◆上川あや

初めに、視覚障害者の移動支援事業、ガイドヘルプの改善について伺います。

区長は、二〇一七年二月の定例会招集挨拶で、前年八月に発生した視覚障害のある区民の駅ホーム転落死亡事故に触れ、移動支援・従事者派遣事業では、視覚障害者の通勤を対象にするよう改めます、視覚障害者が転入や転職時に移動支援サービスが利用できるようにしますと表明しました。
同事業は、まさに区民の命にかかわる事業です。同様の配慮は、都内六区で当時既に実施をされていたもので、当区の決定は遅きに失した感がありましたが、あるべき改善の方向性として私も支持し、歓迎しておりました。しかし、その対処だけでは不十分であるとも考えておりました。

区は、同事業の改善で、転入や転職時、職場への移動経路になれるまでの間、一時的な付き添いとして、新たに三カ月を限度にガイドヘルプの利用を認めるとしましたが、入学、転校により、通学の移動経路になれるまでの間にも同様の危険があることは明らかです。ところが、区は、死亡事故の報じられた通勤に対してしか移動支援を拡大しようとはなさらない、その想像力の欠如に大変残念な思いがいたしました。

本区は、都が公表する学校基本調査でも、都内で三番目に大学の多い、国内有数の学園都市の一つです。区内の大学に在籍する学生数は六万七千人以上。進学を機に上京、本区に転入してくる学生も多い中であることは明白です。
そこで、同年三月の予算審議では、通学時の危険性も通勤時とほぼ同じはずと、通学訓練にも移動支援の拡大を求めたところ、当時の担当課長より次の答弁がありました。

区では、昨年発生した視覚障害者が地下鉄ホームから転落し亡くなるという痛ましい事故があったことを踏まえ、この四月から転入して間もない方や転職により通勤場所が変わった場合などに、通勤になれるまでの間、移動支援サービスを利用できるようにいたしました。通学になれるまでの支援ということでございますが、視覚障害者の安全の確保という点では、通勤と同様に捉えていく必要があるものと考えております。対象とする範囲や期間など具体的な検討を行ってまいります。

この御答弁をいただき、当然改善はなされたものと期待をしていたのですが、先ごろ、答弁の履行状況を再チェックしたところ、通学については全く改善がなされていないとわかり、驚きました。

そこで、以下質問します。
まず、通学について、通勤と同様に捉えていく必要があると御答弁されながら、なぜ改善をなさらないのでしょうか。そこに正当な理由があると言えるのか説明を求めます。
その上で、改めて早急に通学にも移動支援を拡大するよう求めますが、いかがか、区の見解を問います。

◎松本 障害福祉担当部長

私からは、障害者施策に関する御質問にお答えをいたします。

まず、視覚障害のある大学生の移動支援について、これまで改善しなかった理由、早急な改善について、一括してお答えをいたします。
区では、平成二十八年八月に発生した地下鉄での視覚障害者の転落死事故を受け、平成二十九年四月より、視覚障害の方が転入して間もない場合や、転職等により通勤場所が変わる場合など、通勤になれるまでの間、三カ月程度でございますが、移動支援サービスを利用できるようにいたしました。
平成二十九年度は二名の利用がございましたが、今年度はこれまでのところ、お申し出はございません。このサービスを大学生にまで拡大すべきとの御指摘をいただいておりましたが、この間、重度障害者の通学を含む就学支援の事例において、大学との役割分担等の協議をしていたことから、視覚に障害がある大学生の移動支援について具体的な整理がおくれておりました。この点はおわび申し上げます。
大学生の通学時の安全確保は一義的には御本人及び保護者が対応することでございますが、視覚障害者という点に鑑みれば、交通混雑が激しい都内での移動環境になれるまでの支援は通勤通学とも同様なものと捉えております。早急に関係各課で対象とする範囲等の確認を行い、間もなく新入生が転入する時期となりますので、区内大学等への周知の点も含めまして、時期を失することのないよう速やかに対応してまいります。

◆上川あや

視覚障害者の通学時の移動支援について再質問いたします。
これまで改善がなされなかった理由について、部長は大学との役割分担を協議していたからと説明をしましたが、納得ができません。答弁から二年間、二年間の放置です。どの大学を対象に、いつから協議を始め、いつまで協議をしていたのでしょうか、御説明を求めます。
私は、担当課長ともお話をしていて、実態は単なる担当課の失念であったのだろうと受けとめておりました。私から先週、質問通告でもなければ、この春も改善する予定など全くなかったのではないですか、確認いたします。

◎松本 障害福祉担当部長

二点の再質問を頂戴いたしました。

まず、一点目でございますが、どの大学を対象に、いつから協議を始めて、いつまでだったのかということでございますが、これは平成の、昨年の六月から八月の間ですが、町田市にございます私立大学の学生を対象に協議を行っておりました。その前年から国が大学生の移動支援を含めた修学支援事業ということの創設を検討していたということもございまして、そういった国の動きを踏まえた上で、昨年の四月に制度が創設されたものですから、それを受けまして協議を行いまして、昨年十一月からその支援を開始しております。
それから、検討を失念していたのではないかという御指摘でございます。所管部としましては、課題認識を持ってはおりましたものの、ただいま申し上げましたような事情もございまして、その検討を優先させたというような背景がございます。失念ということではございませんが、速やかな対応を図らなかったという点については重ねておわびを申し上げたいと存じます。
以上でございます。

◆上川あや

この事業は命にかかわる事業なんですよね。この議会での答弁というのは区民に対するお約束でもありますので、本当に口約束だけでは困ります。しっかり実行するように改めて求めまして、私の質問を終わります。