平成31年度、各会計予算全てに賛成する立場から3点の意見を申し上げます。
まず、1点目に多様性の尊重についてです。

世田谷区は基本計画で「多様性の尊重」を掲げ、昨年、成立した多様性尊重の条例でも、同性カップルや性自認への差別、民族・国籍差別を認めない多様性尊重の姿勢が注目されました。
しかし足元の事務点検は、なおざりだった、というのが私自身の見方です。

先の総括質疑では、区の子どもに関する文書にあらかじめ父母欄のみが印刷されていることについて全庁的な見直しを求めました。保護者と言えば「父母である」と決めつけは保護者の多様性にそぐわず、無用な疎外感を生む素地となってきました。

また男子にはスラックス、女子にはスカートと実質、着用が義務づけられてきた制服にも弾力運用が必要です。制服は本来「標準服」であり着用の義務化などできません。
にもかかわらず、学校現場では子どもの背景にある多様性、宗教、セクシュアリティ、身体的コンディション等を無視した強制が時に図られてきたと認識しています。
多様性の尊重に区民理解の増進を図るというのなら、まず「塊より始めよ」です。
全庁的な事務点検、意識改革を改めて求めます。

2点目に、区が自ら立ち上げた被害者救済制度から区民を遠ざけてきたことについてです。
区民生活領域の質疑では、多様性尊重の条例に基づき設置された苦情処理委員会が、さも民対民の差別には対応できないかのような広報について見直しを求めました。
続く福祉保健領域の質疑でも、障害者差別禁止法に基づき区が設置した紛争処理制度を区が障害者のしおりにすら紹介しない姿勢について見直しを求めました。

区が重視をしてきたのは、いざとなれば「立派な制度もありますよ」と対外的に言えるポーズであって、区民被害者の救済そのものではないのではないかと疑います。
区民に役立つ広報を改めて求めます。

最期に、制度の実効性についてです。
先の一般質問では、区の障害者手帳取得のための診断料助成事業が、94%の新規手帳取得者にとって役立たない制度設計であることを論じ、再検討を求めました。
補充質疑でも、被災者の生活再建の入口になる罹災証明書の発行事務が、大規模災害に全く現実的ではない非効率性を取り上げました。いずれも他の自治体の取り組みと比較し検証する姿勢が乏しいことが印象的でした。この点、各所管部の改革努力を改めて求め、私の意見とします。