◆上川あや

続いて、自転車通勤する区職員千二百六十五人の加害事故リスクについて伺います。

職員厚生課によれば、九月一日現在、五千七十三人の正規職員、五百三人の再任用職員がいるうち、自転車のみ利用する職員が八百九十一人、全体の一五・九%、自転車と公共交通機関を併用する職員が三百七十四人、全体の六・七%、合わせて千二百六十五人、全体の二二・六%が自転車通勤で手当を得ています。ざっと四人に一人が自転車通勤となりますが、区の自転車通勤へのリスク管理は甘過ぎると感じます。
これら職員が自転車通勤途上の事故で負傷、死亡した場合には労災保険が適用となりますが、加害被害はカバーされません。その賠償責任は運転した本人が負うことになりますが、本人が死亡、または資力がなく賠償できない場合には、雇用主である区が、民法七百十五条の使用者責任を問われる可能性が出てまいります。区が自転車通勤を認め、個々に通勤手当まで出す以上、自転車保険等への加入は当然の責務であり、必要な前提条件だと考えますが、現状は何らの義務づけもなく野放しです。区には加入状況の把握すらなく、安全講習会等への出席義務も課さず、ただ漫然と保険加入を呼びかけているだけ。区民に自転車保険等の加入を呼びかけておきながら無責任です。
自転車通勤では、本人がけがをするだけではなく、加害事故を引き起こし、他人をけがさせてしまうリスクが電車通勤の数十倍にも膨らみます。区としてそのリスク対策には常に配慮すべきです。
特に最近は、自転車の関連した死亡事故をも含む重大事故の増加から、警察もブレーキなしの自転車の公道走行や飲酒運転を発見した場合には、指導・警告なしに直ちに違反切符を交付する事例が出ています。区も職員の自転車通勤を認めるに当たっては、事前の安全運転講習会への参加を基本とするべきですし、道交法や都の規則で禁じられた行い、飲酒運転や整備不良の自転車の運転、運転中の携帯電話の操作や傘を差しながらの運転など危険な行為を自転車通勤規程などで明示的に禁止し、違反した場合には懲戒対象となり得ることを改めて示しておくべきと考えますがいかがか、区の見解を伺います。
また、自転車通勤者に常に一定額以上の保険への加入を義務づけるべきです。その確認をもって自転車通勤を許可する等、ルールを明確化しておく必要があると考えますがいかがか、区の見解を伺います。

◎萩原 総務部長

私からは、自転車通勤に関するお尋ね二点にお答えいたします。
初めに、規定の整備についてです。
通勤や公務で自転車を利用する職員には、安全運転講習会の受講は極めて重要であると考えております。区では毎年、世田谷警察署とも連携して職員向けの安全運転講習会を実施しており、この中で、交通安全所管部や警察職員による運転マナーや交通ルールの講話などを行っております。
自転車通勤規定の御提案をいただきましたが、道路交通法では、自転車も軽車両として規制の対象とされており、これらに違反して事故を起こし、地方公務員法の信用失墜行為の禁止規定に違反したと認められる場合には懲戒処分の対象になり得るものと認識しております。
職員の自転車事故防止に向けましては、引き続き安全運転講習会の受講を呼びかけ、講習会の中で運転マナーや交通ルールの確認、安全の意識向上に努めていくとともに、今後は関係所管部とも十分連携して、通勤で自転車を利用する職員全体を対象とした事故防止の取り組みを推進してまいります。
次に、自動車保険等の加入義務化についてでございます。
ただいま御答弁いたしました安全運転講習会につきましては、昨年度より対象者を非常勤職員にも拡大し、より多くの職員に安全運転への意識向上を図っているところでございます。講習会では、職員が安全意識を現実のものとして捉えられるよう、事故を起こしてしまい、その結果人生が変わってしまったといった想定を、DVDを用いて視覚的に訴え、保険加入の必要性を伝えております。
引き続き、講習会等の機会を通じて保険の重要性を訴えていくとともに、現在、区、関係団体、警察等が加入を促しているTSマークを初めとした保険等の重要性を強く自覚し、さまざまな機会を通じて職員への啓発を図り、自転車を利用する際には保険加入がその基本となるよう、意識の改革を進めてまいります。以上でございます。

◆上川あや

自転車通勤について再質問いたします。
自転車保険への加入について、先ほどの御答弁では、職員の意識改革を促すということだけでした。保険加入という担保があってこそ自転車通勤が認められる、手当が支給されるということでなければおかしいと思います。無責任です。保険加入の徹底を図っていく考えはあるのですか、ないのですか。区民に徳目をたれて講習会参加を促す前に、足元から改善するつもりがあるのかどうかお答えください。

◎萩原 総務部長

再質問にお答えいたします。
区は、平成二十四年四月に、世田谷区民自転車利用憲章を制定し、自転車を利用する区民に対してルール遵守、マナー向上を呼びかけているところございます。また、昨日は他会派の質問に対して、交通安全所管より、当該憲章のPRリーフレットを用いて保険の加入を促している旨の御答弁をいたしました。
こうしたことからも、自転車を利用する区職員にはルールやマナーを率先して守ることが強く求められており、また、保険の加入につきましても、すべからく加入することがあるべき姿であると考えております。こうした状況を深く認識し、今後は庁内で連携し、自転車を利用する職員全員に向けた安全運転への啓発にスピード感を持って取り組むとともに、保険加入につきましても、あるべき姿に向かって取り組みを推進してまいります。
以上でございます。

◆上川あや

しっかり変えていただくよう期待します。実際に区の職員が罰金五万円の傘差し片手運転などをして通勤する現状を変えてください。以上で終わります。