◆上川あや

本日は、まず区長にお伺いいたします。

区長が掲げる情報公開とは不可分の関係にあります公文書の管理についてです。
公文書管理法という法律が昨年の四月施行となりましたが、この法律は、直接には国と独立行政法人を縛るものでしかありません。同法は、区にも同法の趣旨にのっとった公文書の管理手法の策定を努力義務として課しておりますが、区の担当所管と話をしても、全くやる気が感じられない。区長が掲げる情報公開の裏づけになる文書の管理がわからないんですね。どういうことかと私は考えています。
公文書といったところで、市民の多くは自分には関係がないことと考えがちだと思います。しかし、これは大違いだと私は考えます。消えた年金問題も、厚労省による薬害肝炎患者のリストが放置されてきた問題も、昨年三月の原発事故をめぐって政府の会議で議事録がつくられなかったといった大失態も、役所のいいかげんな文書管理が許されてきたことが引き起こしています。私たち国民は、幾度となく大きな被害をこうむり続けているんです。
また、日米間に核密約があったという問題も、アメリカの公文書館では国民に公開されている文書ですが、日本政府はそのような密約はないと四十年間我々国民をだまし続けてきました。そのあげくに出てきたのは、密約文書は存在していたが、情報公開法が施行される前に発覚を恐れて廃棄したという元外務官僚の証言です。なぜこのような勝手な廃棄が可能だったのか、また重要な文書が、我々の文書が放置されてきたのか。答えは簡単です。公文書を律する法律、公文書管理法がなかったからです。
公文書管理法は、政策決定の過程を役所に記録させ、その文書を保存させ、重要な文書はきちんと国立公文書館に移管をさせ、現在の国民はもちろん、後々の国民に対しても検証の機会を保障するための法律です。情報公開法と公文書管理法は不可分で、車の両輪だと言われるゆえんはここにあるんですね。また、不要な文書を廃棄するに当たっては、第三者機関が関与する形で、担当所管の勝手な判断で廃棄ができないようにする取り組みがとても重要になります。
これら一連のルールが整えられることが情報公開の基盤としてなくてはならないはずなんです。ところが、担当部には全くやる気が見られません。情報公開を第一に掲げる世田谷区長はいかがお考えなんでしょうか。区に課せられた努力義務を果たすおつもりはあるんでしょうか、伺います。

◎保坂 区長

今ご紹介のあった公文書の管理に関する法律、いわゆる公文書管理法において、地方公共団体が法の趣旨にのっとって文書の適正な管理に関して、必要な施策を策定し、実施に努めることが義務づけられているということは承知しております。私も中央官庁、例えば外務省などが情報公開法の前に大量の外交書類を廃棄処分したことであるとか、あるいは裁判所が明治以来の非常に貴重な裁判関係書類を全部捨ててしまったことなど、憤ったことも覚えております。
委員ご指摘のように、文書について、これまでスペースの問題というのが一つあったんですね。ただ、電子情報化されているということがここのところの文書でございます。いろいろな例えば廃棄についてのルール等についても、情報公開・個人情報保護審議会等で議論すべきではないかというふうに問題意識を持っているところです。

◆上川あや

いま一つぴりっとしないという感じがどうも私はぬぐえないんですけれども、区長としては、基本は区に課せられている努力義務を果たしていくおつもりはあるということですね。

◎保坂 区長

そういうことです。

◆上川あや

それを受けまして、今後のルールづくりに向けて区としてどのように取り組むおつもりなのか、担当部のほうにお伺いしたいと思います。

◎千葉 総務部長

今ご指摘のように、国の法律ができて、そして地方自治体にも努力義務として規定がされているというのはそのとおりでございまして、ただ、現在、区では、職務上作成しました文書につきましては、文書管理規定に基づく一定の基準のもとに、法令等の定めではっきり保存年限が決められているものもございます。それから、文書等の効力、重要度等を考慮いたしまして、各課等において一年から二年ほど、そういった保存期間を設定しておるところです。
委員ご指摘のように、作成から保存までの一定のルール化という点につきましては、今後、他自治体の例、県レベルで、熊本県であるとか、鳥取県であるとかが先行して動いております。また、二十三区の中でも板橋は公文書館をつくったり、ただ、公文書館といっても箱物を全部つくるのかという問題ももちろんありますし、先ほど区長からお話がありましたように、いわゆる技術の進歩によって、ソフト面での情報の管理技術というのは進歩してきている、そういうような情報の変化もございます。そういうことで、さまざまな状況、例なども参考にしながら、適切な方法について研究してまいりたいと考えております。

◆上川あや

年度が変わりますと、また文書はどんどん捨てられていくんですね。年度末を待たずにすぐにでも必要な対策は講じられるべきだと私は考えています。
現状を確認しますと、各課長それぞれの判断で文書は廃棄をできるというルールです。つまり都合の悪い文書は課長判断で捨てられるんですね。全くこれでは客観性というものが期待できないと思っています。
公文書管理法の国の法律の策定の過程でも、行政裁量による文書廃棄を法的に認めてしまう法律ならないほうがましという識者の意見が全国紙に載りました。これに対してどう取り組むのか、これは待ったなしだと思いますけれども、いかがでしょうか。

◎千葉 総務部長

今検討過程でのご指摘もございました。ただ、これは先ほど区長からもお話がありましたけれども、国において一定の歴史的な必要な文書が意図的に廃棄されたという部分を指摘してのご意見かと思います。いずれにしても、規定上は努力義務ですけれども、そういった方向での検討が必要だとは認識をいたしております。
今ご指摘のように、保存期間が経過した文書については、文章管理規定上、各課の判断によるとされておりますけれども、ただ、当初設定した保存期間満了後でも、行政の資料として必要なものは保存することができるんだというふうになっております。その保存期間を経過した文書のうち、とりわけ歴史的文書などとして保存すべき文書についてどうしたものが考えられるのか、さまざまな点から検討して、その適切な保存及び利用方法について研究をしてまいります。
先ほど区長が申し述べたように、電子化などの保管方法の検討などもあわせて進めていきたいというふうに考えております。

◆上川あや

客観性がなく捨てられるんじゃ意味がないんですよ。しっかり取り組んでください。この後も追っかけていきますので、よろしくお願いいたします。区長もお願いいたします。