◆上川あや

最後に、住宅用火災警報器、いわゆる住警器の耐用年数と交換の必要性が知られていないリスクについてです。

国民生活センターは、住警器は十年程度で寿命を迎え、交換が必要なことを啓発しています。経緯をたどると、住警器の設置の義務化は二〇〇六年から新築住宅で始まり、二〇一一年以降は全ての住宅で義務化されました。以来十年以上が経過しますが、国民生活センターの調査では、機器の交換が必要であること自体六割以上の人が知りません。
そこでまず、機器の交換が必要であることの周知啓発を求めますけれども、いかがでしょうか。

続けて、災害弱者への対応です。区では、平成二十一年度に、高齢者では六十五歳以上を対象に、ひとり暮らし世帯、高齢者のみ世帯、要支援、要介護者がいる世帯を対象に、また、障害者についても身体障害者手帳、愛の手帳などを有する全ての世帯を対象に、一世帯当たりに二個を限度に区独自で住警器を給付しています。以来十三年が経過し、寿命を迎えた機器を安心し使い続けている世帯が多いとすれば問題です。給付した区が責任を持って耐用年数と交換の必要性の啓発をするべきではないですか、いかがですか。
また、障害者については、日常生活用具の給付事業の対象であり、耐用年数八年で再給付も可能とのことですが、平成二十一年度の事業で、区から給付を受けた世帯のうち、交換を済ませた世帯はどれくらいあるでしょうか。平成二十一年度事業の給付数と、その後、耐用年数八年を超えて以降の日常生活用具の給付数についての報告と考察を述べ、日常生活用具給付事業では再給付も可能であることの啓発を強めることを求めます。あわせて区の見解を問います。

一方、同じく災害弱者として見れば、高齢者に住警器交換への支援がないことにはバランスの欠如を感じます。そもそも住宅火災による死亡原因の多くが逃げ遅れで、かつ犠牲者の多くが高齢者であることから区でも給付を決断したはずです。ならば、経済的に厳しい非課税世帯の高齢者等への補助も検討するべきではないでしょうか。区の見解を問います。

◎須藤 障害福祉部長

続きまして、住宅用火災警報器の耐用年数と交換の必要性についてです。

平成二十一年度に実施いたしました住宅用火災警報器の設置普及事業では、障害者手帳の所持者がいる約八千四百世帯に火災警報器を設置いたしました。一方、障害者の日常生活用具給付制度では、重度または最重度の障害で、火災発生の感知や避難が難しい障害者のみの世帯等を対象とした火災警報器の給付があり、耐用年数八年としております。平成二十一年度から八年が経過した平成二十九年度以降に障害者制度により火災警報器を給付した方は五人にとどまり、機器の更新が進んでいないことが危惧される状況です。
火災警報器は、非常時に必要な機器であることから点検が必要であることや、障害者制度では耐用年数経過後に再給付が可能であることについて、区のホームページへの掲載や障害者の相談支援機関による声かけなどにより周知啓発を強めていけるよう検討してまいります。私からは以上です。

◎大塚 危機管理部長

私からは、住宅用火災警報器の交換の周知啓発について御答弁申し上げます。
 
現在、様々な火災予防措置が義務化されておりますが、これらは多くの犠牲者を伴う火災を経験し、悲しい犠牲を二度と出してはいけないという考えの下、消防法などの改正を重ねながら定められたものであり、住宅用火災警報器の設置の義務化もその一つでございます。
総務省消防庁によりますと、警報器の設置により死者数と焼損床面積は半減、損害額は四割削減の効果が見込まれるとされております。この警報器が適切に作動するよう維持していくことは大変重要なことであり、設置を義務化した意義を形骸化させてはならないものと考えております。令和三年中における区内での住宅火災件数は百四十九件、前年に比べ八件増加という状況を踏まえますと、改めて日常からの火災予防とともに、警報器の更新交換の注意喚起を徹底していかなければならないと考えており、庁内関係所管や区内消防署等の関係機関と連携し、より一層力を入れて周知啓発に努めてまいります。以上でございます。

◎山戸 高齢福祉部長

私からは、高齢者世帯における住宅用火災警報器の耐用年数について、二点御答弁いたします。

まず、寿命を迎えた機器を使い続けている世帯への啓発についてです。
区では平成二十二年四月から、全ての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務化されることを受け、二十一年度の単年度事業として、ひとり暮らし、または高齢者のみの世帯等の三万三千二百七十二世帯を対象に火災警報器を設置いたしました。火災警報器は、設置後、鳴ったときの対応や点検が必要なことなどを認識していただくことが大変重要であり、現在、区のホームページや高齢者在宅福祉サービスの御案内リーフレットを通じて、定期的な点検や電池交換の必要性、また設置から十年が交換の目安であることの周知に取り組んでおります。火災発生時に逃げ遅れるリスクの高い高齢者への周知をさらに強めるため、今後、民生委員やあんしんすこやかセンター、ケアマネジャーと二十一年度事業の概要及び課題を共有した上で、高齢者世帯への声かけに協力を求め、火災警報器の更新が適切に促進されるよう早急に取り組んでまいります。

次に、非課税世帯の高齢者等への機器の更新、交換に対する一部補助の仕組みについてです。
区は、高齢者を火災から守るため、高齢者在宅福祉サービスとして、ひとり暮らしなどで防火の配慮が必要な方を対象に、電磁調理器、自動消火装置、ガス安全システムを給付する火災安全システム事業を実施しており、また、区民向けに住宅用火災警報器や消火器のあっせんも御案内しております。今年度後半から、令和六年度から八年度の三年間を計画期間とする第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けた議論が始まります。災害弱者である要介護者などへの支援は重要であると認識しております。非課税世帯の高齢者に対する補助については、区民間の公平性や制度の持続可能性など多角的な視点も考慮しながら、計画策定において、様々ある高齢者福祉サービスの見直しをする中で議論を進めてまいります。私からは以上です。