◆上川あや

質問の最後となりますが、公共建築も財源のすべてが税金である必要はないと考えます。

もとより欧米では、町なかの図書館、美術館、音楽ホール、学校施設、そして公園内の彫刻までもが篤志家の寄附によって建設、設置されていることが少なくありません。アメリカの実業家カーネギーは、世界じゅうに二千五百もの図書館を建設し、寄贈したことで知られていますが、ニューヨーク市で現在運営している公共図書館システム三十九館のうち三十一館までもが今なおカーネギー出資の建物であると言われます。
日本と欧米とでは寄附に対する文化的背景が違うという見方もあるかもしれませんが、果たしてそう言い切れるものでしょうか。
もとを正せば、東大にある安田講堂も、名古屋大学にある豊田講堂も、東京竹橋にある国立近代美術館も、久留米市内全域の小中学校に設置されてきた水泳プールもすべて民間からの寄附による建物です。
一昨年、京都大学附属病院内に建てられたがん治療の新しい拠点、積貞棟も任天堂相談役による寄附。東大構内に建てられた福武ホールも旧福武書店、現ベネッセコーポレーション社長が寄附した建物です。先月三十一日には、浜松市が建設を予定する防潮堤の建設資金にと、地元の住宅メーカーから三百億円の寄附の申し出があり、市も寄附の受け皿として基金を創設する意向であると報じられました。
世田谷区でも、来春までに仮称二子玉川公園内に地域ゆかりの文化財級建築物、旧清水邸書院が復元されることが決まりましたが、これももとを正せば部材の寄附、役務提供の無償提供によって成り立ちます。つまり寄附の一形態と見ることが可能です。
都の例規集では、昭和四十一年以降、都の所有地に物件の建設寄附を受ける場合のルールが明文化されています。キャンパスの移転を進めている九州大学でも教育研究拠点の環境整備に向けて基金を設立し、一定額以上の寄附をした個人や団体の名を、建物、フロア、内部の会議室等につけられるよう制度を改めています。つまり税金によってすべての公共建築の建設費用、設置費用を賄わなければならないという発想自体がもう古く、切りかえたほうがよいというのが私の考えです。区としても、これらの事例を参考に、税金だけに依拠しない公共建築の整備手法の切り口を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

◎宮崎 政策経営部長

私からは、公共建築に係ります寄附の関係についてお答え申し上げます。
区では現在、取り扱い指針の中で寄附の受け入れにつきましては原則現金という形にしております。平成二十三年度には五十九件、約一億四千八百万円の寄附をいただいておりまして、寄附目的に応じまして、子育て支援、緑、福祉、市民活動、文化活動振興、国際交流などのそれぞれの分野で活用させていただいている現状がございます。
公共施設の中には、今までも、例えば向井潤吉アトリエ館、清川泰次記念ギャラリー、さらに、今ご指摘ございましたように、仮称でございますが二子玉川公園の日本庭園内に整備を予定している清水邸などの例もございます。
区では、この公共施設を受ける際に、どうしても将来の財政負担をどのようにしていくのかということについても、そこの辺についてなかなか見通しを立てないと、寄附ということについて慎重にならざるを得ないという点が一点。さらには、これは少し過去にさかのぼりますけれども、国のほうでの閣議決定の中では、官公庁におけます寄附金等の抑制という中で、この行政措置の公正への疑惑等の弊害を伴うことがあるというようなことも活字として示されている状況がございまして、要は寄附をいただく場合にも配慮が必要になるということがございます。
これはまさに、当時のことでしょうけれども、寄附を出した、出さないということにおいて差別とかそういうようなことが起きちゃいけないということの、そういう懸念材料に対しての配慮ということを示されているものというふうに理解しています。
そういう意味では、今般の寄附そのものについてのものを広く言ってみればPRしている件もございますので、改めまして、他の自治体等の先進事例も今ご紹介いただきました。それらの状況も十分調査する中で、世田谷区としての寄附の受け入れ方についてさらに検討させていただければと存じます。以上です。