具体的な成果

★「旧清水邸書院」が復元されました。

 

32年間にわたってその部材が死蔵され、上川がその活用を訴えてきた文化財「旧清水邸書院」。その建築が昨年4月、二子玉川公園内に復元されました。
ゆかりの清水建設さんのご厚意で建築費は無料。
日祝・第2月曜日に公開されています。

旧清水邸書院 内部画像 ※クリックすると拡大します

旧清水邸書院 内部画像

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◆上川あや

これまで区議会で二回取り上げてきました歴史的建築物、旧清水楊之助邸離れ等の再建問題について伺います。

この問題については、昨年九月の決算審議で、三十二年間当てもなく保管されたままになってきた建築部材が再建に耐え得る状態であるのかどうかの調査結果と、その文化財的な価値の高さについて教育委員会に伺いました。その結果は、部材の六五%、約六百点余りが残存しており、中でも室内を構成する主要部分の多くは残存し、欠損している部分も当時の図面や写真から復元は可能、そして書院は意匠的にも技術的にもすぐれ、地域の歴史を今日に伝える建物であり、復元されれば区の登録文化財としての価値を有する。さらに、できるだけその文化財にゆかりのある場所や地域で活用していくことが望ましいというのが区教委のご答弁でした。

これを受けまして、私からは二十四年度末に開園が予定されている仮称二子玉川公園の西側部分、世田谷区が初めて手がける日本庭園の部分に、この書院建築を移築、復元してはどうでしょうかと伺いました。国内最大規模の再開発地区で進められているかつてない規模の区立公園の新設です。その中に、地域の歴史性を物語る文化財を移築するのであれば、決して分不相応な投資ではないだろうということも申し上げました。その際の所管部のご答弁は、決して後ろ向きなものではなかったと承知をしているんですけれども、それから半年、ここに来て再建の可能性もついえそうになっているのかなということを思います。
有力な移転先、仮称二子玉川公園整備については、二十三年度予算に日本庭園部分も含めた実施設計が盛り込まれました。そこでもう水周りの配管、電気の配線の埋設等を含めて公園整備の細目がきっちり決められてしまうのだろうと理解をしているんですけれども、そのような理解でよろしいんでしょうか。

◎春日 生活拠点整備担当部長

仮称二子玉川公園の検討状況でございますが、昨年の基本計画策定後、ワークショップなどにより、実施設計に向けた検討を進めているところでございます。平成二十三年度につきましては、公園の西側部分について、工事発注用の詳細な設計までを行う予定でございます。委員から今お話がございました給排水設備や電気設備を含め、設計図面として作成してまいります。

◆上川あや

これまでの公園検討の中で、日本庭園の部分に設置を予定しているのはあずまや程度というふうにお聞きをしていました。このままの計画で進展しますと、仮に後づけで旧清水邸を復元、移築したいと考えても、水周りや電気を確保できず、十分な利活用などできなくなるのではないのかなということを思います。
このあたりのことが気になりまして、生活拠点整備担当部に伺いましたところ、この間、教育委員会からこの旧清水邸離れの同公園内での再建に関する正式な検討要請は一切来ていないということだったんです。この状況に、あるのかないのかわからない話では対応ができないというのが拠点整備のお考えだそうで、これは無理からぬことだよなというふうに私も思いました。正式な要請が一切来ていないというのはどういうことなんだろうなと思ったんです。
一にも二にも、教育委員会そのものが再建を目指す意思をしっかり固めて示すことが大切で、文化財を所管するところとして、その大切さを一番考えなければいけないと思っているんです。それがなければ、ほかの所管を巻き込めるはずなどないだろうと思います。
結局、旧清水邸の再建話が織り込まれることもなく公園整備の話は進められるということになりそうなんですけれども、こうした千載一遇のチャンスを区教委はどのように考えているのかなということを思いました。また、区教委はこの半年、一体何をしてきたんでしょうか。傍目に見る限り、何一つ進展していないように思えているんですけれども、いかがでしょうか。

◎萩原 教育政策部長

所管部としましては、仮称二子玉川公園を候補地の一つと考え、関係所管と情報交換、意見交換を行ってまいりました。この間、旧清水邸離れの部材の調査結果を踏まえ、区登録有形文化財として復元する際の範囲を検討し、厳しい財政状況のもとでは、部材の残っている座敷十一畳及び次の間五畳という主要部分は残すのが適当であると判断いたしました。

◆上川あや

ご答弁を伺っても、半年かけて検討しなければならなかったような結論とは思えないんです。これまでの三十二年間放置されてきた経緯についても、庁内の検討はしてきたというようなことのお話は以前も伺ったんですけれども、真剣味があるのかないのかわからない話はもうたくさんだと思っているんです。
この文化財は非常に大切なんですということをやはり考えて、発信していただかなければいけませんし、この機会を逃すわけにはいかないんですということを区教委そのものが考えなければ、いつまでたってもこういった再建は進められないだろうと思います。
果たして、区教育委員会に再建を目指すような決意、お考えはあるのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

◎萩原 教育政策部長

これまで文化財としての価値を認めて教育委員会が保存してきた部材でありますので、できる限り後世に伝えていくという観点から、移築、復元を目指してまいります。

◆上川あや

これまでの三十二年間を振り返っても、たくさんの施設整備、公園整備の話があったはずだと思います。今回のようにタイミングを逃し続けてきた結果が、結局三十二年間の放置につながっているのではないでしょうか。千載一遇のチャンスをまたもや逃そうとしている今、教育委員会のほうでは再建に向けた戦略、青写真をどのように描くのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。

◎萩原 教育政策部長

移築先の候補地として、旧清水邸離れの建物にゆかりがあり、ふさわしいかどうかという点、それから移築、復元に要するイニシャルコスト、また、移築、復元後のランニングコストも含めた活用方法などの観点から、仮称二子玉川公園も含め適地の調査に取り組んでまいります。

◆上川あや

私は、何も来年度、再来年度に必ず再建せよということを求めているわけではないんですね。区教委が本気になって保存、再生、文化財の大切さということを訴えていただかなければ、せっかく保管されてきた文化財が区民に還元されることはないだろうと思うんです。この状況は十年たっても二十年たっても変わらないんじゃないでしょうか。
財政難であることは私も非常に、重々承知をしています。しかし、だからといって、事務執行、先に向けて前進しないような理由を探すことは非常に簡単なんです。だからこそ、こういった中で無為に過ごすことはぜひやめてくださいということを思います。価値ある文化財を区民に還元するということは、やっぱりこのことはこのことで非常に重要なことですので、その見地から何ができるのか、この視点だけは必ず忘れずに原点として踏まえて取り組んでいただくように要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。