◆上川あや

初めに、区政情報、公文書等の管理と公開について伺います。

課題提起の第一は、本庁舎の区政情報センターと四支所の区政情報コーナーの利用が極めて低調であることです。
平成元年にスタートした同施設群の運営ですが、区政情報センターの閲覧者数は平成十八年度をピークに減り続け、昨年度はピーク時より四割減、二万人以下にまで減りました。他支所の情報コーナーも低落傾向は明らかで、玉川支所での昨年度の閲覧者数はピーク時の十五分の一以下、一日一・七人しかありませんでした。資料の貸し出し実績も、昨年度は五支所合わせて百九十一冊でした。昨年度の開庁日は二百四十三日でありましたから、驚くことに全ての支所合わせて一日一冊以下という貸し出し実績しかございません。有償刊行物の販売実績もピーク時に比べて七割減、コピーサービスの利用枚数もピーク時に比べて七割五分減と激減をしています。こうした状況下、投入コストに見合う事業と言えるのかどうか、区の現状認識を問います。

課題の第二は、選書と展示等の管理についてです。
区政情報センターを尋ねると、区政に直接かかわりのない資料ばかりが多く、しかもその大半が大変に古く傷んでおり、修理すら十分に行われていないことに気づきます。また、そうした区外の資料ばかりが前面に出て、肝心な区政情報の棚が施設の最奥部へと追いやられていることも気になります。
情報センターに入り一番手前の目立つ棚にあるのは、なぜか各省庁の刊行物、区の附属機関の会議録がその一部にはあるものの、その大半が大変古い資料です。その次の棚には、官報と都の資料が並び、その多くもまた大変古い資料です。さらにその次の棚には、当区以外の特別区、市町村、都道府県の古い資料類が並び、さらにその奥の棚には判例時報やジュリストなどの雑誌類が並びます。同センターで最も重視されるべき区政情報の棚は資料の入れかえ等もあるとのことですが、なぜかセンターの最奥部、最も薄暗い一角へと押し込まれています。
区は区民に見せるべき棚の順序を間違えていないでしょうか。また、区政情報以外の棚で適切な選書と管理がなされていると言えるのかどうか、区の見解を問います。

課題の第三はデジタル化への対処です。
今述べた長期低落傾向の原因について、担当所管はインターネット社会の進展が情報入手の方法を大きく変えたと説明をいたします。ならば、なぜ同センターもネットへの対応力を高めないのかが不思議です。この四月から、区政情報センターの区民利用パソコンは撤去をされました。スタッフにその理由を尋ねてもわからないと答えます。果たしてその理由は何でしょうか。
また、インターネットへのアクセスが不得手な来館者への対応も重要な課題でありますが、このデジタルデバイドに区はどのように対処をするのでしょうか。三万冊を超える貯蔵資料をネット検索できるように改善する気はありませんか。全体に区民の利便性や施設の利用可能性を高める工夫が余りにも乏しいと感じますが、区の見解を伺います。

課題の第四は類似施設との役割分担がないことについてです。
区政情報センターのすぐ近くに、郷土資料の豊富な郷土資料館と、大幅増床が計画され地域資料の充実が機能拡充の柱の一つに位置づけられている中央図書館がありますが、各施設機能の重複、相互の役割分担、連携が全く考慮されておりません。さきの文教委員会での私の質疑に、区教委もそれぞれの役割分担を今後検討していく必要性を認めたばかりですが、もとより重複する部分の多い事業です。区でもきちんと所管横断的に話し合い、検討を重ねた上で公費を投下し、無駄のない整備とするべきであります。見解を問います。

最後に、今後作業が本格化する世田谷区史編さん事業との関連についてです。
平成二十七年十二月の定例会で、私より、区の歴史を記録する区史編さんの作業が長らく途絶えたままである課題を取り上げました。その後、区は区史編さんの作業を本格化させるとし、今年度からは委員会を設け、学識経験者等で基本方針や事業計画の検討に着手しております。また、同委員会のもと、専門部会や連絡会を開き、今後、資料の調査、収集及び執筆等を進めるとしています。
区では、区制九十周年を迎える平成三十四年度を目途に区史を刊行するとしておりますが、その間、膨大な歴史的価値を持つ行政資料、民間資料が蓄積されていることは明白です。それら資料を適正に管理し、保存し、市民が必要なときに知的財産として活用できる環境整備を行うことは、公文書管理法でも自治体に努力義務が課されている使命であるはずです。札幌市や神戸市、川崎市でも、市史編さん時の資料を市民共通の財産にしていく検討過程から歴史的公文書の保存ルールが確立され、独自の公文書館が誕生しております。今後区でも同様の機能を持ったスペースの確保が必要になると考えますが、区の見解を伺います。

◎岡田 総務部長

私からは、まず公文書等の管理と公開につきまして何点か御質問いただきましたので、順次お答えいたします。

まず、本庁舎の区政情報センターと四支所にあります区政情報コーナーの利用の低調さについてでございます。
区政情報センター、コーナーは、区民への情報の公表や提供などの総合的な情報公開の窓口として平成元年に開設し、区の刊行物、各種会議資料や会議録、国、都等の資料など各種行政資料を区民の閲覧に供しているほか、資料の貸し出しや有償刊行物の販売などを行っております。
情報化の進展に伴い、この間、各分野の計画や施策の取り組み状況等、さまざまな区政情報を区ホームページに掲載し、発信してきたこともあり、センター、コーナーの利用実績は低下しておりますが、一方で、センター、コーナーはパブリックコメントなどの区民周知の場としても有効活用しております。
利用実績の低下は課題ではありますが、区政情報センター、コーナーは、今後も身近な区役所や総合支所において、区民が容易に区政情報を得られる窓口としてその役割を果たしていく必要があると認識しております。

