具体的な成果

★「公益通報制度」の非公表が改められました。

 

組織の不正を職員が告発する「公益通報制度」。
その運用状況の公表が途絶えている事実を上川が指摘。
公表を再開させるとともに、告発の握りつぶしを可能にする「不受理理由の非公表」も改めさせました。

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◆上川あや

組織の不正を区の職員等が安全に告発できる制度、区の公益通報制度について伺います。

私がこの課題を取り上げるのは恐らく九回目になると思います。
組織の不正を許さない根幹的な制度の一つなんですが、かつての区の制度設計は、極めて組織に都合のよいお手盛りと呼ぶべきものでした。
まず、区は、国のガイドラインが求める弁護士等を配置した外部の通報窓口を設置することはありませんでした。このため、組織の不正を区の職員が告発する先は区の窓口しかありません。告発を受けるのも区、それを受理するか決めるのも区、調査を手がけるのも区、調査の結論を出すのも区、処分するかどうか決めるのも区、告発を受けた区そのものなんです。これで組織的な不正があった場合、正されるわけがありません。
加えて国のガイドラインでは、法が求める最低限のほかにも届け出対象を追加できるとしてきたのですが、区は最低限の範囲以外は認めない。さらにガイドラインが求める運用状況の公表、透明性の確保は全く図られてこなかった。通報概要の公表はおろか、その件数すら不明でした。徹頭徹尾ブラックボックスだったんですね。これらはそれぞれ私からの指摘で是正をされたと理解をしていますが、どういつ変わったんでしょうか。

◎菅井 総務課長

御指摘の公益通報制度の運用の見直しにつきましては、まず平成二十三年九月から、第三者による外部窓口を設置いたしまして、弁護士による公益通報相談員が通報の受け付けや相談に応じる体制にしております。その際、あわせて公益通報に該当する法令違反だけでなく、組織、職場における違法、不当な事実や、事件、事故につながりかねない事実等につきましても対象といたしまして、職員周知等を図りました。
また、公益通報制度の運用状況の公表につきましても、平成二十六年十二月から運用状況を公表することや、弁護士である公益通報相談員から報告を受け、是正措置が講じられたものについて、概要を公表することとしております。

◆上川あや

ところが、運用状況の公表は二十七年度を最後にとまっております。運用状況は毎年度公表するルールなのに、守られてもいない。公表するべきではないんでしょうか。
また、平成二十八年度、二十九年度、今年度の運用状況についてもあわせて御報告ください。

◎菅井 総務課長

公益通報制度の運用状況の公表でございますが、まず、区内部の職員等による通報につきましては、平成二十八年度、二十九年度ともに、公益通報に該当する法令違反及び組織、職場における違法、不当な事実等として受け付けした件数はございませんでした。
次に、民間事業のもとで働く労働者からの通報、いわゆる外部通報につきましても、平成二十八年度、二十九年度ともに受け付けしたものはございませんでした。
委員御指摘のとおり、平成二十八年度以降の公表につきましては、区ホームページを更新しておりませんでした。所管課長といたしまして、運用状況を公表することにより、公益通報制度の透明性や信頼性を確保するという認識が不足していたものと反省しております。申しわけございませんでした。早急にホームページを更新いたしまして公表させていただきます。
なお、今年度、平成三十年度分の公表につきましては、四月以降を予定しております。

◆上川あや

昨年の夏に通報されたものの中には、外部の弁護士により受理をされ、調査をされ、是正をされたものがある。つまり不法または不適切な事案があったと承知をしています。その事実はどこかに明かされたでしょうか。議会への報告や記者会見等は行われましたでしょうか。

◎菅井 総務課長

本件につきましては、公益通報に該当する法令違反ではなく、公益通報に準じて取り扱っております区の組織、職場における不適切な事実等に関する通報でございまして、調査の結果、是正措置を講じまして改善を図り、通報者本人にもその旨をお伝えしております。
なお、本件は、懲戒処分に該当しないものでございますので、議会や報道発表等は行ってございません。公表につきましては、今年度分の運用状況といたしまして、四月以降に公表を予定しております。

◆上川あや

区の公益通報における運用状況の公表では、受け付けて以降、調査はしたか、是正の必要はあったか、是正措置は実際に講じられたのかの数字の公表があるだけです。どういう通報があったのかは不明、調査で何がわかったかは不明、結果、どのように処理されたかも不明、全くわからない、相も変わらないブラックボックスです。
不正の告発を区が握り潰すことなく、適正に処理しているかどうかを知る上では、是正を図ったかどうかにかかわらず、通報の概要、調査結果の概要、処理概要のそれぞれが公表されなければならないと考えます。単に件数のみではない、公表内容の見直しが必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

◎菅井 総務課長

今後、公益通報制度の透明性や信頼性をより高めるためには、単に件数だけではなく、通報や調査結果、是正措置の概要を公表することについて検討する必要があると考えております。
四月以降に予定しております今年度の運用状況の公表に向けまして、国や他自治体の例も参考に、関係所管や公益通報相談員の意見も聞きながら、具体的な検討を進めていきます。

◆上川あや

区のデータ公表にはほかにも疑問が残ります。
国が公表している全国の自治体に対する公益通報制度の運用状況の調査結果の区分では、通報件数が一番のベースにあって、その一部が受理件数となっています。区の運用状況の公表では、一番のベースが、名称が違いまして、受け付け件数となっています。ここでいう受け付け件数は何を意味するんでしょうか。

◎菅井 総務課長

国が行った全国自治体を対象といたしました公益通報制度の通報件数等の調査におきます通報件数は、公益通報に該当する法令違反だけではなく、窓口に寄せられた通報件数の総数としています。また、受理件数は、通報件数のうち、例えば匿名の通報であったり、組織、職場における違法、不当な事実や、事故、事件につながりかねない事実など、通報対象事実の範囲外を内容とする通報などで受理しなかった件数を除きまして、受理した件数とされています。現在の区の運用状況の公表における受け付け件数は、国の調査結果におけるこの受理件数に当たるものと認識してございます。

◆上川あや

であるならば、相談などとして処理して受理しなかった件数が隠されているということを意味します。国の調査区分でいう通報件数も明らかにするべきではないんでしょうか。

◎菅井 総務課長

今後、国への報告に準じまして、受理しなかった報告を含めました窓口に寄せられた全ての件数を通報件数として公表することを検討いたします。

◆上川あや

疑われることのないように、しっかり公明正大に制度を改めてください。