具体的な成果

★区の公益通報(不正告発)制度の欠陥が改められました。

 

➀ 要綱を改正(2018年4月1日施行)し、標準処理期間が定められました。(通報を受け付けた日の翌日から90日以内)
➁ 同要綱で、調査を担う外部弁護士が区の不正を外部公表できるようになりました。

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◆上川あや

初めに、区の組織内の不正を職員等が安全に告発、是正できる公益通報制度の不備について問います。

一体、何度関連の質疑を行えば区の不正を暴かせないからくりは改められるのでしょうか。
私のたび重なる質疑の結果、区は平成二十四年九月より、公益通報を受け付ける範囲を、法に義務づけられた最低限以外に認めました。翌二十五年四月には、もとより通報の権利のあった区の出入り業者にも、ようやくその通報窓口が開示されました。また同時に、私の要求を入れて、外部の弁護士を置いた形ばかりの第三者通報窓口もつくられました。さらに、翌二十六年十一月にも、私の指摘を受けて第三者の弁護士がようやく調査までを担える、より客観的な制度に改められました。

ところが、区の改善はここまでです。
区が組織の不正を握りつぶせる制度の根幹は改められておりません。
区は外部弁護士に調査権限を与えましたが、是正の勧告権は認めず、区が不正をもみ消したり、告発した職員に不利益を与えても、その事実を公表する権限も与えず、監督官庁への通報も、警察への告発も認めてはおりません。つまり外部弁護士が区の不正に気づいても黙っとれとでもいうような制度です。おまけに調査結果の公表の対象は、区が是正措置を講じた事案のみとなっています。つまり是正をしない以上非公表ということです。
これを改めるべく、外部弁護士に不正の公表権限等を与えるべきことは二年半前の質疑でも区長に直接求めましたが、さらに検討を進めていきたいと述べたきり、何ら改善はないままです。区長はこのままでよいと考えているのですか。この間の検討状況の報告も含めて伺います。

あわせて、所管部は、外部弁護士に是正の勧告権を与えず、不正等の外部公表も認めない理由について、区の顧問弁護士より、第三者機関である弁護士がみずから公表した場合、関係者からその弁護士に名誉毀損等の訴えがあることも想定され、当該弁護士の負担や活動への支障が生じるおそれがあるとの見解が示されたためと私に説明をしてきましたが、都内九区を初め、多くの自治体が取り入れている仕組みがあり、珍説であります。
区に改めて問うと、それを述べたのは、区が業務委託契約を結ぶ地方自治法の権威、橋本勇弁護士であるということですが、私を黙らせる方便ではないのですか。いつ同弁護士がそのように述べたのか、本会議場での確認を求めます。

また、不正の事実がなければ名誉毀損など生じようもない監督官庁への通報や警察への告発まで認めていないのはなぜなのか、それらも千代田区などの制度と同様、不正の隠蔽を許さぬ仕組みとして位置づけるよう求めます。見解を問います。

◎保坂 区長

上川議員にお答えをいたします。

公益通報制度についてでございます。区の公益通報制度では、職員等から内部通報窓口について、総務課に加え、より職員が通報しやすいように第三者窓口として公益通報相談員を設置しています。この公益通報相談員が通報を受け、調査の結果、不正な事実がある旨、区に報告した場合は、区が是正措置を講じることが義務づけられております。議員御指摘のとおり、他の自治体では、行政が是正措置をとらない場合には、第三者窓口がみずからその事実の公表等をしている例もございます。
この間の庁内の検討過程では、相談員による公表を行う場合のさまざまな重要な課題について整理が必要であり、他自治体の状況についても調査しながら慎重に議論を継続してまいりました。このような議論を踏まえた上でなお、区として、不正を許さないという強い姿勢を示すとともに、公益通報制度のさらなる客観性、公平性、透明性を確保するために、公益通報相談員による公表の仕組みは有効な手段であると判断いたしまして、今般実施に向け具体的な準備を推進するよう所管部に指示したところでございます。
また、不正がなく是正措置の必要がない案件の通報内容の公表につきましても、通報者の匿名性の確保など、関係者の権利擁護の視点など十分に踏まえながら、引き続き検討していきたいと考えています。

◎中村 総務部長

私からは、公益通報制度について、公益通報相談員の公表権限について検討する中で、弁護士から、いつどのような見解をもらっているかという点と、公益通報相談員に監督官庁への通報や警察への告発は当然認められるべきという点について御答弁をいたします。

御指摘の公益通報相談員に公表の権限を与える形について、一昨年の八月、お話しのありました弁護士に照会したところ、公益通報相談員がみずから公表した場合、関係者から相談員本人に対して名誉毀損などの訴えがあることも想定され、この結果、相談員の負担や活動への支障が生じるおそれがあるとの懸念が示されました。このことについては、現に公表の権限を与えている自治体においても同様のリスクはあるものと認識しております。
この間の庁内の検討過程では、ただいま申し上げました弁護士の意見のほかに、公表に至るまでの手続や公表の方法など、さまざまな課題について慎重に検討してきましたが、時間がかかったことについては反省すべき点があったと考えております。

また、現制度においても、仮に区が是正措置をとらなかった場合、相談員本人が自発的に警察に告発することは可能ですし、監督官庁へ通報することも妨げるものではございません。
今後さらに公益通報制度の実効性を高め、一層信頼される制度となるよう、公表に向けての具体的な方策等について、相談員の意見も聞きながら、実務的な検討を進めてまいります。
以上です。

◆上川あや

再質問させていただきます。

公益通報制度についてです。今るる申し上げた以外にも、区の公益通報制度には重大な欠点があります。区の要綱は、通報を受けた後、調査の要否を二十日以内に決めなければならないとは決めています。しかし、調査を開始したとして、それを終えるまでの標準処理期間については何ら規定がありません。つまり調査結果を無期延期する棚上げが可能だということです。是正するべきです。区の見解を問います。

◎中村 総務部長

通報に係る標準処理期間について再質問いただきました。
区の公益通報制度では、お話がありましたが、通報受理した場合に、二十日以内に調査の要否を判断して、その旨を通報者に通知するよう努めることとしております。一方で、その後の調査終了までの処理に係る所要期間につきましては、それぞれの案件ごとに調査の内容や範囲などが異なることから、標準的な処理期間は定めておりません。
区といたしましては、通報にはできる限り迅速かつ丁寧に対応することは当然の責務であり、この定めがないことで、通報に対していたずらに調査を引き延ばしたり放置するしたりするような考えはございません。御指摘の標準処理期間につきましては、制度の信頼性をより高めるという観点から、他の自治体の運用などを参考にしながら検討してまいります。

◆上川あや

最後の検討という御答弁なんですけれども、前回の質問で区長が検討を約束してから二年半、実質検討がないんですね。今回、改めて改革を指示した、二年半たって指示したですよ。こうした人が、検討と一言で言っても信頼などできません。検討の結論をいつまでに出すのか、その期間についてお示しください。

◎中村 総務部長

通報に係る標準処理期間につきましては、他の自治体の運用などを参考にするとともに、相談員の意見も聞いた上で、新年度を目途に一定の方向性を示すことができるように検討を急いでまいります。
以上です。