◆上川あや

次に、話は変わりまして、学校のプール利用についてです。

現在、港区医師会のホームページに「目を守るにはゴーグル装用~洗眼は無意味~」という記事が出ています。記事を書いたのは、東京都眼科医会学校医担当理事の古野史郎氏という方です。記事では、プールの消毒で使われている塩素について、感染症予防のために必要だが、一方で皮膚や粘膜に対する毒性もあるとしておりまして、次のように詳述しています。
九八年のことになりますが、都内の小学校でプールの残留塩素濃度を測定し、角膜上皮障害との関係を九十四人の児童について調査している。それによると、角膜障害は残留塩素濃度が濃いほど、水泳距離が長いほど発生率が高くなることが示唆された。また、残留塩素濃度が規定内であっても、ゴーグル非装用者で六六・一%と高頻度で角膜障害が認められ、装用者の九・三%を大きく上回った。また、障害の程度もゴーグル装用者のほうが軽度で、ゴーグルの装用が角膜障害発生予防に有効であることがわかったということです。ちなみに、プールに投入する塩素濃度の規定の基準というのは当時も今も変わってございません。
さらに、二〇〇八年の日本臨床眼科学会にも類似の報告が出されています。学校では、プールの水泳後に感染症予防のために目を洗う洗眼を勧めていますが、塩素を含む水道水による洗眼は角膜を傷害し、かえって目にダメージを与えるおそれがある。プールを利用するなら目を保護するためゴーグル使用が望ましいという慶應大学眼科グループの研究発表でした。
その後、日本眼科医会学校保健部も改めてこの研究に対する見解をまとめておりました。その主要部分を読み上げるとこうなります。プールにはゴーグル使用が望ましい。また、プール後の水道水による簡単な洗眼は行ってもよいが、積極的に推奨するものではない。なお、児童生徒の体質によっては、学校医の指導のもと、プール後に防腐剤無添加の人工涙液の点眼や簡単に目の周りを洗うなどの対応も必要である。ここでもゴーグルについては使用が望ましいということで、言い切り型で明記をしておりました。
一方、区の教育委員会に伺いますと、どうしてもゴーグルをつけたいという保護者の方からのお申し出などがあった場合には、その使用を拒否まではしていないという非常に後ろ向きなものだったんです。眼科医会の医学的見解に従って生徒の健康を考えますと、このゴーグルの使用をむしろ区教委として推奨して当然というふうにも思うんですけれども、いかがでしょうか。

◎平川 教育指導課長

プールでの水泳の指導に当たっては、薬剤師とも連携をして水質の検査を確実に行って実施しております。また、文部科学省は、例えば小学校一、二年生で、水に潜って目をあけてじゃんけんするというような遊びの例示もしている状況がございます。
ゴーグルの着用のあり方につきましては、体育担当の教員などを交えまして、水泳指導のねらいですとか児童生徒の状況を踏まえた研究をしていきたいと考えております。今後もさまざまな新しい研究や情報にアンテナを高くして、より健康に留意した教育活動を推進してまいります。

◆上川あや

きのう、障害児に水泳を教えている友達に電話をして聞いたら、今スイミングスクールではゴーグルをはめていないなんて考えられないと言われて、すごくびっくりされたんです。教育委員会がやっていることと民間で広く行われていることはかなりギャップが生まれているのかなということも危惧しましたので、しっかりアンテナを働かせて変えていってください。お願いいたします。