◆上川あや

区の公益通報制度について伺います。

最初に申し上げますが、私がこの問題を取り上げるのは今回が三回目になります。もういいかげん文句のつけようがない制度に改めていただきたいと強く願うんですが、区はなかなかそうはさせてくれません。よほど探られたくない痛い腹でもあるのかと疑いたくなってきます。
組織の不正を告発した者に対する解雇など不利益な取り扱いを禁止する公益通報者保護法が施行されて六年半、区もこれにあわせて独自の制度を運用してきました。しかし、私はほとんど形骸的な制度運用だったのではないかと考えています。なぜなら、通報する者が信用できる、そういった制度ではないからです。
当初、問題は四つありました。
第一に、国の公益通報ガイドラインが求める外部の弁護士等を置いた第三者窓口を区が設置しなかったこと。
第二に、通報を完全に秘密裏に処理することが可能な制度だったこと。
第三に、法的には区の出入り業者にも通報の権利があるにもかかわらず、通報窓口そのものを区の外部に全く知らせなかったこと。
第四に、区が要綱で定めた通報の範囲は法に定めのある最低限の義務にすぎず、他の法令違反等は受け付けなかったことです。
まさに問題山積です。

おととし三月、昨年の春と、二回にわたり私からそれぞれ改善を求めました。その結果、昨年の九月に制度は一部改変されたのですが、ふたをあけてみますと、本質的な改善とはほど遠い小手先の変化です。問題点に気づくにつれて、区は本当にこの制度を使ってほしくないんだなということを痛感しました。それだけ巧妙に問題点が隠されているんです。
例えば、昨年九月に新設された弁護士を置いた第三者窓口を例に挙げます。新制度で外部の弁護士さんが担う役割はただ一つ、伝達者としての役割です。不正の告発を受けて、それを従来どおりの窓口、区の総務部に伝えたら仕事はおしまいです。結局、薄皮一枚つけ加えただけの変化です。これは私の追及を逃れるための表層的なトリックだと感じました。
結局、区の不正を受けたところで、その調査をするのも区、結論を出すのも区、処分をどうするか決めるのも区、その情報を開示するかどうか決めるのも区、これをお手盛りと言わずに何と言うんでしょうか。これで自浄作用が期待できるわけがありません。
お隣の杉並区、また中野区、千代田区、さらに国立市などでは、通報を受けた第三者窓口の弁護士、あるいはつくられる第三者機関がその先の調査までを担えるというルールです。さらに、区の職員はその調査に協力をしなければいけないと決められています。これこそが組織内の不正を許さないと考える者の制度の構築だと思いますが、いかがですか。

◎中村 総務課長

外部窓口のお話をいただきました。
半数以上の区で外部窓口は設置しておりまして、世田谷区におきましても弁護士に委嘱する形で、公益通報相談員を設置して一年を経過したところです。
この第三者窓口に通報事例についてその事実を直接調査する権限を与えるというご提案でございますが、通報者の保護や事案の公平な取り扱いを期すということで、有用な手法の一つであると認識しております。一方で、公益通報自体が現在多いとは言えず、外部窓口へもこの一年間に通報実績がなかった現状でございます。まずは、この公益通報制度が職務上知り得た違法行為等を通報することで不当な取り扱いを受けない制度だということ、それと、外部窓口として公益通報相談員を置いているということの認知度を向上させることが必要であると考えています。
今年度に入りまして、四月と九月に課長会を通じて、庁内にこの制度の周知を図ったところでございます。今後とも庁内ホームページのほか、研修等機会をとらえて周知を行うなど、より利用しやすい環境づくりに努めてまいります。
また、今後運用状況を検証して、あわせて他区の事例も精査しまして、公益通報制度、公益通報者保護制度がよく稼働するようしてまいりたいと考えております。

◆上川あや

よく稼働する制度にするためには、不正を組織お手盛りで握りつぶせる、こういった制度を変える必要があります。区の通報がないのは当たり前じゃありませんか、おかしな話だと思います。すぐにでも改めてください。
問題はまだまだ続きます。第三者窓口がつくられたところで、その窓口の存在をだれに知らせるのかという問題です。区は、法的には通報の権利を持つはずの区の出入りの業者について、第三者窓口の存在をそもそも今なお知らせておりません。これはおかしくないでしょうか。なぜ開示しないんでしょうか、お答えください。

◎中村 総務課長

お話しがありましたが、組織の健全性、それと法令遵守の確保の観点等から、法の規定する内容に加えまして、現在職場における違法、不当な事実に関する通報は、公益通報の法の対象にならない場合にも、法に準じて取り扱うものとしております。今後、職員に一層公益通報制度の理解を促して制度を有効に活用してもらうために、ホームページの記載内容につきまして、ご指摘も踏まえて、より理解しやすいものとなるよう改善を図ってまいりたいと考えております。

◆上川あや

まだ問題があるんですけれども、二回にわたる質疑の結果、区の公益通報制度で受け付ける内容の範囲というものは、確かに少し変えていただいたんですけれども、非常にわかりにくい案内なんですね。
区の案内文を読み上げます。「世田谷区が処分または勧告等をする権限を有する法律違反行為等が生じているか、まさに生じようとしている事実に関する通報または相談」、これでわかりますか。説明はこれで終わります。全く意味不明です。
次に、徳島県の例を紹介します。徳島県では広く県民にまで通報の権利を認めています。外部窓口の弁護士さんの名前も電話番号もホームページで公表しています。
そして、通報の範囲もこう説明しています。
一、法令違反またはこれに至るおそれのあるもの(条例、規則および訓令含む)。
二、県民の生命または健康に重大な損害を与えるおそれのあるもの。
三、行政事務処理等における不適切な行為。
四、職務外の非行や信用失墜行為。五、その他、県民全体の利益等公益に反するおそれのあるもの。
非常にわかりやすく、なおかつ幅広いんですね。
所管に確認したところ、世田谷区ではこの二と五について受け入れるかどうかは微妙だというお話でした。世田谷区の受け付ける範囲もこのようにもっと広く、なおかつわかりやすく、区民にわかる、職員として安心できる制度に変えていただきたい。広報を改善することについてどう考えますか。

◎中村 総務課長

先ほどご答弁差し上げましたとおり、区のホームページの記載内容につきましては、ご指摘を踏まえまして、より理解しやすいものとなるように改善を検討いたします。また、出入り業者についても第三者の窓口について周知していくべきというご指摘もございますが、これにつきましても、区の関係する労働者へのかかわりは多種多様でありまして、さまざまに課題が未知数のところもございますが……。