◆上川あや

終活支援について伺います。この質問をするのは三回目になります。

葬儀やお墓を生前から準備する、いわゆる終活が盛んな昨今ですが、身寄りのない方は、これらの準備をしても亡くなった本人が死亡を伝えることはできませんので、生前契約はふいになる可能性も高く、下手をすると公費で火葬、埋葬することにすらなってしまいます。このギャップを埋める支援を区に求め、区も社協と話し合い新規事業がつくられましたが、積極的な広報はないままで利用者もゼロのまま。しかも、社協の事業は、その死に接した方から御好意で連絡いただくスキームで、生前契約の実現は不確実です。死亡届の出る区から連絡をしても葬儀社が先に決まっている可能性があるなど課題は残されています。

その一方で、同じく世田谷社協の成年後見センターでは、この間、成年後見事業のオプションで、見守り支援や入退院時の支援、葬儀支援のサービスまでをも始めています。ならば、こちらを終活支援に結びつけたほうが生前意思の実現が確実だと思えるのですが、終活に結びつく制度としてはほとんど知られていないというのが残念です。ここはぜひ両者を結びつけ、しっかり広報もしていただきたいと考えるのですが、いかがでしょうか。

◎工藤 生活福祉課長

区では、さらなる成年後見制度利用促進のため、令和三年度からの世田谷区成年後見制度利用促進基本計画を策定し、成年後見制度の普及啓発に取り組んでおります。以前より、成年後見センターでは判断能力が低下する前から利用できる任意後見制度の利用者向けのオプションとして、訪問による見守りを実施しておりました。令和元年十二月からは、電話による見守り、入退院時の支援、葬儀や納骨の手配などを新たに加えたところでございます。

今後とも、区民向けには啓発誌の発行やホームページの利用、申立てや成年後見制度の説明を目的とした成年後見セミナーや、遺言や相続、自分の将来を考えるきっかけとなる老い支度講座を活用するとともに、あんしんすこやかセンターなどの関係機関職員へも、終活支援にもつながる任意後見を含めた成年後見制度の普及に取り組んでまいります。

◆上川あや

とてもよい制度だと考えますが、世田谷では利用者数が伸び悩んでいますよね。その背景には、後見人への報酬が重い負担に感じられるというのがあるのではないでしょうか。区も報酬助成を持っていますが、その内容は生活保護と同等の方のみが対象で、生活保護を受給せず、自らの収入や資産だけですれすれの生活を送っている非課税の方などには利用しづらい任意後見制度のままとなっています。
二十三区では、報酬助成の対象を非課税世帯まで広げている区も多いのに、当区はこの点、後れを取っております。当区も支援対象を広げるべきと考えるのですが、いかがでしょうか。

◎工藤 生活福祉課長

報酬助成は二十三区全区で実施しておりますが、報酬助成の対象を非課税までとしている区は、令和二年度の五区から令和三年度は十三区に増加し、約半数が生活保護受給者以外の生活に困窮する方も対象となっております。令和三年度に実施したヒアリングでは、社会福祉士が後見人等になった場合で、非課税の方を含め年間十二件程度、報酬がもらえていない実態を把握しております。
今後、被後見人等の実態や他自治体の状況を改めて把握した上で、成年後見制度が身近で利用しやすい制度となるよう、報酬助成の対象要件の見直しに取り組んでまいります。

◆上川あや

ぜひお願いいたします。