具体的な成果

★障害者の内視鏡検診等が補助対象となりました。

 

障害者や体力の衰えたお年寄りの多くが、バリウムを飲むX線検査の無理な体位変換に耐えられません。ところが他の検査方法では区が助成する検診の対象外で、重い自己負担が必要でした。上川の提案により、障害のある方が主治医のもと内視鏡等で検診を受けた場合には費用を助成できるよう、制度が改められました。

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◆上川あや

続いて、逆境にある障害者の健康診査事業について二点伺います。

この質問の第一は、区の胃がん検診についてです。
車いすを使用する障害者等は、そもそも区の胃がん検診車に入れません。また、障害者、高齢者の多くがエックス線を用いた検診の体位の変換に耐えられない。このため、障害者、高齢者の多くが区の胃がん検診から取り残されてきました。

昨年の第一回定例会で、こうした区民にも対応できるがん検診の確立を求めたところ、区は検討を約束。一たんは、区保健センターで実施できる見通しとなりました。同センターに消化器病のエキスパートがいることからスタッフを動員し、バリウムの胃壁になじませるなど工夫をすれば可能との話でした。
ところが、ご高齢の担当医の在任期間中なら可能という制約下では継続性の観点から事業化はできないと、一転して事業は立ち消えとなりました。検診できる人的資源、体制が現にありながら、検診を望む区民を放置する結論は誤りです。事業化前のニーズ調査といった形で期間限定で試行するなど、工夫はできないのでしょうか。

また、区の胃がん検診検討会の出した結論、主治医による個別検診という話で制度から切り捨てるのであれば、主治医による検診費用についても他の区民同様、区の負担とするべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

この質問の第二は、車いすを常用する障害者の検診事業です。
前出の議会質問で私からは、車いすを常用する障害者の二次障害予防を目的とした検診事業の実現についてもあわせて求めました。これは、平成五年の厚生省通知で区が国から実施を求められてきた事業であり、障害を押して無理を重ねる中で骨格が変形するなど、年々障害が重くなることを予防しようというものです。しかし、この検討も委託できる区内医療機関が見当たらないという理由から頓挫しかけています。
ならば、区が持つ障害者用リフトつきバス、ふれんどバスを活用するなどして、区外で豊富な実績を持つ医療機関、都が障害者向けの総合医療機関として設立した都立北療育医療センター等に区民を運んではいかがでしょうか。さらなる検討を求めます。区の考えを伺います。

◎西田 世田谷保健所長

障害者の健康診査についての二つのご質問にお答えいたします。

初めに、障害のある方の胃がん検診についてでございます。
区の胃がん検診につきましては、胃部エックス線撮影で実施しております。実際の撮影では、傾斜した台の上で体を左右に向けたり前かがみになったりさまざまな姿勢で合計九枚の写真を撮りますので、これに耐えられる体幹及び四肢の筋力が必要になります。そのため、現在保健センターでは、聴覚、視覚障害の方などへの対応は行っておりますが、車いすの方のエックス線撮影はできない実態にあります。
区も、障害者の方々にがん検診の受診機会を提供することは重要な課題であると考えております。そこで、昨年三月から十二月にかけて、区、地区医師会、保健センターで構成する胃がん検診検討委員会を開催し、エックス線撮影が困難な障害者及び高齢者に対する検診のあり方について検討してまいりました。その結果、障害の種類、程度はさまざまであり、自治体が実施する住民検診としてどなたにも安全に受診いただける方法を見出すことはできませんでした。万一の事故などを考えますと、やはりお一人お一人の状態をよく知る主治医のもとで個別に対応してもらうことが望ましいとのご意見をいただきました。
こうした経緯がございますが、ご提案の検診費用の負担も含め、がん検診に関するさまざまな課題について今後も検討してまいりたいと考えているところでございます。

次に、車いすを常用する障害者の検診事業でございます。
お話のありました車いすを常用する障害者の健康診査事業につきましては、平成五年の国の身体障害者健康診査事業実施要綱に基づき、褥瘡、変形、膀胱機能等の発生予防を目的として一部自治体で実施しております。区では、区民の健康増進を図るため、職域などで健康診査の機会のない十六歳から三十九歳の方、及び障害者施設の利用者を対象に、総合支所健康づくり課で区民健康診断を実施しております。
また、四十歳以上の生活保護受給者などの方は成人健康診査、国保加入者は特定健康診査を行っております。これらの区の検診において、先ほどの国の要綱に示されている検査項目及び方法についてはほぼ実施しておりますが、脊椎等の追加的なエックス線検査は行っておりません。
お話しのとおり、二次障害の予防に向けた日常の健康管理は重度の身体障害者にとって重要であると考えます。専門医療機関の確保や移動の支援などに、ご提案を含め、引き続き関係医療機関等と連携し、検討してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。