具体的な成果

★がんの「先進医療技術」に金融支援が始まりました。

 

国が認める、がんの「先進医療技術」41は全て自己負担。うち6技術の治療費は300万円を超えています。その負担軽減を訴え、利子補給制度ができました。

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◆上川あや

続いて、昨年6月に引き続き、がん先進医療への金融支援について伺います。

区が今般取りまとめたがん対策推進計画素案を拝見しましたが、患者やその御家族が抱える経済的負担への支援策が手薄であることは大きな問題だと感じます。

昨年、都ががん患者を対象に実施したがんと就労に関する調査では、法人に就労していた人のがん罹患後の退職に追い込まれたケースは二一・三%、実に五分の一以上となりました。がんの罹患後も仕事を続けたいとした人は八〇・五%で、その理由のトップは生計の維持の七二・五%、がんの治療代を賄うための四四・五%が第三位につけました。
鹿児島県が二〇一三年のがん対策推進計画策定にあわせ、県内のがん患者を対象に行った調査でも、困ったことの第一は経済的負担でした。今後必要な支援として選ばれたのも経済的支援が一三・二%でトップです。

ところが、区の素案で経済的負担への言及はたったの一カ所、五行しかないありさまです。これでは極めて心もとないと言わざるを得ません。経済的支援の充実も区のがん対策の主要なコンテンツであるべきと考えますが、区はこの部分を素通りするおつもりなのでしょうか、区の見解を問います。

また、昨年六月の本会議で全額自己負担を迫られるがん先進医療に区も支援策を講じるべきだと求めました。国が通常の医療より高い技術水準を認めた百五種類の先進医療技術のうち、がん治療技術は四十一に上りました。その中で手術が不可能な部位のがんやエックス線照射をすると副作用のほうが強く出てしまう骨軟部腫瘍等でも高い治療効果が確認をされている重粒子線による照射、さらに手術、放射線、抗がん剤治療に次ぐ第四の治療法として注目を集める免疫療法等も含まれています。しかし、こうした医療は全てが自己負担。うち六つの治療費は何と三百万円を超えています。

昨年の質問では、既に豊島区で実施をされている地元金融機関と連携協力した金利負担ゼロの先進医療ローンの創設を区に求め、区もその検討を約束する答弁をしましたが、がん対策推進計画素案にもしっかりと明記し、取り組んでいただく必要があるものと考えます。その後の検討状況と今後の見通しについて伺います。

◎辻 世田谷保健所長

私からは、がん先進医療への金融支援について二点、一点目、区のがんに対する経済的支援に対する見解と、二点目、金利負担ゼロの医療ローンの創設に関する検討の進捗状況と今後の見通しについて、あわせてお答えいたします。

一点目、近年の医療技術の進歩は目覚ましく、がん医療につきましても、通院によってさまざまな治療を受けることができるなど負担の軽減が図られております。しかしながら、陽子線治療や重粒子線治療等の先進医療につきましては、公的医療保険が適用されず、治療費だけで数百万円が必要となるなど、患者や家族にとって大きな経済的負担となっていることは認識しております。
平成二十六年度東京都福祉保健基礎調査報告書では、がん医療対策に望むことの第一位は高度ながん医療の提供であり、また、自身ががんと診断された場合に相談したい内容として治療費等の経済的負担が第三位となっており、特に三十代から五十代の働き盛り世代で高い割合となっております。これらの結果からも、区はがん患者に対する最新の医療の提供に伴う経済的負担の軽減が今後の重要な課題であると考え、がん対策推進計画素案の分野別施策においても公的医療保険が適用されない医療の費用負担への対応を取り上げております。

二点目、金融負担ゼロの医療ローンにつきましては、区では現在、がん専用医療ローン等の新設に向けた協力を、地域の金融機関に働きかけを始めたところでございます。今後、患者や家族が治療を受けながら地域で安心して生活することができるよう、地域の金融機関と協議を行いながら、経済的支援についての検討を進めてまいります。
以上です。