◆上川あや

大項目の最後に、区の旅館業法施行細則について伺います。

国が六月十五日に施行した旅館業衛生等管理要領では新たに、性的指向、性自認を理由に宿泊を拒否することなく、適切に行われることの一文が挿入されました。同性カップルやトランスジェンダーへの宿泊拒否は従来も旅館業法違反ではありましたが、国は今回明示的に書き込むことで、改めて周知を図ることとしました。
旅館業法が定める宿泊者名簿の記載項目は、本来、氏名、住所、職業、その他事項の四点であり、性別は必須項目ではありません。現に千葉県の同法施行細則でも性別の記載は求めておらず、困ってもおりません。
ところが、本区の同法施行細則は性別記載を求め続けております。

性同一性障害学会の報告では、性別への違和感を覚え受診した人のうち、手術を受け性別変更した人は二割にすぎないというデータがあります。多くのトランスジェンダーがその性自認及び実生活上の性別と戸籍の性別とのそごに差別を恐れております。区が記載を迫る性別は、果たして戸籍上の性別なのか確認を求めます。その上で、同法施行細則で性別記載を求め続けていることの削除を求めますが、いかがでしょうか、区の見解を問います。

◎辻 世田谷保健所長

私からは、区の旅館業法施行細則につき二点、まず、区から記載をお願いする性別についてお答えをいたします。

旅館業法の事務は、従前は東京都旅館業法施行条例に基づき行われており、同法施行細則により宿泊者名簿に性別の記載が義務づけられていました。しかしながら、平成二十四年には地方分権改革推進計画に基づき、世田谷区旅館業法施行条例及び同法施行細則を制定することとなり、当該条例案等を庁内で検討する中で、感染症や犯罪等発生の際に宿泊者の把握に必要と判断し、宿泊者名簿には性別等を記載することといたしました。そのため、性別につきましては、戸籍上の性の記載を想定しております。

次に、区の旅館業法施行細則を性別不問に改めるようにとの御質問です。
区では、多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を定め、性別等にかかわらず、多様性を認め合う地域社会の実現を目指しております。
消防や警察を管轄する東京都においてもLGBTへの配慮を含めた人権尊重の理念の実現を目指すための条例が本年十月に制定され、性別の記載に係る都条例・規則等の全庁的な調査、検討が行われる可能性があると聞いております。
こうした動向も踏まえ、関係機関とも調整しながら、宿泊者名簿の項目の見直しを検討してまいります。
私からは以上です。