◆上川あや

本日、他会派からも質疑がありましたロコモティブシンドローム、略称ロコモについてお伺いしてまいります。私からは角度を変えて伺います。
スムーズに歩き続けることが難しくなるロコモ、これに対応したまちづくり、つまり休みながらでも歩き続けられる、そういったまちづくりについて伺いたいと思います。
区のホームページを拝見しまして、奥沢地区社会福祉協議会のおもしろい取り組みが目にとまりました。町の中に少し休めるところがあればいいのにという地域の高齢者の声を背景として、地域の募金で得たお金を地域に還元する取り組みとして、町のあちこちに日中ちょっと休める椅子を置く、夜になるとしまうココロン椅子という取り組みが平成十九年度からスタートしているといいます。
所管部に伺いますと、同様の取り組みは、今年度から祖師谷地区の社会福祉協議会でも、弱者対応いす・ベンチ事業という名前で自発的に始められておりまして、現在までに七つの社協、八十二カ所に広がっているということでした。しかし、区内には二十八の社協があります。大変よい取り組みだと思うんですが、地域限定であるということが非常に残念です。できれば、全区的にちょっと休める場所がふえていくように、区としても積極的に紹介し、応援していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。

◎板谷 地域福祉部長

御紹介がありました椅子あるいはベンチは、区内の地区社会福祉協議会によって配置されているものでございます。この椅子を最初に設置したのは奥沢地区社協で、地区の商店街主催のイベントに地区社協として参加した際に、募金箱に集まったお金を地区に還元したいと考え、地区の方の町の中に少し休めるところがあればいいのにという高齢者の声に応えて椅子を設置することを決め、口コミで設置場所の提供者が広がっていったということです。
このように、購入の費用も設置場所も、お話にありましたように、しまうことを含めて、全て地区の方々の善意で賄われており、地区住民が主体となった取り組みとなっております。区では、住民主体の取り組みの好事例として積極的に取り上げ、御紹介させていただき、住民活動の促進と地域福祉の推進を図ってまいりたいと考えております。
この三月五日から配布している中高年世代の情報誌「GAYAGAYA」でもカラー写真を添えて、お話にありましたココロン椅子など、奥沢地区社協の活動が紹介されているところですけれども、他の地区社協に対してもお伝えすることを含め、区として支援をしてまいります。

◆上川あや

よろしくお願いいたします。
こうした自発的なココロン椅子などの取り組みが広がっていることからわかることは、世田谷区内でも既に多くの方々がひととき休める椅子が町なかになくて困っていらっしゃるということだろうと思います。
ロコモの関連疾患である三大疾患は、骨粗鬆症、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症ということなんですが、この症状を一つでも持っている方は、推計全国に四千七百万人ということで、数十万人が歩き続けることは難しい。ところが、区内のほとんどの場所では、一旦家を出ると座るところがもうなかなか存在しません。町なかでは、立ったまま休憩している高齢者を見ることが多くございます。長く歩き続けることはもう困難で、休み休み歩きたいのに、休むところがない、こうした現状の改善は民間努力に全て負うべきではなく、区としてもできる努力をするべきだと思います。
区としての取り組みの状況について御説明をいただきたいんですが、いかがでしょう。

◎佐藤 都市整備部長

区では、誰にとっても利用しやすい生活環境の整備、これを推進していくために、ユニバーサルデザイン推進計画を策定しまして、三十の施策事業の点検・評価・改善、いわゆるスパイラルアップを実施しております。その中の事業の一つとして、誰でも使えるトイレとベンチ等の休憩施設のネットワーク整備と、これを位置づけまして、関係所管と連携しながら取り組んできております。これまでバス停ベンチ、緑道のお散歩ベンチ、公園の寄附ベンチ、合わせて百五十九基のベンチが設置されております。
また、地域や民間での取り組みとして、商店街でのお休みどころの開設が十二カ所、夏場の熱中症対策としてのお休みどころも約二百カ所あるなど、さまざまな取り組みによりまして、町なかのベンチ、お休みどころが増加しているという状況でございます。
お話しのロコモ対策としての観点も非常に大切と考えておりますので、平成二十六年度に行うユニバーサルデザイン推進計画の見直しの中で、今後の取り組みについて、関係所管で協議、検討していきたいと考えております。

◆上川あや

それぞれの取り組みについてはわかったんですが、区内のほとんどの道はそもそもバス通りではありませんので、バス停ベンチには該当しない。また、二百カ所のお休みどころは夏だけの取り組みです。緑道の分布もまた限られています。そういった意味では、世田谷区の道づくりそのものの中で、段差解消などと並んでひととき休める場所づくりというものを心がけていくべきだと考えています。
平成五年十一月二十五日の道路局長通達によって、歩道へのベンチの設置はもう解禁されております。昨年十二月の他会派の質問に応じまして、現在、区では区役所裏の補助一五四号線の一部にベンチを置くことも計画中だと伺っていますが、あれだけ歩道の広い高規格の道路にベンチの一つもない歩道を延々梅丘方面まで延長してしまったというところに区の取り組みのおくれがあらわれていると思います。議会で指摘を受けて事後的に設置するのではなく、積極的に事前に計画的に配備されるべきでした。
きょうは一つの取り組みを御紹介します。お隣、三鷹市では、平成十八年よりベンチのあるみちづくり整備計画というものを取りまとめて、道そのものにベンチを置いていくという計画をつくっています。広い歩道のある幹線道路では百メートルから二百メートル置きに、河川沿いや遊歩道では五十メートルから百メートル置きに、また生活に密着した歩道のない生活道路でも住民要望に応じてベンチの整備を図るという計画だそうで、具体的に五種類のベンチを市のほうで準備をして取り組んでいるということです。
こうした積極的な整備、面的な整備を世田谷区の道路でも積極的に図っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

◎青山 土木事業担当部長

高齢社会が進展する中、歩道にベンチなどの座れる場所を整備していくことは重要であると認識しております。現在、区道の歩道におけるベンチなどの整備につきましては、バス停ベンチのほか、植樹ますの一部などに座れる形状のものなどを設置してございます。
一方、歩道にベンチを設置するに当たりましては、歩行者等の通行に支障とならない設置場所の検討や沿道の皆様の御理解が必要不可欠であると考えております。委員お話しの三鷹市のベンチのあるみちづくり整備事業につきましては、市民や事業者から寄附金や用地使用などの協力を得て、歩道や歩道に接する民有地にベンチの設置を進めていく点など、大変参考になる取り組みでございます。
今後とも、ユニバーサルデザインなどの関係所管とも連携を図りながら、また、他自治体の事例なども参考に、区道の中でも都市計画道路等の幅の広い歩道を中心に、ベンチなどの座れる場所をふやしていくことについて積極的に研究し、検討してまいります。

◆上川あや

積極的な展開を求めて、終わります。