具体的な成果

★悪質な公文書の偽造、隠ぺいは懲戒処分の対象に。

 

区は現在、公文書管理条例の検討を進めていますが、この中に上川が提案した、➀文書破棄の可否を審議する第三者機関の設置、➁専門のアーキビストの独立配置、➂廃棄文書名の事前公表…などが入れられる方針です。また同じく上川の提案で悪質な改ざん、廃棄等をした職員に、➃懲戒処分の設定も検討されることになりました。

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◆上川あや

初めに、公文書管理改革について伺います。

区が昨年九月の定例会で公文書管理条例の検討を表明したことを歓迎いたします。
私は、保坂区長が就任後初の定例会招集挨拶の中で取り組みたいことの第一に情報公開の徹底を掲げて以降、情報公開の徹底と公文書管理改革は車の両輪であり、区が公文書管理改革に一向に取り組まない姿勢は全くおかしいと問い続けてまいりました。
今回、国による公文書の改ざんや隠蔽、不当な廃棄が次々明らかになる中で、区もようやく重い腰を上げた格好ですが、条例化するのであれば先進的な内容となるよう求め、質問いたします。

まず、要望の第一は第三者機関の設置です。
昨年十月の総務省の調査によれば、全国の都道府県市区町村のうち、公文書管理に関する条例を制定していた自治体は二十一ですが、このうち文書破棄の可否を審議する第三者機関の有無を確認すると、あるとした自治体は毎日新聞によれば四つだけでした。国では保存するべき公文書の廃棄が繰り返し問題化していますが、第三者機関のチェックがないことが恣意的判断を可能としています。本区の条例では、区から独立した第三者機関のチェックを制度化するよう求めます。区の見解を問います。

第二に、専門人材の登用と配置が重要です。
専門知識のない職員によるずさんな誤廃棄は各地の自治体で明らかになっています。千葉県文書館でも一昨年、第二次大戦の関係文書の誤廃棄が発覚し、複数の職員が処分を受けています。その一因として指摘をされたのが専門職員の不在です。同文書館に在籍する専門職員は当時、たったの一名で、廃棄リストを作成した判定会議にも専門知識を持つ者はおりませんでした。同文書館では遅まきながら職員研修を開始し、第三者に意見を求める仕組みの導入を検討し始めたといいますが、当区の条例検討では当初から、アーキビズム等を学んだ専門人材の登用を想定するべきです。その独立した配置も重要と考えますが、いかがでしょうか、見解を問います。

第三に、廃棄予定の公文書の事前公開を求めます。
昨年末、歴史学者らで構成する自治体アーカイブス研究会が四十七都道府県に廃棄予定の文書をネット公開しているかどうかを問うたところ、行っているとした自治体は四県だけでした。本区にも同様の仕組みはないと確認をしておりますが、区民のあずかり知らぬ間に廃棄される状況は改められるべきです。区の見解を問います。

第四に、国による公文書の改ざん、隠蔽、不当な廃棄が次々明らかになる中で、悪質な改ざん等の行為に懲戒処分の設定を求める声は高まっております。当区でもぜひ検討を求めますが、いかがでしょうか。
この質問の最後に、個人メモという隠れみのを許さない公文書の定義づけと、その中では幹部職員等のメール保存のルール化も検討されるよう求めます。区の見解を問います。

◎中村 総務部長

私からはまず、公文書管理手法の改革について、五点お答えいたします。

初めに、公文書の廃棄の可否を審議する第三者機関の設置と廃棄予定の公文書の事前公開の二点についてです。
公文書の保存を適正に行うことは、区民の知る権利を保障し、区民の信頼に応えるために、区が必ず守らなければならないものです。文書廃棄の可否を審議する第三者機関を設置している相模原市では、運用開始の平成二十六年度から二十九年度までの四年間の間に、保存期間三年以上の廃棄対象の文書三万二千六百六十四件を審議し、四百四十一件の文書を永久保存にすべきとの判断をしたと報じられています。第三者機関の存在は、文書の誤廃棄や保存年限による画一的な廃棄をチェックする手段として有効であるものと認識をしております。
また、現在、区では、区が記録作成した行政情報の目録として、前年度の文書のフォルダ管理表をホームページ上で公表しておりますが、そのフォルダの中に保存されている個別の文書の件名や廃棄年度に関する情報については明らかにされていません。廃棄予定の文書をインターネットで公開することは、区の文書廃棄に関する事務の透明性を確保し、区民の信頼に応える開かれた区政の実現のために重要であると認識しております。
これら第三者機関の設置と廃棄文書の事前公開につきましては、先進事例を参考にした上で、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会の意見を聞き、区の実情に応じた仕組みづくりを検討してまいります。

次に、アーキビズム等を学んだ専門人材の登用についてです。
御指摘のございましたアーキビズム等を学んだ専門人材はアーキビストと呼ばれ、高度な専門性と倫理観を持って、歴史資料として重要な公文書及びその他の歴史資料の収集保存、利用の職務を行い、公文書館において重要な役割を担う人材であると認識をしております。ことし九月に公表された関東弁護士会連合会のアンケート調査によると、公文書館、または公文書館的機能がある自治体で回答のあった百五十三自治体のうち、アーキビストを採用している自治体はわずか十七自治体にとどまり、人材の確保や育成が課題となっております。
区としては、今後公文書館機能を検討する中で、その専門性が発揮できる環境を具体化してまいります。

次に、悪質な改ざん等の声に対する懲戒処分についてです。
ことし九月に国の人事院は、決裁文書の改ざんなど悪質な事案については、免職を含む重い処分が行われることを各府省に通知をしたところです。
区におきましても、国の動向を踏まえ、悪質な改ざん等の声に対しましては、職員の服務規律違反や信用失墜行為などについて標準的な処分を定めた懲戒処分の指針の中で明記していくよう検討を進めてまいります。
次に、個人メモという隠れみのを許さない公文書の定義と、メール保存のルール化についてです。
個人メモやメールに関しましては、当初は職員個人の備忘録や連絡調整のために作成されたものであっても、会議の資料等として組織内で利用、共有されたものであれば公文書として位置づけ、適正に取り扱わなくてはならないと考えます。
今後、具体的な基準や保存等の取り扱いルールにつきましては、公文書の定義の明確化を含め、世田谷区情報公開・個人情報保護審議会の意見を聞いて具体的に検討してまいります。

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