次に、センター、コーナーにおける選書あるいは管理が不十分である、また、区民利用パソコンの撤去がされたままだという御指摘に対して御答弁申し上げます。
議員御指摘のとおり、区政資料の展示資料がセンターの奥側となっていることや、国等の古い資料が多いことなど、資料の収集管理につきましては区民のニーズや利便性、区政の情報を発信する視点が十分ではなかった部分があったと考えております。
また、区民利用パソコンにつきましても、継続した設置の対応が漏れて撤去されたままとなっており、このため早急に庁内関係部署と調整の上、再設置を指示したところです。
今後の区政情報センターの管理運営に当たりましては、資料の展示方法の見直しのほか、インターネット検索機能の検討やパソコン利用者へのより丁寧な操作案内など、センターがこれまで以上に区民に利用しやすい施設となるよう鋭意工夫を凝らしてまいります。

次に、本庁舎建てかえ後も、区政情報センター的な機能が必要であるということと、郷土資料館や中央図書館との機能分担、これに関する御質問に対してお答えいたします。
本庁舎等整備におきましては、基本構想の中で、区民自治と協働交流の拠点としての機能を果たすため、情報発信機能として情報コーナーを設置することとしております。現在、本庁舎等整備の庁内検討組織において、情報コーナーのあり方についても検討しているところでございますが、検討に当たりましては、議員お話しのとおり、近隣の郷土資料館や中央図書館の機能等にも留意して進めることが必要でございます。情報発信機能としての情報コーナーが区民にとって意義ある施設となるよう、情報化の進展等を十分踏まえ、教育委員会とも連携しながら取り組んでまいります。

次に、区史の編さん事業に関連しまして、公文書館と同様の機能を持ったスペースの確保という御質問にお答えいたします。
区では、区制八十五周年を契機に、今年度から新たな区史編さん事業の取り組みを始めておりますが、区史の編さん過程で収集した資料は後世に残すべき貴重な資料であると認識しております。こうした歴史的な資料は他自治体では都道府県や政令市を中心に、公文書館を設置し、保存、利用が行われている状況でございます。区における歴史的な資料の保存、利用のための公文書館につきましては、資料の選定や保存場所、公開方法などを初め、現行の文書管理のあり方を含めてさまざまな観点から検討を行う必要があると考えております。区といたしましては、他自治体の公文書館の事例なども参考にしながら、歴史的な資料の適正管理について課題を整理し、研究してまいりたいと考えております。

◆上川あや

公文書管理に関して、区長に再質問したいと思います。

私の質問通告では、公文書館の開設と公文書管理の手法に関して、区長に対して御回答いただきたいという通告を出したんですが、お答えいただけなかったのがとても残念でありました。
区長は、区長として初当選した当初の本会議の招集挨拶で情報公開の徹底をうたっていらっしゃいました。情報公開制度のしっかりとした展開と、それを裏づける区政情報、あるいは公文書の管理手法の改革は必ずセットなんですね。そうでないと、今の森友問題、加計学園の問題、文書があるかないかわからなくて、公開施設だけ整えても仕方がないんですね。
この両方の整備を何らか手を打たなければいけないと思うんですが、区長は六年間何ら手を打っていないと私は認識をしております。公文書館の開設とあわせて、公文書管理執行の改革について取り組むおつもりがあるのかどうかお聞かせいただければと思います。

◎保坂 区長

上川議員の再質問にお答えをいたします。私のほうから幾らでも答弁しますので、ちょっと行き違いがあったかと思います。

この公文書館をめぐっての御質問ですが、公文書管理法では、目的において、国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるとうたわれております。
先日、長いこと産業振興公社のトップを務めていただいた尾崎さんも、国立公文書館をつくられたということで、折々の話をよく聞かせていただきました。ですから、公文書管理の重要性についてはおっしゃるとおりだと思います。
次のポイントとして、区史編さんの作業がいよいよこれから本格化してまいります。区制九十周年ということで、かなり時間をかけて、しかしそれだけの大部の区史をつくる、こういった体制がスタートしていくわけであります。まさに、区の歴史的資料、歴史資料となる公文書も含めて、後世に引き継ぐべき区民の知的資源として適正に管理し、公開していくべきものだと考えています。
また、本年八十五周年、十月予定の式典におきまして、もう少しコンパクトな、現時点での世田谷の歩みというものをまとめた小冊子を制作して発表する、配布する予定になっております。この際、そういった小冊子を通して、幅広く歴史的資料等のこれから収集を進めていきたい、また区民に提供をしていただきたいということを呼びかけ、また区史編さんのプロセスについても区民の参加を呼びかけていきたい。こうして集まった資料について、御指摘の区政情報センター、郷土資料館、図書館、あるいは平和資料館もあるかと思いますが、それぞれの役割を明らかにし、区民に提示をしていく体制をつくる。また、公文書を九十万自治体にふさわしい規模で、公文書館という問題提起ですので、これらも受けとめさせていただいて、九十万自治体にふさわしい公文書の管理のあり方を指示していきたいと思います。

◆上川あや

公文書管理手法の改革についてはこれまで何回か質問しているんですけれども、一向に進んでいないんですね。何度も質問しなくていいように、しっかりした対応をお願いいたします。