◆上川あや

昨日の質疑でも取り上げました。全く指定の実績のない区の天然記念物について伺います。

昨日の都市整備領域の質疑では、新たに選定をし直す世田谷名木百選の取り組みが、失われた名木を単に補充するというだけで、町の財産として守り伝えていく姿勢が余りにも乏しいということを問題にいたしました。その改善策として、私からは、都市整備所管の別の制度、保存樹木の支援策の適用範囲の拡大と教育委員会所管の文化財保護制度、天然記念物指定との連携を強めるように求めて前向きな答弁を得たところです。

ところが、当の教育委員会で天然記念物の指定実績はいまだ一件もありません。
私から議会で繰り返し、この分野での無策を返上するように求められまして、その都度、検討だけはお約束なさるんですが、一向に十年間実績はありません。
ちょうど十年前のこの決特の席で、初めてこの取り組みを求めた際の御答弁は、天然記念物につきましては、有形、無形の文化財や史跡と同様に、文化財行政においても重要な位置づけにあるものと評価をした上で、真摯に取り組みを進めてまいりたいとおっしゃっておりました。しかし、その後も検討の状況の結果はなく、平成二十五年の予特、二十七年の決特でも重ねて進捗の状況を伺いましたが、その都度、改めて検討を約束するだけで、何ら実績はいまだありません。

前回の質疑でも指摘をしたことですが、区教委は私から本件での真摯な取り組みを求められるたび、文化財保護審議会にきっかり三回だけ議題に上げています。二十五年の質疑後も、二十七年の質疑後も、会議録をチェックすると、そういう結果です。しかし、決まって議論は三回でフェードアウトです。何ら結論を出さずに振り出しに戻ります。

ちなみに、前回二十七年の区教委の答弁は次のようなものです。
委員御指摘のとおり、天然記念物の指定につきましては、この間、さまざまな視点から検討してまいりました。また、文化財保護審議会においても天然記念物の指定について具体的な御意見を伺っておりますが、区の天然記念物としてどのようなものを指定するべきかということについて、十分に議論が深まっているとは言えない状況がございました。教育委員会では今年度から――今年度からです――文化財の保存と活用について基本的な考えを検討してまいります。最初の質疑から六年を経て、まだ議論は深まっておらず、基本的な考え方からこれから検討するというのですから、あきれるほかないものでした。そして、さらに四年が経過して、きょうの質疑となりました。

区教委での議論は、その後、どこまで深まったのですか。また、検討を進めていただいているというのであれば、もういい加減、指定の第一号のめどを示していただきたく思いますけれども、いかがでしょうか。

◎田村 生涯学習・地域学校連携課長

平成二十一年九月以降、委員より御指摘いただいている天然記念物について、平成二十二年度以降には、文化財保護審議会で造園の専門家にも加わっていただき、御議論をいただいております。また、平成二十七年度以降も都市整備領域など関係所管とも連携し、取り組みを進めております。

現在、天然記念物の登録、指定に向け、平成三十年十月から都市整備政策部、みどり33推進担当部と連携して、天然記念物等検討プロジェクトチームを立ち上げております。このプロジェクトチームでの検討を行った内容を文化財保護審議会委員に相談し、登録、指定に向け、どのようなものが登録、指定にふさわしいか、また、みどり33推進担当部や、その他の所管による保全のための制限との調整等を行い、基本的な考え方を今年度中に整理していく予定です。指定に関しましては、今年度中に予定されております新たな名木百選の選定後に、前向きに検討してまいります。

◆上川あや

前向きな検討だけじゃ困るんですね。しっかり結論は出してください。お願いいたします。