◆上川あや

文化財の案内看板の管理不全について伺います。
本件では、二〇一七年十月以来、五年半ぶりの質疑になります。

前回の質疑では、折よく区教委が前年実施した全箇所点検の結果がありましたので、そのデータを基に、劣化の進んだ看板について改善を求めました。すると、当時の課長より、今後は昨年度の調査結果に基づきまして、改修が必要なものにつきましては計画的に更新について検討していくとともに、定期的に状況を確認して適切な維持管理を図ってまいりますと御答弁がありましたが、お約束どおりに進んでいるとはとても思えませんので再質問です。

まず、当時の調査結果の概要を改めて示すと、次のようになっています。調査は、説明文が書かれた案内板と、それを支える支柱等を含めた本体の二種類の総合判定から成ります。それぞれAからDまでの四段階で評価はされています。このうち、更新が推奨されたものはCとDの二分類で、Cは劣化があり部分修繕が必要な状態、Dは主要部が劣化し、撤去、修繕が必要な状態だと説明されています。
では、更新が求められたCとDはどれだけあったでしょうか。表示板では三十七か所、全体の四分の一以上、支柱等を含めた本体では二十三か所、六分の一弱に上りました。

前回質疑から五年半がたちましたが、CとDの各判定について、表示板と本体でそれぞれ何件中何件が撤去、修繕されたのか報告を求めます。

◎加野 生涯学習・地域学校連携課長

現況調査の調査件数百四十基のうち、C判定の表示板が二十七基で、うち三基を修理いたしました。また、C判定の本体は十基で、修理及び再設置はございません。表示板、本体、いずれもC判定の三基は未着手となっております。うちD判定の表示板は二基で、いずれも撤去済みでございます。D判定の本体は七基で、うち撤去が五基、再設置が一基となっております。表示板及び本体のいずれもD判定の一基は撤去をしております。

◆上川あや

つまり、C判定について、更新はほぼ行われていないということなんですね。都合十か所では撤去だけが行われました。撤去理由を件数別に御説明いただきたいと思います。
またそこには、永安寺、宗円寺、大蔵氷川神社、行善寺などが含まれますが、再建がないのはなぜでしょうか。区民や観光客に、ぜひ知っていただくだけの価値がなくなったというのでしょうか、いかがですか。

◎加野 生涯学習・地域学校連携課長

撤去した十一基のうち八基は老朽化が進んでいたため、早急に撤去が必要だったものと、一基については設置位置が適切でなかったものでございます。そのうち六基は、例えば相続や経営者の代替わりなどによる所有者の御事情により、再設置が改めてすることができないものとなっています。また、緑道整備、団地の建て替えにより撤去した二件については、現在は工事が終了しておらず、周辺整備が終了した後、再設置を行う予定でございます。
その他、昨年度及び今年度に撤去した三基につきましては、現在説明文の再検討を行っており、歴史資料の収集や再確認を行った上で、内容の精査に着手しておりますが、確認、調整に長く時間をいただいている点については、大変申し訳ございません。

◆上川あや

お伝えする価値のある文化財なら、撤去だけして何年も再建のめどの見えない状態にただ留め置いているという状態はおかしくないでしょうか。
見やすい看板への更新を所有者に断られるでもしない限り、新旧交代を一どきにするのが看板設置の本来目的にかなう上、最も低コストで、かつ、所有者にも御迷惑をかけない工事方法だと考えますけれども、いかがでしょうか。

◎加野 生涯学習・地域学校連携課長

標識の説明文につきましては、設置後四十年以上が経過しているため、表示板や本体の老朽化のみでなく、説明文等の見直しが必要なものが多くございます。文面の見直しに当たっては、歴史資料の再確認に加え、文化財所有者と表現の細部まで協議、調整を行うため、一定の時間が必要となります。
とはいえ、撤去の際に、あらかじめ説明文の見直し作業に取りかかり、前倒しで準備することにより、新旧交代を同時に行うことも可能となると考えております。今後は、計画的にこうした作業を行うことにより、少しでも早く最新の状態になるよう努力してまいります。

◆上川あや

先ほどの御答弁では、表示板のC判定は二十七基あった一方で、修繕されたのはたった三基でした。
裏を返せば、大多数の二十四基は修繕もされておりません。
では、C判定の表示板はどのようなものか、一例を示すパネルを御用意したので御覧いただければと思います。
委員の皆さんは、ぜひタブレットから御覧ください。これは区教委が設置をした世田谷の冬の風物詩、ボロ市の案内看板です。


「ボロ市」の案内看板 ※クリックすると拡大します

「ボロ市」の案内看板

 
こちらも評価はC判定です。
教育長には同じ写真をプリントしたものをお渡ししておりますが、御感想はいかがでしょうか。全箇所点検から六年がたち、その成果が十分生きた管理状態でしょうか。

◎渡部 教育長

ボロ市という区を代表する無形民俗文化財にもかかわらず、説明が読み取れない状態であるということは、御利用される方々へ御不便をおかけしたことと思っております。

◆上川あや

続けて、二枚目のパネルに参ります。これは代官屋敷の裏手にある大場代官家の菩提寺、浄光寺にある文化財看板です。


浄光寺にある文化財看板 ※クリックすると拡大します

浄光寺にある文化財看板

 
恐縮ですが、教育長、こちらの御感想も一言お願いできますでしょうか。

◎渡部 教育長

ボロ市の標識と同様、これに関しても早急に対処する必要がございます。

◆上川あや

この浄光寺の看板は、なぜか全箇所点検からも抜け落ちております。ほかにも漏れがあるのではないでしょうか。

◎加野 生涯学習・地域学校連携課長

 
文化財標識の設置を開始した当初は、現地への設置を先行させたことから、一覧表の作成が遅れた経緯があったようでございます。その時点で漏れていた可能性が高く、結果的に老朽化が見過ごされることになってしまいました。ほかに把握できていない標識がないかどうか、指定文化財については、リストとの整合を再確認するとともに、それ以外の文化財については大至急、現地での確認等による調査を行い、早期の改修につなげてまいります。

◆上川あや

改めて、C、Dのランクをいつまでになくすと目標を定めて、計画的に更新するよう求めますけれども、教育長いかがでしょう。

◎渡部 教育長

文化財標識は、文化財が存在する現地において、訪れた方々が即座に由来や歴史的価値が確認できる媒体であり、区の歴史、文化の継承に果たす役割は大きいと考えております。文化財標識が本来の役割について適切に果たせるよう、C、Dランクの解消を早急に進めるよう、担当所管に指示をいたします。
また、区内案内板等について再確認し、全ての文化財標識が見る方にとって理解しやすいものとされていくよう、併せて指示をしてまいります。

◆上川あや

三回目の質疑をさせないでください。終わります。