具体的な成果

★「避難勧告等の判断基準」が作られました。

 

区には土砂災害に備え、区民に避難誘導を呼びかける判断基準がなく、区に土砂災害警戒情報が出た時でさえ、避難準備情報も出したことがありませんでした。上川の指摘で2016年9月「避難勧告の判断基準」ができました。

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◆上川あや

急傾斜地の災害対策について伺います。

私がこの急傾斜地の災害対策について取り上げますのは二〇〇八年三月以来となりますが、その後の区の改善努力が随分中途半端だなと感じています。区が改善してくださったのは、大雨等によって土砂災害警戒情報が出されたケースでの避難勧告、避難誘導の整理等、ソフト面のみでありまして、肝心な崩落防止対策が全くの手つかずです。これを改めていただきたいというのが今回の趣旨です。
前回の質疑では、区内にも五十七カ所もの土砂災害危険箇所、より詳細な表現で言いますと急傾斜地崩壊危険箇所があるという指摘を行いました。これらの斜面地について、この四月、都から出されました首都直下地震等による東京の被害想定を見ますと、その危険性はいよいよはっきりとしてきます。同報告では、震災時の急傾斜地の崩落危険度をカルテと称するマップで示しておりまして、それを見ますと、区内のがけ地のほとんどが赤で示されています。赤は崩壊危険度でいう危険性が高いということを意味しているそうです。
そこでまず伺いますが、崩壊危険度の高い順からランクA、ランクB、ランクCとありますが、区内にはそれぞれどれくらいあるのでしょうか、また、それらの崩落に巻き込まれる区内の人家の想定につきましても、把握がありましたらお答えください。

◎男鹿 拠点整備第一課長

斜面の危険度ランクについてですけれども、危険性が高いとする箇所をAとしておりまして、危険性のある箇所がB、危険性が低い箇所がCということになっております。東京湾北部地震、マグニチュード七・三の場合、世田谷区内の急傾斜地崩壊危険箇所五十七カ所のうち五十二カ所が危険性の高いAとされ、残りの五カ所が危険性があるBであるとされております。Cはございません。なお、多摩直下などの他の地震ではそれぞれ異なる結果となっております。また、危険箇所の人家ということでございますけれども、戸建て住宅が約四百棟、集合住宅が約百棟、合わせて五百棟前後と伺っております。

◆上川あや

斜面地の崩壊に巻き込まれる可能性のある人家が五百棟。うち百棟が集合住宅ということは、どう考えても巻き込まれる可能性のある区民は千人規模になると思うんですね。ところが、こうした斜面地の崩落防止対策について都市整備所管に尋ねたところ、組織規則にも具体的な記述がないので、どこが所管部かもわからないという驚くべき答えが返ってきました。完全に無責任体制じゃないですか。いずれにせよ、区で対応するべき災害対策であることは確かなのですから、庁内調整して早急に取り組んでいただかなければならないと考えます。区に区民の命にかかわる重要な課題だと考えて取り組んでいく覚悟があるのかどうかをお聞かせいただきたいのですが。

◎男鹿 拠点整備第一課長

厳しいご指摘をいただいたところでございますけれども、私のところでは、開発許可だとか宅地造成許可で、擁壁の安全なものを建ててもらうような許可について行っているところでございます。ただ、調査で出た部分についての既存の部分については、今回、この規模ということで、やはり区としてこのあたりを認識して取り組んでいかなければいけないと考えております。

◆上川あや

答弁にある五十七カ所という数字は、十年前、東京都によって公表された数字がベースです。しかし、その選定は単に地図を見て行われただけで、詳細な現地調査を踏まえたものではないということです。従来、詳細な現地調査がないために、避難を促したり、立ち退きを求める権限が行政には乏しかった。その反省から、現在、国では都道府県を巻き込んで土砂災害防止法に基づく警戒区域の設定を急いでいるそうです。都内の調査については東京都で行って、その結果、警戒区域が設定されて初めて区も踏み込んだ指導権限を持つと理解しています。
ところが、これまでのところ、都の調査は多摩地域が優先で、世田谷区を含む特別区の調査は全く手つかずで、そのめどもないということなんですが、区内の調査を急ぐ必要性について区ではどう考えているのか、何らかのアクションが必要と考えますが、いかがですか。

◎男鹿 拠点整備第一課長

都が土砂災害警戒区域指定を進めていく取り組みについては、今後、区がより具体的な避難誘導体制を構築するなどに向けて急がれるべきことだと認識しております。また、先月二十四日に、東京都は特別区の防災担当課長を集め、区からは災害対策課長が出席したところでございますけれども、土砂災害防止法に基づく円滑な区域指定等に向け、都と各区の役割分担や基礎調査及び方針等について意見交換を行うために、仮称でございますけれども、特別区土砂災害防止法連絡会を設置する旨の説明があり、これが設置することとなったと伺っております。この中では、平成三十二年度末までに都内の土砂災害警戒指定区域の指定完了の目標が示されております。区といたしましても、設置される連絡会の場などで、土砂災害警戒指定区域の指定が推進されるように取り組んでまいりたいと考えております。

◆上川あや

ぜひ急ぐように働きかけをお願いいたします。

最後に、ハード面の対策強化についてですが、国や都の動きとは別にしまして、このところ急傾斜地の改修工事の支援に区独自で乗り出す事例がふえています。新宿区では今年度から擁壁及びがけ改修等支援事業を立ち上げて、安全化指導と啓発に約二百四十七万円、コンサルタント派遣事業に約二十一万円、改修工事費助成に三百万円の予算をつけて事業をスタートさせました。来年度はこれを八百三十万円、再来年度以降は千五百五十万円と予算を三倍増にして改善していく方針だそうです。
また目黒区でも、今年度から斜面地の改修費助成事業をスタートさせました。同様に北区、大田区、板橋区、台東区にも改修費の助成事業がありました。港区にも斜面地整備のために資金を借り入れた場合に利子補給を行う独自制度がありました。杉並区にも斜面地改修資金を貸し付ける独自制度があります。はっきり申し上げて、区内に斜面地が多くありながら何ら対策をとっていないのは世田谷区ぐらいしか残っていません。これはどうするんですか、しっかりやっていただきたいのですが、お答えをお願いします。

◎男鹿 拠点整備第一課長

今ご報告いただいた各区で行っている事例については大変参考になると思いますので、今後、現状の把握や各区の取り組みについて調査研究を重ねてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、がけ、擁壁の積極的な強化の必要性について認識し、区民の生命、財産を守る観点から前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

◆上川あや

板橋区は、急傾斜地崩落危険箇所が区内に五十四カ所と世田谷区より少ないんですけれども、区内にある二メートル以上のがけを、区の職員も動員して目視調査を行って、安全性が低いもの二百六十カ所、安全性がやや低いもの九百七十カ所、合わせて千二百三十カ所を全部チェックしているんですね。世田谷区も本腰を入れて取り組んでください、やる気がなさ過ぎます。頼りなさ過ぎます。しっかりお願いいたします。