◆上川あや

区が災害対策として整備した井戸水浄化プラントの水質管理について伺います。

二〇一一年三月に発生した東日本大震災、これに続き発生した福島第一原子力発電所の事故を受け、東北、関東では多くの水道事業者で断水が発生し、放射性降下物による土壌汚染も広範囲に及びました。二〇一三年、政府がまとめた同震災による水道施設の被害状況報告書によれば、全国の総断水戸数は十九都道県、二百六十四の水道事業者で二百五十七万戸、最も断水率の高かった茨城県は実に八〇・五%が断水し、宮城県の七一%、福島県の六四・二%と続きました。水道施設がいかに震災に脆弱であったかは明らかです。また、水道施設そのものは無傷でも、都水道局金町浄水場の取り込み原水が放射性降下物で汚染され、広域で水道水を融通し合う二十三区全体で乳児への飲用水供給はできなくなりました。こうした事態に対応するべく、同年六月、私より提案したのが井戸水浄化プラントの導入でした。
深層の地下水は表層面の影響を受けづらく、安定した水質、水量を区役所の直下から給水可能です。この水を特殊なろ過膜で処理することで、水道法に準拠した良質な飲料水を自前で供給する技術も確立をされています。この私の提案に、区も本会議でその検討を約束。翌年九月には着工し、二〇一三年春には庁舎建築として日本初となる井戸水浄化プラントがこの本庁舎に稼働しました。
以来、同施設は一日九トンの飲用水を作り本庁舎に供給する一方、災害時には五万人分の飲用水供給が可能となっています。また、同施設は玉川総合支所の改築計画にも取り込まれ、来年一月の稼働を待つ状態です。加えて、区は区内烏山にある二階堂学園、日本女子体育大学が設置した井戸水浄水プラントの水についても、災害時、近隣に供給できる協力協定を結びました。

しかし、ここに来て水道法の五十一項目の水質チェックだけでは安心できない懸念材料も出ています。昨年、NHKクローズアップ現代でも取り上げたPFOAと書くピーフォア、同じくPFOSと書くピーフォス等の有機フッ素化合物について国連では、その発がん性などから製造と使用が禁止される事態が起きています。しかし、日本では厳格な規制もないままに、水道水の供給は行われ続けています。
アメリカでは、二〇一六年に飲用水の健康勧告値を定めましたが、昨年のNHK報道では、同調査を行っていた都道府県は六都県、全国六千四百に及ぶ浄水施設のうち、調査をしていたのはたった百二十二か所にとどまりました。国は、これら物質について本年四月、暫定の目標値を設定しましたが、その検査は義務ではなく、本区の浄水プラントでも検査はないままです。

そこで提案します。本区も平素より飲用水を作り供給する以上、同検査を行うべきではないですか。また、災害時の協力協定を結んだ二階堂学園にも同情報を提供するなど、災害時の水の安全確保について一層の努力を求めます。区の見解を問います。

◎菅井 危機管理部長

私からは、区の地下水浄化プラントの水質管理について御答弁申し上げます。

区は、災害時の本庁舎機能の強化のため、第三庁舎横に地下水浄化プラントを設置し、井戸からくみ上げた地下水をろ過して飲料水として利用できるシステムを平成二十五年から稼働しております。また、玉川総合支所の新庁舎でも同様の設備の導入を予定しております。
議員お話しの水道水における有機フッ素化合物については、これまで水道法による規制や目標値等はありませんでしたが、令和二年四月一日より水道水質に関する基準等における位置づけが変更となり、暫定の目標値が設定されることとなりました。本庁舎における地下水浄化プラントの水質管理につきましては、現在専用水道として水道法に定められた水質基準項目の五十一項目を定期的に実施しており、水質基準項目以外の有機フッ素化合物の検査は実施しておりません。しかしながら、災害時の飲料水への活用だけでなく、平常時にも第三庁舎の飲料水に活用していることから、今後、東京都水道局が保有している井戸の対応や他自治体の事例を参考に、有機フッ素化合物の検査を検討するとともに、協定を締結しております日本女子体育大学とも情報共有をしてまいります。以上でございます。