◆上川あや

初めに、性的指向で差別をしない災害弔慰金の支給を求めて伺います。
 
災害弔慰金は、自然災害で家族を亡くされた御遺族を慰め支える制度として昭和四十八年に生まれました。
災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、区市町村を実施の主体に、生計維持者が死亡した場合に五百万円、それ以外の世帯員が死亡した場合に二百五十万円を支給します。経費は国が二分の一、都道府県と区市町村が四分の一ずつを負担し、各自治体独自の条例規定に基づき支給対象者や金額を拡充することも可能です。
現に、国が平成二十三年、法改正により、支給対象者を兄弟姉妹に拡大する以前より、横浜市や甲府市、東日本大震災で被災をした東松島市、栗原市等では、独自に条例規定等を拡充し、兄弟姉妹の支給を可能としておりました。国の法改正もこれら先例を踏まえ行われました。
また、さきの区議会で災害弔慰金の支給等に関する区条例が改正をされ、市中の銀行より高かった災害援護資金の金利の引き下げが当区でも実現しましたが、これも岩手県岩泉町など複数の自治体は、条例により金利を引き下げられるよう国に法改正を求め、これが実現したのを受けての改革でありました。制度のよりよい改革には実施主体である自治体から声を上げていく姿勢が欠かせません。

そこで提案をいたします。本区の多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例第七条は、性的指向に基づく差別を禁止しております。区は私の議会質問に、同規定は同性カップルへの差別も禁止するものであると明言をしております。既に区の職員互助会では、平成二十八年四月より、同性をパートナーとする区の職員にも五万円の弔慰金を支給できるよう規約を改正しております。また、世田谷区産業振興公社のセラ・サービスでも、昨年十月の規約改正で配偶者の定義に同性カップルを明記し、区民会員の同性パートナーの死亡時にも二万円の弔慰金を支給できるよう改革をしております。
同性カップルに対する差別禁止の条例をみずから提案、施行した立場で、職員の同性パートナーには弔慰金を支給する一方で、一般区民の同性パートナーを災害弔慰金支給から除外したままの現状は、極めて不合理で差別的であると考えます。災害はいつ起こるとも知れず、対象者の拡大は区の独自判断で可能です。すぐにでも改善を検討するよう求めますが、いかがでしょうか。

また、政府は、国連の自由権規約委員会により、同性カップルに対する差別的処遇を求めるよう繰り返し勧告を受けています。その勧告でも特記をされた課題、公営住宅からの同性カップルの排除は、同委員会の指摘を受け、政府が公営住宅法を改正し、自治体条例の改正により入居が可能となりましたが、それ以外の課題、今回取り上げる災害弔慰金の支給等に関する法律でも同性カップルの排除は続いています。
同制度を平等、健全なものとするためには、区が単独で制度を改めるのみならず、国連機関から是正を求められている国、当区と同じく性的指向に基づく差別を禁止する条例をこの春施行した、都による制度改革が必要です。ぜひ区からも、その改善を進言していただくよう求めます。あわせて区の見解を伺います。

◎工藤 危機管理室長

私からは、三点について御答弁いたします。

まず、災害弔慰金支給対象の改善についてです。
災害弔慰金は自然災害により死亡した方の遺族に対し支給するもので、死亡した当時、遺族と生計を一つにしていただくことなどが支給条件であり、死亡した方により主たる生計が維持されていた場合は五百万円、その他の方の場合は二百五十万円を支給する制度となっております。支給制度となる遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹となっており、兄弟姉妹につきましては、死亡時に同居し、または生計を同じくしていた者に限られております。なお、配偶者には、いわゆる事実婚も含まれているものの、民法上の婚姻関係にある者と定めており、同性パートナーにつきましては、その対象となっておりません。
同性パートナーを災害弔慰金の支給対象となる遺族に加える場合、同性パートナーであることの確認、生計を一つにしていたことの確認、また、どちらかの生計により主たる生計を維持していたかなどの課題が生じてまいります。今後、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の趣旨を踏まえた上で、先ほど申し上げたような課題を整理し、同性パートナーの方への弔慰金の支給制度を検討してまいります。

続きまして、災害弔慰金支給制度の改善に向けまして国、都への働きかけについてでございます。
同性パートナーに対する災害弔慰金の支給に当たっては、法による規定、支給基準等が明確化されることで、本来の平等な支給につながるものと考えております。さきの議会で御承認いただきました災害弔慰金の支給等に関する条例の改正は、災害援護資金の貸付利率を、国が定める年三%の固定金利から、区が条例で引き下げることができるよう法改正が行われたものでございます。これは、岩手県岩泉町を初めとした全国の複数の自治体から、昨今の市中金利と比較して高いと考えられ、被災者のニーズに対応できないため、市区町村が貸付利率を条例で引き下げることが可能となるように、制度改正を国に要請したことが発端となっております。今回の御指摘がありました災害弔慰金支給制度の改善につきましても、災害援護資金制度改正等の流れを参考に国や都へ要望してまいります。

◆上川あや

それぞれ私の問題提起、提案に対して積極的に改善に努める御答弁がいただけたと受けとめております。あとは有言実行ですので、速やかな改善、ぜひそれぞれの所管でお願いいたします。