◆上川あや

最後に、咽頭がん、喉頭がんの手術で喉頭を摘出した方々に対する支援です。

二〇〇八年の本会議から継続的に取り上げ続けてきた課題です。
がんの手術で声帯を含む喉頭を摘出すると、呼吸の出入り口は襟元に手術であけた永久気管孔という穴へと移ります。鼻や口元は空気の通り道ではなくなり、声を失います。日本でのこうした方々の声のリハビリテーションは、胃に飲み込んだ空気をげっぷの要領で吐き出し、口元で発生をする食道発声が主流でした。しかし、この方法で十分話せるようになる人は一部であり、永久気管孔をそのままにしていては、冷たく乾燥した外気をほこりとともに吸い込むために、呼吸が苦しいままであるという問題がありました。
これら課題の克服に、海外では広く普及している声を回復させる埋め込み型の人工喉頭と、永久気管孔の穴からの吸気に加温、加湿、防塵、ほこりを取ることまでできる人工鼻の給付の実施を求めました。世田谷区は、これを全国に先んじて認め、今この施策が全国で広まっております。
ところが、区の支援対象は、声のリハビリ手法の一つに埋め込み型の人工喉頭を取り入れた方、一割から二割の患者さんだけに限られております。他のリハビリ手法を取り入れた方も襟元に永久気管孔をあけて生涯生きる以上、吸気への対策は当然必要で、人工鼻の高い機能性が知られるにつれ、食道発声の方々からもこの給付を求める活動が活発になってまいりました。
都内では既に町田市が全ての喉頭摘出者の方へリハビリの手法を問わず人工鼻の給付を始めております。港区、墨田区もこの春からその対象者を広げるとしています。当区も給付対象を広げるように求めますがいかがか、区の見解を伺います。

◎松本 障害福祉担当部長

私からは、人工鼻の支給対象拡大の御質問にお答えをいたします。
喉頭がんなどにより喉頭を摘出された方の喉元には、呼吸のため、気管とつながる永久気管孔という穴をあけますが、冷気やごみなどが直接体内に入らないよう、小さなエプロンやカセット式でフィルター機能を持つ人工鼻を使うことがございます。喉頭の摘出手術を受け、声帯を失った方の中には、喉に埋め込んだ人工喉頭により発声する方もおり、会話の際には永久気管孔を指で閉じながら息を吐くため、区では障害者の自立生活支援のための日常生活用具給付において、平成二十二年度より人工喉頭使用に伴う補助具として永久気管孔に装着する人工鼻を給付対象としております。
御質問にございました、従来声のリハビリテーションの主流となっておりました食道発声や振動型の電気喉頭で発声する方も喉頭を摘出し、永久気管孔を造設している点では人工喉頭の方と同様でございますが、これらの発声方法は補助具を必要とせず、人工喉頭の方は補助具として人工鼻を必要とするという違いがございます。
現在、全ての喉頭摘出者を対象に人工鼻を日常生活用具として給付をしているのは、都内では御紹介のありました町田市のみでございますが、町田市やその他港区等での給付の考え方や状況を把握しながら、障害福祉サービスの観点から給付の必要性について検討してまいります。
以上でございます。