していたよりずっと小さい。

「意外に狭いですねぇ」
「うん。一人ひとりのスペースは世田谷区議会の方が大きいね」

脇通路左右に陣取る警備員から傍聴マナーの説明。
…拍手はしないこと。立ち上がらないこと。声を発しないこと…。

開会を知らせるベルが鳴り響くなか、森山法務大臣が議員席の向かい側、国務大臣席にお入りになるのが見える。
議員さんが続々議場にお入りになって急に議場が賑やかになった。


朝9時開会。
朝一番の本会議で性同一性障害の戸籍の特例法案が議長の進行により表決に付される瞬間、「可決!」「前回一致!」という掛け声が議員席から 聞こえる。
参議院の集計方法は押しボタン式。一瞬にして電光掲示板に投票結果を表示。

投票数229。賛成229。反対0。

もっと感動的な展開を期待したけれど、誠にあっけない…
議事堂を後にし、お世話になった議員事務所にご挨拶へ。


中村敦夫さんの事務所におじゃまする。

「他の法案より投票総数が少ないんですが、棄権した人がいたってことでしょうか?」
「朝一番の議題だったので、表決に間に合わなかった人がいるんですよ」

採決の一覧表を一つひとつチェックしながら「やっぱり全会一致ですね」とご説明くださる。

「今後の改善のためにも、お世話になった議員の皆さんにはご挨拶さしあげて喜んでもらうといいですよ」


以降、夕方のタイムアップまで、衆参両議会議員の35の事務所にご挨拶をさしあげる。

今回の大きな前進を大変に喜び、おもわず涙ぐまれた後藤博子さん。
法制定の意義と今後への期待を熱く語って下さった家西悟さん。
満面の笑みで事務所へ招き入れ、今日も強く温かな握手をくださった大江康弘さん。
本会議が終わり議場から、お手を振ってくださった井上哲士さん。
事務所をお訪ねすると「当事者の方々の熱意が国会を動かしましたね」と、秘書さんともども温かな労いのお言葉くださった。
「思わず傍聴席に手を振ろうかと思った」と事務所から福島瑞穂さん。

本当にどの事務所をお訪ねしても、今回の参院での可決を喜んでくださる。
衆議の法務委員会理事の漆原良夫さんからは、つづく衆院法務委員会、衆院本会議についての見通しをお聞きする。
とても温和で気さくな感じのお人柄。衆院についても明るい見通しをお聞きしてホッ。

なんだか今日は国会がとっても温かく素敵な場所に思える一日であった… ^o^;



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