具体的な成果

★ヘイトスピーチ解消法への対応が区の基本的施策に加わりました。

 

多文化共生に係る具体的施策が2項目から5項目に拡充され、ヘイトスピーチ解消法に対応した「偏見又は不当な差別の解消」が、区の基本的施策に加わりました。

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具体的な成果

★苦情処理委員会の設置が決まり、被害者救済のしくみが整えられました。

 

区長に翻意を迫った結果、答弁が変わりました。昨春、成立した同条例・第4章は、上川の要求通り「苦情処理」へと変わり、苦情処理委員会の設置が決まり、被害者救済のしくみが整えられました。

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◆上川あや

男女共同参画と多文化共生の条例について伺います。

さきの一般質問で、骨子案11の相談及び意見の申出等は、他の自治体同様苦情処理とするべきだと求めましたが、区の答弁は、相談及び意見の申出等に苦情の処理等も含まれるという苦し紛れの答弁です。容認できません。
繰り返しますが、骨子案の文言は、相談と意見の申出等どまりです。ここで明記されている約束は、相談と意見の申し出を区として受けとめることのみであって、等の一文字に何を含むのか、含まないのかは未知数です。つまり苦情の処理まで規定したことには全くなりません。だからこそ、私は苦情の処理を明記するべきだと申し上げてまいりました。

ではここで、苦情の処理とは何なのか、改めて整理をいたします。
国の男女共同参画基本法第十七条は、そのものずばり、苦情の処理等を規定したものです。内閣府の同法の逐条解説は、苦情の処理を次のように解説します。
「行政上の事項について不満をもつ関係者からの苦情の申し出を、当該事項を所掌する機関又は他の行政機関において受け付け、争訴手続(行政不服審査など)とは異なる簡易・迅速・柔軟な方法でこれを処理することである」。
つまり、単に聞きおくことのできる相談、意見等の受け付けとは異なり、行政として応答、対応することを約束したのが本規定ということです。つまり多くの会派が求め続けてきた実効性の担保の仕組みそのものを規定したものなんですが、本区の条例案はそれを素通りしております。

男女共同参画社会基本法十一条は、地方自治体の責務に、国の施策に準じた施策の実施を求めており、当然同法十七条に定めた苦情の処理もここに含まれるわけですけれども、同法の成立時、既に国会議員だった保坂区長は、この実効性を担保する苦情処理規定も含めて賛成だったんでしょうか、確認を求めます。

◎保坂 区長

九九年だったと思いますが、法案の採決に当たって、賛成の立場ですから、当然おっしゃることも含めての内容です。ただ、国会、委員会を中心に審議していますので、この論点について相当深い見識があったかというよりは、まだこれは一般論での認識でございます。
今おっしゃっているところなんですが、男女共同参画社会基本法について、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにして、まさに将来に向けた国と、そして地方公共団体及び国民の取り組み――これは世田谷区も当然入ってくるわけです――を計画的に推進するためにでき上がったものと思っております。
この男女共同参画社会基本法は、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会を実現して、女性も、男性も、みずからの個性を発揮しながら生き生きとした生活を目指すということで提案されたものと考えていますが、十八年たって、法に掲げた理念の実現にはなお多くの課題があり、区の立場から改善に取り組んでいくつもりです。
委員御指摘の苦情処理規定についても、この条例案、つまり今世田谷区で考えていく条例案で、より実効性のあるものとするために、さらに改善を図ることができるものと考えております。

◆上川あや

同法の第九条では、国の施策に準じた地方自治体の責務についてということなんですけれども、立法者としてこれには賛同して、首長としても賛同するということなんでしょうか。

◎保坂 区長

もちろんこの法律としてもう十七年、十八年動いていますから、条例は世田谷区はありませんでしたけれども、法律の網はかかっているので、当然そこには従っていきます。

◆上川あや

ところが、本会議でも申し上げましたが、区の骨子案は相談と意見の申出等ということなんですね。相談と意見の申出等なら受け付けると。これは通常、条例がなくてもやっている業務にすぎません。本区の条例がいかに劣った規定であるのか、他区の条例と比較してみます。
他区の条例は、実効性担保の仕組みを次のように規定しています。港区、苦情等処理申出、新宿区、苦情等の申出への対応、文京区、苦情申立て、台東区、苦情申立て、北区、苦情への対応、中野区、苦情等の申出、渋谷区、相談及び苦情への対応、板橋区、苦情の申立て、墨田区、苦情調整機関、江東区、苦情の申出、足立区、苦情の申出、葛飾区、男女平等苦情調整委員会。
ところが本区の条例骨子案は、条例がない今でも受け付けている相談及び意見の申し出等としか書きません。国の基本法が求めている実効性担保の取り組み、苦情の処理については明文化していないというわけです。この規定の書き方を改めていただけるということですね。改めて御答弁いただければと思います。

◎田中 生活文化部長

現在の表現では、苦情の申し出、処理等が明文化されていないため、これだけでは読み取れないという御指摘かと思います。議会の御意見やパブリックコメントなどで区民から寄せられた意見も踏まえながら、今後どういう表現をすれば区民の方にわかりやすいのかという観点から、庁内でさらに検討を深めてまいります。

◆上川あや

ようやく納得できる御答弁をいただきました。

最後に、骨子案8に規定している多文化共生施策の強化についてです。
九月三十日らぷらすで開かれました同条例策定のための区のシンポジウムに参加いたしました。その席上、多文化共生の専門家としてシンポジストをお務めになっていた名城大学教授近藤敦さんの本区の条例骨子案へのコメントに大いにうなずかされました。
その内容を要訳しますと、現骨子案の具体的施策は、男女共同参画については四本あるのに対して、多文化共生については環境整備と啓発活動の二本のみと薄いという印象を述べられまして、外国人との日常生活に現にある支障、例えば入居差別ですとか、こういったことを除く支援に取り組む自治体もあるし、また昨年成立したヘイトスピーチ対策法は、自治体の活動に対しても言及をしておりますので、これについても記載をしたほうがバランスはとれるのではないかという御指摘だったんですね。私としては、大いに賛同できるなと思って伺ったんですけれども、区長としてはこのあたり、いかがでしょうか。

◎保坂 区長

シンポジウムでは、今御紹介いただいたような御発言を私もお聞きしました。こういった男女共同と多文化共生、セットでつくるに当たっては重要な視点だというふうに受けとめました。
一万九千人の外国人、外国籍の区民が現在いらっしゃいます。オリンピック・パラリンピックも控えて、国や言語、民族等の異なる人が、互いの文化を認め合って地域でつながっていくという多文化共生は区の願いでもあります。貴重な御意見をいただきましたので、今後全ての対象分野の条例自体がバランスのよい、人権保障にも配慮したものとなるよう、議会やパブリックコメントを参考にしながら、内容を精査し、まとめていきたいと思います。

◆上川あや

よろしくお願いいたします。終わります。